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7.またまたレベルアップ?

 トレスがこの領地の有力者を呼びに行き、俺はただ待っている。

 と言うわけにもいかなかった。


 また、あの感覚がやってくる。

 高揚感が俺の体を襲う。


 これで4回目。

 レベル5の到達を意味する。

 ってことは、新たなスキルを持つ事ができる。


「さて、レベルも上がったし、この話し合いを済ませたら次は神官も探してもらわないとね」


 ステータスを見てもらうための1番簡単な方法は教会にいき神官に見てもらう事だ。

 もう一つは鑑定によるものだが、鑑定持ちは少ないからなー。


 俺はスキルについての本を開く。


 〈鑑定〉

 自分もしくは相手のステータスを見る事ができる。神官のスキルよりも明細に見る事ができるが、レベルが自分よりも低い者でないと、正確に見る事ができなくなる。

 発動条件は片目を閉じて鑑定と唱える事。


 これは本に書かれている事。

 俺はそれを真似して左目を閉じる。


「もしかしたらがあるかな? ――鑑定」


 すると、俺の閉じた目の方に浮かび上がる。


――――――


 ライム・デッセン

 男 10歳

 lv5

 MP:12

 str:12

 def:12

 spd:12

 int:24

 luck:26

 dex:12


 スキル:〈放置lv2〉〈鑑定(未)lv1〉???


 ―――――― 


 ほー、これはすごい事が起きたな。


 俺のlv5での取得スキルが〈鑑定〉だったとは、それに未ってなんだ?

 これは後で要検証だな。


 スキルの検証は後回しにしておいた方がいい。

 家の前が少し騒がしい。

 トレスが人を連れてきたようだな。


 昂る気持ちを収めて、俺はもう一度深く腰掛ける。


「領主代行様。この領地の有力者を連れて参りました」


「入ってくれ」


 部屋に入ってきたのは4名。

 眼帯をした筋肉ムキムキなおっさん。

 小太りでうちの父よりかはまだ汚くは無い、汗かき男。

 白いシャツを汚した細身で麦わら棒を被った農家の男。

 そして、いかにも怪しいフードをかぶってあまり顔が見えない女なのか?


 この4人がここの有力者か。


「わざわざきてくれてありがとう。今日からミフォイの領主代理を務めるライム・デッセンだ」


「俺は、ここの冒険者ギルドの長をしてる、ガルっていうもんだ。まぁ、あんまりうちのギルドには近づかない方がいいぜ坊主」


 筋肉ムキムキらしく、荒っぽいねー。


「私は、ここで1番の金持ちのマル・マルテですぅ。私に頼んでもらえればなんでも揃いますよぉ」


 名前も丸っこいデブは、金持ち? てわりにはあまりじゃらじゃらした装飾はつけてないな。

 俺の基準が父になってるからかな?


「ドルイだ。農家をしてる……」


 まー見た目通りだな。

 それに口数少ないし、とっつきにくいタイプだなー。


「ワタシは、ここで唯一の魔法使いです。炎の魔法を扱う事ができます。是非、機会があれば見ていただきたいですねー」


 少し、笑い混じりに自己紹介してくる女だ。

 うん、めちゃ怪しいわ。


 全員の自己紹介を聞いて、なんとなく全員、俺にいい感情を持っていないように感じるな。

 特に女は危ない。

 デブも、なんでも頼ってくださいみたいなこと言ってるが、どこか嫌な予感がする。


 だから、初めに言っておこう。


「まず、ここの領主代行になったが、俺は何かをするという気はない。勝手にお前らがやりたいようにやってくれればいい」


 その言葉を聞いて、トレスと4人全員が顔を引き攣らせる。


「俺はここがどんな場所で、何ができるかなんて言うのはわからない。だから、それぞれの分野のことはそれぞれの分野に任せる。だが、何をするかの報告は俺に一度通してくれ」


「……待ってくれ! それじゃ、お前がここにいる意味がないだろ!」


 たしかに、ガルの言う通りだ。

 でも、そー言うわけにもいかないように俺は言いくるめる。


「お前達がやった前領主への行為は貴族批判だ。それに対する処分はかなり大きなものになる。多分、俺じゃなければかなりの税を儲けたりしたかもしれない。それに次、反乱を起こそうものなら、国がこの地を、と言うことになるだろう。それなら、何もしない領主がいた方がいいだろ?」


 ガルとマルはそれを聞いて悩む。

 ここにくるまでに俺が考えた。

 あんまり派手なことをしないような策だ。

 デッセン家のためにはならず、俺も楽ができるいい案だろ?


「じゃあ、私がこの地に娼館を建てたいと申したらどうするのですか?」


「……それは却下だ」


 マルが変な質問をしてくる。

 バカな話だよな。

 そんなのノーとしか言わないよ。


「俺はまだ10歳だ。それじゃあ俺が遊べんだろ?」


 その言葉を聞いてマルと怪しげな女がクスリと笑い。

 ギルド長であるガルは呆れた表情を浮かべる。


 ただ、ドルイだけは神妙な顔をしている。


「まぁ、これだけわかってくれたら大丈夫だ。もう帰っていいよ? 俺は着いたばかりで疲れてるんだ」


 その言葉を聞いてトレスがドアを開ける。

 おかえりをと言葉なしに告げる。


 それに従い、順々に去っていく。

 この家から3人は帰って行き、1人だけ家の前で留まる。

 それに気づいたトレスは話しかける。


「どうかしましたか?」


「……あなたは、あの子供の言ってることについてどう思った?」


「私は、領主代行様のおっしゃることに従うまでです」


「――本当はわかってるんだろ? 大人になったら娼館を建ててもいい。裏を返せば、大人になる頃にはそれだけの金と人を集められると言いたいように聞こえたよ」


 それを聞いたトレスは微笑む。

 それが同意の意味を持つことをドルイにはわかる。

 何か2人の中で、謎の結束感が生まれる。


 ミフォイは今は、娼館を建てたところで経営できるほどの金も人もいない。

 それを深く読み取った2人。


 そんな時、当の本人は……


「あいつら、自分たちだけ楽しめるものなんて作らせるかよ」


 そう、そんなこと何にも考えていない。

 ここで、また勘違いが生まれていくのだった。

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