8.魔法使いのおばさん
皆が帰ったところで、俺はスキルの確認を行う。
――――――
ライム・デッセン
男 10歳
lv5
MP:12
str:12
def:12
spd:12
int:24
luck:26
dex:12
スキル:〈放置lv2〉〈鑑定(未)lv1〉???
――――――
この中で気になるところを整理していこう。
ステータスの表記に、MPとdex(器用さ)が追加されている。
これが詳細に見れると言うことだろう。
鑑定(未)について、思い当たることはない。
スキルの本にも鑑定については書かれてはいるが、未については何も記載がない。
それに、スキルの後に続いてる???は?しか思い浮かばないよ。
ま、これは俺に使っているからわからないのかもしれない。
ひとまず、他人でも試してみよーか。
俺は休んでいたソファーから重い腰を上げ、洗濯物を取り込んでいるメイドのトレスのところまで行く。
んー、スタイルも良くて本当に綺麗だ、と感心しながら、左目を瞑る。
「――鑑定」
小声で呟く。
――――――
トレス
女 21歳
lv?
MP:???
str:???
def:???
spd:???
int:???
luck:???
dex:???
スキル:――――?――――
――――――
おー! 何も見えん!
これはレベルに差がありすぎると言うことか?
そー、俺がのぞいていると、それに気づいたように振り返る。
焦って物陰に隠れる。
うん。トレスには逆らわないようにしよう。
他の人に試してみたいが、どーしたものか?
街に出掛けに行くのはいいが、あんまり出て回ると危険か?
それにどこに行くのが最適か。
まずは、寝て明日考えますか!
俺は2階の1番奥の部屋を自分の部屋と決め、眠りにつく。
翌朝、またあの高揚感で起き上がる。
レベルアップが早い!
馬車で生活していた時は、レベルが上がるのが遅くなっていたのに、6に上がるまでが早くなってる。
そーいえば、ステータスを確認した時に放置のレベルが2に上がってたな。
――てことは、放置していたら経験値を稼げる。と言う効果が上がったということになるのか?
これは素晴らしいことだ!
これならレベル10もすぐかもしれない。
新たに欲しいスキルといえば、自分を守れる手段だな。
魔法系のスキルとか、剣士などの戦闘系スキル。
あっ、ここで一応補足。
スキル〈剣士〉などの戦闘系スキルを持っていなくても、別に剣を扱う事ができる。
ただ、1番の違いはアーツと言われる必殺技が使えると言う事だ。
これがあるかないかでは天と地ほどの差がある。
だから、俺もそー言うのが欲しい!
前世からの憧れ――おっと、また宇宙まで俺の思考が飛ばされるところだった。
さて、スキルやレベルアップのことは一旦置いといて、やらなければいけないことを済ませよう。
まず、スキル〈鑑定(未)〉の性能についての調査。
それに、トレスが引き継ぎをできるような使用人を見つけること。
あとはミフォイの町をよく知ることだな。
じゃあ、やることは一つ!
引きこもってるんじゃなくて外に出ることだな。
俺は着替えなどの準備を済ませる。
流石に、1人しかいない使用人であるトレスを着替えなどは手伝わせない。
それでも仕事多くて大変だろうけど、頑張って……
「おはようございます、領主代行様」
一階におり、食事をとりに行くと、トレスが料理を並べて待っていた。
んー、表情がいつも変わらなくて怖い。
それに、ステータスも高くて怖い。
だけど、料理はうまい。多分dexが相当高いんだろーなー。
「領主代行様は今日どーなされるのですか?」
「んー、ひとまず1人で街を見てまわろーかな?」
「お一人でですか? 危険ですので私がついて……」
「いや、君1人しか今はここに使用人がいないんだ。君は家のことを頼むよ」
でずが……と、どうにも納得できない様子のトレス。
だか、本当に家のことも手いっぱいなようだ。
「では、冒険者ギルド長のガルさんに頼んで護衛を……」
と、心配してくれているのを断ることはできない。
トレスは急いで家を出て、護衛を頼んでくる。
ま、俺もご飯食べたし、皿洗いでもして待っときますか。
皿を洗い終えて、リビングでボーッとしてると、トレスが連れてきたのはギルド長のガルではなく、魔法使いの女を連れやっきた。
てか、この女、自己紹介したのに名前言ってくれてねーや。
「ガルさんを呼びにいこうとしましたが、途中でサリーマさんがいらしましたのでお頼みしました」
あっ、サリーマって言うんだ。
「よろしく」
「はい、アタシに任せていただければ安心安全ですわ」
んー、安心安全感は皆無だなー。
あと、昨日夜思ったんだけど、前の領主邸燃やしたのこいつだろ。
あの昨日の笑いもそれ思い出してのことだろ。
――サイコパスだろ。
「どこにいかれるのですか? 聞いておいた方が私が手が空いた時に向かいやすいのですが」
あっ、この子まだ心配してんのか?
いや、この女のこと信用しきれてないのか?
なら連れて来んなよ!
「今日行くのは、領民が生活してる生活区に行く。そこで、君が引き継げるよう使用人を見つけてくる予定だ」
「では、アタシはどうですかー? 燃やすのは得意ですよ?」
またらクスクスと笑ってる。
たがら、怖いんだってこの人。
「却下! おばさんには興味ないんでね」
この人、フードの中はあまり見えないが、声や仕草からあまり若いとはいえない。
「誰がおばさんですか! まだピチピチの19歳です!」
もう少しマシな嘘をつけよ!
流石にそれはない。
そこに、俺の耳元でトレスが囁く。
「――彼女、32歳なのですが、いまだに19歳と虚言を吐くんです。一応独身です」
ふん。独身のおばさんが年齢をさば読むのはどこも同じだな。
んー、でもやりすぎって引くよね。
てことで、機嫌の悪いおばさん魔法使いと俺は町の生活区へと行くのだった。
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