第十一章:「滑走路、炎上──抵抗の矢」
銃声が絶え間なく続く。
管制塔の窓は割れ、風が唸る中、イヴァンたちは交互に顔を上げては応戦していた。
だが――
マガジンが、尽きた。
「ラスト……2発だ」
仲間の一人がつぶやいた。
床には空薬莢が転がり、血が染み込んでいる。
背後では、負傷兵がうめき声を上げていた。
滑走路の向こう、闇の中に
低く唸るエンジン音――
空の闇を割って、IL-76輸送機が接近していた。
「増援か……!」
敵の空挺部隊が、さらに降りてくる。
イヴァンは、それを見上げ、歯を食いしばった。
「空も、地も渡さん……ここは、死守する場所だ」
背負っていたケースを開ける。
中にあるのは、FIM-92 スティンガー携帯地対空ミサイル。
防衛部隊の「最期の切り札」だった。
「天を撃ち落とせ」
照準を覗く。
赤外線シーカーが熱源を捉える。
ピーーーーッ……!(ロックオン)
イヴァンは叫ぶ。
「お前たちを、これ以上……通すものか!!」
──発射!
火花を吹きながら飛び立つスティンガー。
輸送機のエンジンに直撃。
機体が炎に包まれ、傾き、滑走路の端に墜落。
爆発音が、夜を割いた。
その光に照らされて、敵の士気が一瞬揺らぐ。
しかし、それでも彼らは押し寄せてくる。
銃も尽きたイヴァンは、AKを棍棒のように構える。
「……来いよ。まだ終わっちゃいない」
だがその瞬間――
後方から戦車のキャタピラ音、味方の支援部隊が現れる。
夜明けの空の下、
イヴァンは膝をつきながら、空を見上げる。
「……やっと、来たか」




