表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/29

第六章:「炎の中の援護飛行」

iPadに浮かんだ地図上で、味方地上部隊の位置が赤く点滅した。

キーウ南西の工業地帯。

敵の攻撃機が頭上から機銃掃射しているという。

「Su-25か……」

イヴァンはレバーを引き、進路を切り替える。

低空へ。

地形を這うように、川筋と煙に沿って、味方の位置へ。

廃ビル群の合間を抜けると、火点の煙が風に流れていた。

その煙の向こうに──いた。

黒い鉄塊。Su-25 フロッグフット。

重たい体躯でゆっくりと旋回しながら、対地ロケットを撃ち下ろしている。

味方車両の1台が、火を吹いて横倒しになるのが見えた。

イヴァンは即座にHUDヘッドアップディスプレイを切り替える。

「R-60、アクティブ──」

肩越しに伸びるミサイルポッド。

誘導は赤外線。エンジンの熱を追う、小型で軽量な短距離ミサイルだ。

ロック音が、ヘルメット内にカチカチと鳴る。

ピーーーーーー……!

ターゲットロック。

イヴァンは一言、呟いた。

「狩るのは、こっちだ」

発射──!

空気を裂く白煙。

ミサイルは一直線に、Su-25のエンジンナセルに吸い寄せられていく。

0.8秒後。

爆発音とともに、敵機の尾部が吹き飛んだ。

右へ傾いたまま制御を失い、Su-25は廃工場の屋根を削って落ちていく。

大地が揺れ、黒煙が上がった。

「ターゲット、ダウン」

味方からの無線が入る。

「ありがとう……誰だ、あんた……?」

「後で名乗るよ。生き延びてくれ」

その時だった。

甲高い警告音。レーダーロック。

背後。高空から──来る。

Su-27 フランカー。

制空戦闘機。双発、超音速、高機動。

MiGの何倍も強い。

しかも、それはもうこちらにミサイルを撃ち込んできていた。

「くそっ、やっぱり護衛付きか!」

旋回。急降下。

イヴァンは街の谷間へ逃げ込む。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ