第十五章:オルランを追って
オルランはゆっくりと旋回しながら街を見下ろし次の獲物を狙っている。
その時、奇妙なものが近づいてくることに気がついた。
ウクライナの国章をつけたポンコツyakだった。オペレーターは笑っていった。
「そのポンコツで、俺を落とす気かい?」
オペレーターはモニターの前で肩をすくめた。
「まさかね。あんな骨董品でこの高度まで来られるわけが……」
しかし、YAK-52はじわじわと高度を稼ぎながら接近してきていた。
機首をふらつかせながらも、無理やり空気をかきわけて登ってくる。
「嬢ちゃん、こいつほんとに登ってるぞ……」
「今だけは頑張って、ポンコツ……!エンジンよ、焼けてもいい!」
キャノピー越しに、ナディアの額に汗がにじむ。
後席でじいさん──ミコラは、黙って散弾銃を構えていた。
「目標まであと300……」
その時、オルランの姿勢が一瞬ふらついた。
オペレーターが警戒を強める。
「なんだ?こっちを狙ってる……?」
──YAKが並んだ。
歪んだ機体の横に、青と金のトライデントがきらりと光る。
「じいさん、今!」
「わかっとる!」
──バンッ!
乾いた破裂音とともに、散弾が空を走った。
一瞬の静寂。
そして、プロペラを回すオルランが、妙な軌道を描き始める。
「当たった……?」
「エルロンかカメラだろう。制御を失っとる!」
ドローンはふらふらと機首を落とし、煙を引きながら森の中へ消えていった。
ミコラは目を細め、ナディアの肩をぽんと叩いた。
「よくやったな、嬢ちゃん」
ナディアは驚きと高揚で息を切らしながら、わずかに笑った。
「まだ……終わりじゃありません。戻りましょう。街を守るために」
──ポンコツYAKは、ふたたび地平へと旋回していった。
空にはまだ、次の戦いの気配が漂っていた。




