第二十五章:戦利品
ニキータとラシドが持ち帰った食器や缶詰は、たちまち仲間たちの視線を集めた。
「おい、どこで見つけたんだ?」
「本当にこの家に残ってたのか?」
羨望と好奇心に満ちた問いかけに、二人は胸を張って答える。
「向こうの廃屋だ。部屋中、宝の山だぜ」
「お前らも探してみろよ。俺たちの村じゃ、一生手に入らねえもんばかりだ」
それをきっかけに、兵士たちは一斉に散らばっていった。
やがて戻ってきた者の背には、テレビやラジオ、銀のスプーンや子どもの玩具、毛皮のコートまで抱えられていた。
まるで略奪の市場のように、夜営地は「戦利品」で賑わった。
だが、その夜から異変が広がり始める。
兵士たちの中で頭痛を訴える者、吐き気をもよおす者、皮膚が赤くただれていく者が現れた。
「風邪だろう」「水が悪いんだ」――誰も深刻に考えようとしなかった。
その時、一人の原発の技術者が指揮官のもとへ駆け寄った。
「閣下、この森では何も盗んではなりません! あらゆる物が汚染されています。家具も衣服も、土さえも!」
必死の忠告に、指揮官は眉をひそめたが、やがて吐き捨てるように言った。
「兵士の士気を乱すな。黙っていろ」
兵士たちは笑いながら、毛皮を羽織り、グラスで酒を酌み交わした。
その土地が彼らに死を忍ばせていることなど、誰ひとり気づこうとしなかった。




