表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
キーウ上空ウクライナの翼  作者: バッシー0822
地上戦

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

16/35

第十六章:「飴ちゃんとひまわりの種」

田舎の町に、戦車が入ってきた日。

おばちゃんは、いつものように市場の角に立っていた。買い物袋を両手に持ち、頭には派手なスカーフ。


「ちょっと、あんたら!あんたらロシアの子やろ!」


ロシア兵のひとり、まだ二十歳そこそこに見える若者が驚いた顔でこちらを振り返る。

彼女はずんずん近づいていく。


「なんでこんなとこ来てるん?あんたら、誰かに呼ばれて来たん?パンと塩で歓迎される思たん?おばちゃ

ん、あんたのオカンやったら泣いてるで。ほんま。どこが特別軍事作戦やねん。普通に侵略やんか」


若い兵士は困ったように頭をかく。

隣の兵士も口を開きかけて、何も言えずに視線をそらす。


「ええか、言い過ぎたかもしれんけどな。おばちゃん、怒ってるんとちゃう。悲しいんや」


そう言って、彼女は袋から何かを取り出した。

薄いビニール袋に入ったひまわりの種。塩味。

ウクライナではメジャーなスナック菓子である。


「これ、持ってき。食べるもよし、懐に入れるもよし」


ロシア兵が戸惑いながら受け取る。

その瞬間、彼女は笑って言った。


「でもな、あんたがここで死んだら、その種、芽ぇ出して花咲かすで。立派なひまわりになるわ。ウクライ

ナの大地にな」


場の空気が凍る。若い兵士はなぜかその袋をぎゅっと握りしめた。

おばちゃんは、くるりと背を向け、何事もなかったように歩いていく。


「次はな、ちゃんと飴ちゃん持ってきてや」




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ