モラルの悲鳴(おめい) その4・・・牛乳パックの誓い
僕は牛乳パック。今日は仲間たちと共に工場を旅立つ。
最後の検査を終えると、その検査機器の兄貴が、低く響く声で言った。
「おまえたちは、牛乳を運び、飲まれた空っぽになった後も終わりじゃない、また、あたらし役目が待っている それこそが俺たちの誇りだ」
封函機の姉御も、笑った。
「胸張ってこいよ、またあおうじゃないか」
俺たちは誇りと希望を胸に、まずは店頭の陳列に向かった。
♢♦♢♦♢♦
そして、飲み干され、第一次役目を終える。再生工場行の青いコンテナに入れられ、未来を信じていた。
だが現実は違っていた。
こちらの人間の取り扱いは、無造作に可燃ごみ袋に放り込まれ、台所の隅で、他の生ごみたちと押しつぶされる状況。
「ええぇぇぇぇっ・・・ 俺たち、次の人生が待っているんじゃなかったの?」
焼却炉の熱風が迫る。
再生の道は抹消された。
最後に叫ぶ。
「俺たちは、まだ役目と役割を持っているんだ、気が付いておくれよ、お願いだ」
牛乳パックリサイクルは、資源リサイクル。洗って、乾かし、開き、指定の資源収集箇所出すことで、ペーパーや再生紙として、新しいイノチが巡るのです。
忙しさを理由に、その可能性を灰に変えてしまうのは簡単です。簡単で、"楽"の積み重ねが、資源価値への意識と環境の負担を加速させるのです。
再生の道を遮断するのは、私たち一人一人の意識の行動の選択にあるのです。
この物語はフィクションです。
もしも、現実と重なって感じるのであれは、それはきっと偶然ではないのでしょう。
最後まで、拝読ありがとうございます。
じゅラン椿