祝宴 死の踊り子②
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水の国の姫。ミルディ王女の誕生祭の前日…。
日も暮れて、辺りがとっぷりと夜になりはじめた頃。
水の王城の迎賓館では、王女主催の身内だけ集めた、ささやかな宴が催されていた…。
「いやー、めでたい!実にめでたい!!まさか世界でも名だたる絶世の美姫を、うちの森の民に迎えられるなんてなぁっ!若もしあわせものよの~~~っ!!」
ガアーッハッハッ。
………賑やかな広い迎賓館の広間に、豪快な大男の笑い声が響き渡る。
豪快な笑いと共に…、森の大将軍クムジは、手にした酒樽の酒を次々ご機嫌に胃袋に流しこんでいる。
日に焼けた肌に鍛え上げられた筋肉。
トレードマークの真っ黒で長い剛毛の髪を、豪快に高々とポニーテールに結い上げ…。
その荒々しい存在感は、戦場で目を合わせただけで人を殺せるとも言われる通称、森のくまさん。
……もとい、《森の野獣》と呼ばれる猛将である。
御歳55歳。
彼の後ろには、ワインの酒樽が何十個も高々と積み上げられ、テーブルの皿の上には、肉という肉がたらふく山盛りに積み上げられている。
生涯現役を地で行くこの大男も、最近歳のせいかちょっと出てきた下腹のお肉を奥さんに咎められ…、つい何日か前まで強制的に食事の制限をさせられていた。
……が、今日は違う。
今宵は意識を無くすまで、思う存分飲んで食べる所存だ。
ルンルンルンルン♪
既に開始30分で酒樽ニ個目。顔をホッコリ赤く染めながら、この豪快な出来上がり様だ。
下手すると城中の酒を飲み尽くしかねない……。
「ほらほら、お前達ももっと飲め~?姫さんがワシらの部族の家族になるんだから、お前らもちゃあ〜んと酔って笑ってお祝いしなきゃだぞ?ほれ、ついでやる」
そう言うクムジは、両脇に座る自分の部下達にドバドバと溢れるほど酒を注ぎまくる。
酒に酔うと、クムジはいつもの30%増しで部下にフレンドリーなのだ。
「言われるまでも無いですよ~ぅ。にしても本当に若が羨ましいです~。ねぇ将軍?」
部下達もいい感じに酔い初めて、ちょっとろれつが回らなくなりはじめている。
「そうじゃのぅ。ワシもあと10歳若ければ姫の良い人に立候補したんじゃがの~」
「今の聞かれたら奥さんに絞められますよ将軍~」
ガハハハハハハ~!
森のくまさんと、その部下達のご機嫌は最高潮だ。




