第3章 13.聖なる巫女の最後の願い
【 夢から醒めるな!! 】
私はスーパーの中を歩いている。
両サイドには天井近くまでありそうな棚。
棚の上には飲み物やお菓子やスイーツが、綺麗に陳列されていて、どれも美味しそう。
広い通路の真ん中を
ショッピングカートを
押しながら、ブラブラと歩いていく。
そして発見した。
その商品がずらりと並ぶ場所を。
そう、私の目的は大好きな
ポテトチップスだ。
「うっわっ!!」
歓喜の声を上げ、
ポテトチップスの袋を
ホイホイとカートへ投げ入れる。
塩、のり塩、コンソメ
ああ、そうそう
ワサビ味も食べたかった。
それの袋を手にしたところで
おやっ?
と、立ち止まる。
何か忘れているような気がするの。
「なんだっけ?」
「ピザ味」
と、誰かの声。
「おお、そうよ。ピザ味、忘れるところだった、ね」
ワサビ味をカートへ放り込んで
今度はピザ味の袋を手に取る。
そして声の主を探す。
「ピザ味……」
「ご主人様、さぁ、願いをなんなりと……」
また、声が聞こえた。
さっきの人とは違う声だった。
「願い?」
「何度でも、どんな願いでも」
「うん!とりあえず何でもあるスーパー、っていうのは叶ったから……次は回転寿司がいいかなぁ、ハンバーガーも食べたいし」
私はいつの間にか回転寿司屋さんにいた。
目の前を、マグロの握りや、エビの天ぷらなんかが通りすぎていく。
私は、流れてくるお皿を片っぱしから取って、お寿司を口いっぱいに頬張る。
「美味しい……」
モグモグ。
久しぶりだなぁ、お寿司なんて……
酢飯がうまい……
モグモグ……ひたすら食べる。
でも、なんだろう?
食べても食べても、
お腹がいっぱいにならないような?
「次の願いをどうぞ」
野太いおじさんの声だった。
「次の願いか……じゃあ」
「」
って、夢かな?これ……
……夢かぁー、だよねー。
そんな気は薄々していたわけだけど。
でも、だったら尚更嫌じゃん?
起きるなんて。
こんな幸せな夢なのに、
ねぇ……
ずっと食べたかった……。
ポテチ。
こっちの世界には、
ないじゃん、
ポテトチップスっていうものがさぁ!!
ないんだからよぉお!!!




