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第十八章:報酬と三人
ブチャの町を制圧してから三日が経った。
当初は、すぐにキーウまで進軍できると信じていた。
だが燃料の補給は来ず、戦車は町外れに止まったままだ。
アレクセイが苛立たしげに吐き捨てる。
「これで三日目だぞ! いつまでこんな穴ぐらにいなきゃならん!」
ミーシャは、略奪したテレビを毛布でくるみながら笑った。
「もういただけるもんは全部いただいた。次はもっといい街に行こうぜ。」
セルゲイはポケットから金の指輪を取り出し、にやりとした。
「これ、彼女に渡すんだ。ウクライナ語はもう飽きた。キーウじゃロシア語で通じるだろ。」
その瞬間だった。
轟音と閃光が空気を裂き、彼らのT-72が真横から火を噴いた。
炎が車体を包み、装甲板が剥がれ飛ぶ。
セルゲイの言葉は最後まで終わらず、爆風が全てを飲み込んだ。
遠くで、金属音と共に何かが地面に転がった。
それはさっきの金の指輪だった。
焦げた雪に沈み、音もなく冷えていった。




