若長のに愛人 黒髪の乙女⑥
「ま、」
「ま、」
「ま、」
「ちょっとまたれいーーーーーっ!!!!!!」
その時だ。
けたたましい老人の怒号が響き渡り、マヤ達が入ってきた後方の大扉が勢いよくバタァンと開けられる。
「ワシは容認せんぞい!!ルタの娘ごと長たるものが一緒になるだとっ!!?万が一、忌みつ子でも産まれたらどうする気じゃ!産まれでもしてみぃ!地に落ちたかつての神の獣が、人への恨みで森の一族に牙をむけんと言い切れまい!!?火の一族は消えていないのじゃからな!ダメじゃ、ダメじゃ、ダメじゃーーーー!!!!!!」
勢いよく飛び込んできたのは、顔を真っ赤にしたちっちゃなおじいちゃん。
老人と例えるより、おじいちゃんと言いたくなるようなかわいいらしい容姿をしていて、モフモフと白いヒゲと長い髪を振り乱しながら飛び込んでくる。
「ヤ…、ヤール殿っ。長老様方の前です…!お静かに!!」
「ってか、あの縄をといてきたのですか!?若があんなにグルグル巻きにしていたというのに…!!」
「えぇい!ぬしら、剣の師であるワシを裏切ったな!?」
「あなたが場をメチャクチャするのわかってたから、皆同意の上のグルグル巻きだったんですよ!!何に関してもあなたはとりあえず反対して暴れるでしょーがー!!!!」
扉に控えていた年若い森の兵士が慌てておじいちゃんの後を追ってくる…。
「正体あらわせ!女盗賊ーーっ!!!皆の目を欺けても、ワシの目はごまかされんぞーーーー!!!!!」
ヤールの手には、長い長剣が握られていて、飛び上がると同時にマヤに向かってその刃を振りかざしてくる。
その様は、まるでスローモーションのようだった。
身のこなしからみても、本気じゃない…切りつけだったのかもしれない。
よけるのなんて、マヤなら何でもないこと…。
だったのだが。
(なんで…よりによってこんな体が動かないときに……!!)
ぐわん…!
(…っ)
振り向くだけでフラついて倒れそうになるめまいに、応戦なんてできようはずがない。
しかし、この状況の中、応戦すること事態、果たして良いものなのか。
ヤールの刃が近づく中、走馬燈のようにとめどない考えがマヤの頭に流れていく。
腕の鎖を使えば止められるか…?
間に合うかもわからない、加えて力の入らない腕を頭にかざすように必死に振り上げようとするが、
刃はもう目の前で、こうなれば切られてしまったほうが良いかもしれない。
そう考えた時…。
『……、マ…ヤ…、』
瞬間、体の奥底から覚えのある力の隆起が沸き起こってきた。
そして、かすかに聞こえた幼い頃からずっと聞き慣れた化け物の声…。
(力が…!?)
少しの驚きと同時に、身を守ろうと勝手に動き始める力。
(…!!)
ゆらりとマヤの髪と瞳が揺らいだ。
…………しかし、
「ダメだよ。大人しくしなきゃ」
その言葉と共に、マヤの隣で緑の激しい光が瞬いた。




