若長のに愛人 黒髪の乙女①
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プァ~~~~~~~。
……厳かな笛の音が遠くでなっている。
ドンシャンチン、ドンシャンチン。
夜のとばりに包まれて…。
周りからは、伝統楽器らしき音も聞こえてくる。
ワイワイワイ。ザワザワザワ。
たくさんの視線とざわめきが聞こえ、目の前にはヒラヒラと闇夜にピンクの花びらが舞い散っている…。
色鮮やかな、たくさんの飾り提灯。
廊下にはずっと真っ直ぐ、深紅の絨毯が敷かれている。
周りの建物からは、明るくて暖かい光が漏れ出ていて、その情景は幻想の中にいるかのような美しさである。
だが、
その中の中心にいる本人の顔面は、蒼白に、そして盛大にひきつっていた…。
「マヤ様。さぁ、こちらです」
そう促され、なおもマヤは前へとしずしずと進んでいく…。
男が用意した解毒薬なるものを飲んだ後、マヤの体からは、あの激しい痛みは消え去っていた。
だが全部元通りという訳ではない。
思ったようには体が自由に動かず、誰かの支えがあって、ようやくふわふわ動ける感じだ。
風呂場では頭からとんでいたが、首には忌々しい水の精霊石の首飾りもしっかりとつけられている。
両手両足には、再び相変わらずの鎖の拘束具だ。
行きたくないと抵抗したくても、まるで操り人形の様に着飾った女達に先に先にと連れられて行ってしまう…。
顔では盛大に嫌がっているのだが、どうしようもない。
建物と建物を繋ぐ、外に面している渡り廊下を渡り終え、右に左に進んでいくと、いつの間にか大きな木造の入り口の前に立っていた。
中からはザワザワザワと、たくさんの人の気配がする。
「マヤ様、ご到着~~~~~」
両脇に控える森の兵士の掛け声と共に、マヤは大きな大部屋へと両脇を抱えられ、足を踏み入れた。
ザワザワザワ、ザワザワザワ。
皆の視線が一気にマヤへと集中する。




