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キーウ上空ウクライナの翼  作者: バッシー0822
地上戦

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第十九章:硝煙の中の三人

アレクセイは、耳鳴りの中で目を開けた。

視界は揺れ、焦げた煙の匂いが鼻を刺す。

そばにはミーシャが横たわっていた。顔は灰と血で汚れ、唇だけが動いている。


「……助けてくれ、アレク……」


その声は震えていた。

だが、ミーシャの右腕は肩から先がなかった。

地面に広がる赤黒い泥の中で、彼の命がゆっくりと流れ出している。

アレクセイは膝をつき、荒い息をついた。


「……じっとしてろ。すぐ戻る。」


それだけ言い残し、彼は立ち上がった。

戦車の残骸を背に、村はずれの道を全力で駆ける。

味方の陣地はすぐそこにあるはずだった。

そう信じて。

しかし、そこにあったのは砲座の跡、散乱する弾薬箱、そして無人の塹壕だけだった。

味方は、もういない。

アレクセイの胸を冷たい風が突き抜けた。

背後から、ミーシャのかすれた叫びがかすかに聞こえたが、それはすぐに風にかき消された。


アレクセイは立ち尽くしたまま、しばらく何も考えられなかった。

冷たい風が吹き抜け、焦げた油と血の匂いを遠くへ運んでいく。

背後の村からは、もう銃声も聞こえない。

それが何を意味するか、彼はわかっていた。

ゆっくりと背を向ける。

足は重く、地面に貼り付くようだったが、一歩、また一歩と前に出た。

向かう先は北――ベラルーシ。

仲間も、任務も、理由も置き去りにして。

その目に、もう希望の色はなかった。

ただ灰色の空と、果てしない雪解けの泥だけが広がっていた。




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