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キーウ上空ウクライナの翼  作者: バッシー0822
西岸の死闘編

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第二十七章:ホストメリ地上戦

ロシア空挺部隊を一掃した後のホストメリ空港には、まだ硝煙の匂いが漂っていた。焦げた機体の残骸と散乱する薬きょう。イヴァンは休む間もなく、遠方から近づくエンジン音に耳を澄ました。

「戦車だ……もう来やがったか」


彼は壁際に立てかけてあったRPGを肩に担ぐ。

その背中に声がかかった。

「おじさん、俺が弾を持ちますよ!」


振り返ると、ミコラが弾頭を抱えて駆け寄ってくる。若さと恐怖心の無さが入り混じった笑顔。

「お前、元気だな」イヴァンは苦笑した。

「元気じゃなきゃ死んじまうでしょ。ロシアのやつら、ぶっ飛ばしてやりますよ」


その言葉に兵たちは一瞬だけ笑った。しかしイヴァンは心の奥で冷えた現実を悟っていた。空港を奪い返しても、敵は次々にやってくる。しかも相手は正規軍。兵力も火力も桁違いだ。この空港が、長く持つとは思えなかった。


舗道を割るようにキャタピラの軋む音が響く。土煙の向こうから緑がかった車体が姿を現した。先頭はT-72、その後ろにBMPが続いている。


イヴァンは瓦礫の陰に身を沈め、RPGの照準器を覗いた。

「……ミコラ、二台目のBMPだ。そこを狙う」


「え? 戦車は撃たないんですか?」若者の声に、わずかな焦りが混じる。


「バカ、先頭のT-72は装甲が厚すぎる。撃ったところでこっちが先に粉々だ。BMPなら歩兵も詰まってる、やつらの足を止められる」


ミコラは唇を噛みしめてうなずいた。背中に抱えた弾頭の重みが急にずっしりとのしかかる。


「……撃ったら、すぐに逃げるぞ。連射は無理だ」


「でも、弾はまだたくさんありますよ?」


イヴァンは短く首を振った。

「違う。問題は弾じゃない。撃った瞬間、奴らの目が俺たちに向く。BMPの機関砲に狙われたら、石ころ一つじゃ隠れきれねえ」


そのとき、キャタピラがアスファルトを削る音がいっそう近づいた。地面が微かに震え、胸に響く。

ミコラは無意識に息を止めた。喉が渇き、指先に汗が滲む。


イヴァンは呼吸を整え、狙いを定めた。

「……来るぞ」



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