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第1章 4.異世界への扉が開いちゃった?



担任と一緒に教室へ滑り込み、なんとか遅刻はせずにすんだ。大量に流れ出る汗をタオルで拭いていたら、宣伝用のウチワを渡された。

「3―A 不思議の国の千一夜」

というアラビアン調のフォントにキラキラしたイラスト。なかなかお洒落だ。


机を並べ作った舞台の前で、担任が出席を取り、注意事項を伝えた。

「では、最優秀賞を目指して頑張りましょう!」

担任が出ていくと、今度はシミズがあれこれと指示を伝える。


窓の外の校庭には、たくさんのお客さんが並んで待機していた。


うちの学校の文化祭は近隣でも有名だ。

毎年数千人規模の来場者があって、なかでも3年生のみが出来る演劇やミュージカルは、レベルが高く、これ目当てにわざわざ県外からやって来る人もいるくらいなのだ。


各クラス1日、5公演。

座席を確保するには、朝早くから並ぶ必要がある。

前評判が良くて、人気の生徒がいるクラスのチケットは、早くも午前中で売り切れてしまう。


うちのクラスのチケットが完売するかどうか、みんな気になってそわそわと落ち着かない。


そう、お客さんを呼べるかどうかは、キャスト選びも重要なのだ。


主役キャストは容姿最優先なのが暗黙の了解、というか、もうそれは伝統。


その点では、ハナは選ばれるべくして選ばれたヒロインだ。

学年でも、いや学校中でもハナほど綺麗な子はいない。


すでに衣装に着替え、メイクまで終えているハナは、やっぱり華があってかわいい。

プリンセスジャスミン風な衣装に、キラキラと揺れて輝くアクセサリー。少しきつめなメイクもハナにあっている。


シミズの話を聞いているハナの視線が、ふとこっちに向けられた。私は慌てて前を向いて、そしたら今度はシミズと目があった。


昨日のリハでの変更点や、注意事項をスラスラと話しているシミズ、今日はとても頼もしく見えるな。


「大丈夫か?」

話を終え舞台から降りてきたシミズが、私の側にやって来た。

「えっ?」

「目の下にクマ出来てる」

そう言って私の顔に向かってシミズの指が伸びてきた。

デコピンでもされるのかと思って身構えたら、おでこの辺りに触れただけだった。

「スパンコールが」

シミズの指先に赤い星形のスパンコールがのっかっていた。

「やだ、恥ずかしっ」

家からつけたまま電車に乗ってたのか。


「まっ、楽しんでやろうぜ。高校最後の文化祭だし」

シミズが丸めた台本でポンと肩を叩いて言った。


あれ?


なんか変だな。


シミズってこんな優しいキャラだったっけ?




第1章 了

第1章が終わりました。


ここまで読んで頂きありがとうございました。

ツキさんのおしゃべりはひとまずここまで。

次回からは、もう一人のヒロインが登場します。


よろしければ「いいね」「ご感想」お待ちしております。

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