祝宴 死の踊り子③
ガンっ!!!
グラスをテーブルに激しく置く音と共に、どうしても耐えられないとばかりに隣の席から殺気が飛ぶ。
「………言っておきますが。クムジ殿。………例えそちらの若君とウチの姫が一緒になっても、あくまで姫は我らの姫です。調子にのるんじゃねぇぞ!!じじぃ…!!」
「隊長っ!?」
どうやら、皇女をうちの部族に迎えるというフレーズが、彼には気に食わなかったようだ。
慌てたのは水の兵士だけではない。
クムジと酒を交わしていた部下達も、しまったとばかりに慌てて口をつぐむ。
……………場の空気が一気に冷えた。
クムジはともかく、普段紳士を地で行くフェミニストの彼がこれ程まで怒りを顕わにするとは…、かなりまずい状態だ。
勢いよく杯をテーブルに置いたこの軍服の紳士。
彼の名前はハークベルト・ガルシア。
通称ハーク。
今年で43歳を迎える彼は、水の兵士を統括する隊長兼将軍であり、唯一臆することなくクムジに真っ向から喧嘩を売れる稀な人物である。
戦場では命を取り合う宿敵。プライベートはもちろん犬猿の仲である。
「ああ゛ん…?水の。なんじゃ?ワシとやろうってのかぁ??」
じじぃ呼ばわりされ、上機嫌だったクムジもさすがにビシリと眉間にしわが寄る。
「……いいですね。いい加減あなたとは長年の決着をつけたかったんですよ。今すぐこの場で殺して差し上げます」
そう言ってハークは脇にさしていた双剣に手を掛け、おもむろに立ち上がる。
「ほぅ…?」
クムジの方は飲み干した酒樽をぐわっと肩に担ぎ、持ち上げた。
まさか酒樽を武器に闘う気か。
「「ギャーーっ!誰かあの二人をとめろーーっ!!」」




