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1.気味の悪い子

今日から投稿開始です。

「おぎゃーっ!」


 大きな産声が屋敷に響き渡る。

 俺の目の前には、綺麗な銀髪をもつ美しい女性と、その隣には小汚い金髪デブが新たな生命の誕生に喜んでいる。


 この人たちが俺の母と父になる人か?

 ――てか、なんで俺はこの状況を理解できている? 赤ちゃんならわからないはずだろ?


 もしかしてこれって――異世界転生!


 ……あれ? 異世界って何だっけ?


 俺は、考えを巡らせてもたどり着くのは、『宇宙、はじまり』みたいな途方もないところに行き着いてしまう。


 多分、俺は前世があることを理解できている人なのだが、前世の記憶はいっさいないのだろう。

 だから、チート人生を謳歌できるわけでもなく、ただ理解力が高い気持ち悪い赤ちゃんってだけだ。


 さて、前世というもので俺が何してたかはわからないが、今世はどんなことをしようか?

 と、まだ生後1時間も経ってないのに、人生計画を始めていたら、俺の母らしき女性が心配な面持ちで見つめてくる。


「なぜこの子は泣かないのでしょう? それに、何か遠くを見つめる老人の目をしているのですが、これは何か病を持っているのでは!?」


 あれ? 俺さっき産声が聞こえたんだけど、俺じゃなかったの?

 目だけを動かして辺りを見渡す。

 すると、隣からまだ泣き声が聞こえてくる。


 そして、そこにいたのは俺と同じ赤ちゃんだ。


 なるほど、双子ね。

 じゃあ、俺は生まれてまだいっさい泣かずに、人生計画を立ててるきもい子供ってわけだ。


 ――ひとまず、泣いときますか。


「お、おぎゃぁ?」


 なんとも、妙な泣き声をあげて、俺こと、ライムは誕生したのだった。


 生後から数ヶ月が経った。

 その間で少しだけわかったことがある。

 俺の家はデッセン公爵家と呼ばれる、この国で3家しかない公爵位の貴族だ。

 当主である父は、スラグ・デッセン。

 公爵夫人である母、ベラ・デッセン。

 そして双子の弟、キノ・デッセン。


 両親は野獣と美女と言われるほど不釣り合いな容姿をしている。

 中身を好きになったとかではなく、政略結婚らしい。

 てか、中身は好きになれるわけはない。

 スラグは過去のデッセン家の栄光だけで公爵位についているだけで、民から収められる税を、自分の私欲を満たすために使っている。

 我が父ながら救いようのない人だ。


 数ヶ月観察した結果から、俺の人生計画を簡単に立ててみよう。


 ――いや、考えるまでもない。


 この家から出よう!


 よし、そーとなったら実行に移そう。

 必要なのは、この世界の知識と、健康な体づくり、後は信用できる仲間作りだ。


 まずは、知識だ!

 本が欲しい。

 どうやって本を手に入れるか?


「……ほ、ん」


 周りにいたメイドたちが俺の方を見つめる。

 あれ? もしかして声に出てました?


 そして、1人の若いメイドは目をキラキラと輝かせてこちらをみ、そして違うメイドたちはヒソヒソと話し合っている。


「坊ちゃま! 御本を読みたいのですか!?

 今すぐ持ってきますので待っていてください!」


 このメイドは名前をなんて言うのだろうか?

 他のメイドたちはまだ生後数ヶ月の赤ちゃんが言葉を発したことに嫌な顔をしているが、彼女だけは違う。

 信頼できるかもしれないな。


「本当に、ライム坊ちゃまは普通の子じゃないわ。子供なのに可愛げもない。」

「そーよね。しかもよく遠くを見つめるような目をしているわ。異常すぎるわ」


 メイドたちは、俺が理解できないだろうと聞こえるような声で話しているが、わかってるんだよなー。

 でも、それで咎めようとかはない。

 ――だって、普通に考えたらこんな赤ちゃんおかしいもんね。


 ドンと、勢いよく扉が開かれる音がする


「坊ちゃま、持ってまいりました! 私、セリアが読み聞かせますね」

「あぅ」


 俺はちょっと赤ちゃんらしい言葉で返事を返すが、そもそも返事できてることがおかしいのか?

 まー、いいや赤ちゃんらしい行動をするのは、精神年齢大人な俺にはちょっと恥ずかしいし、自分らしくいこう。


 僕が寝ている幼児用ベッドのそばに来て、セリアが絵本を読み聞かせてくれる。


 異世界ではありがちな、勇者と魔王のお話。


 まー、内容は想像通りな、魔王が復活して勇者が仲間たちと一緒に倒すっていうありきたりな話だ。

 でも、この世界では本当にあった話だ。


 ちょっと期待してしまう。

 自分がなりたいとは思わない。

 でも、勇者会ってみたいかもな。


 そんなことを考えていると頭がフワフワしてくる。

 あたりもぼやける。

 精神は大人でも、身体は赤ちゃんだな。


「坊ちゃま。今日はここまでにしましょう。また、読み聞かせますね」


 セリアの明るく優しい声で、気持ちよくねむりにいた。

 明日は何を読んでもらえるのだろうか。

これからもよろしくお願いします!

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