祝宴 死の踊り子⑤
ジャァン……。
まるで頃合いを見計らったかのようなタイミングで、シンバルの様な激しい金属音が、広間の奥の舞台から会場全体に高々と響き渡った。
「マヤ様…。ご準備は?」
水と森の王公貴族が揃う中。舞台の袖で、ヂャルジュという弦楽器を持った人の良さそうな老人が、マヤへと問いかける…。
「愚問よ。幕を開けなさい」
マヤの後ろには、踊り子やいろいろな役に扮したマヤの配下が控えている。
「さぁ、幕開けよ……」
マヤは普段も装着する戦装束の兜をかぶり、舞台へと足を踏み出す。
シャン…シャン…と、手足に付けた鈴の音が闇の中に響き、彼女の舞いが始まる…。
観客の歓声や、ざめきで騒がしかった先程までの舞台がシン……と静まり返り、マヤの舞いに皆の視線が一点集中する。
現実離れした、壮絶な彼女の存在感が、
美しく、
激しく、
人々の目と脳裏に、まざまざと刻まれていく…。
いつもは命を刈る、戦場のみで披露される彼女の《夜叉の舞い》
明日、
幸ある門出を迎えんとするこの国に…
死を運ぶ、忌みつ姫の祝福の舞いだ。
観客の中に、この舞いの本当の意味を知る者は、誰もいないだろう。
幸ある者に、
奈落の苦痛を。
今日という晴れ舞台に、
悲劇の惨劇を…。
マヤは視界の先に、こちらを見上げる可憐な姫と、奥に鎮座する王の姿を捕らえた。
今宵、火の部族の…
いや。
私の復讐はこの瞬間から始まるのだ。




