表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
マヤ 〜忌みつ姫と森の若長〜  作者: 早瀬ヒカル
48/59

森の若長 ツワブキ①






◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇






(温かい……)







マヤは温かいまどろみの中にたゆたっていた…。





あまりにも心地よくて、





もうずっとこのまま、たゆたっていたい……。





そう思えるほど、今まで味わった事のない安らぎがマヤを優しく包み込んでいる。





(でも…、まだダメ……)




いっそこのまま目覚めなければいい…。





蜜のような誘惑がマヤを甘く甘美にまどろわせるが、ズクンと渦巻く鈍い胸の痛みが、彼女の沈みゆく意識を押し留める。




(まだ…、私は…………)





「……マヤ様、大丈夫ですか??ご気分がすぐれませんか?」





(………?)





マヤがうずく胸の痛みに意識が囚われ、再び深い眠りに落ちれないでいると、ふと、かすむ頭に知らない若い女の声がふってきた。





「顔が火照られてきています。適度な入浴は健康にも美容にも良いですが、入りすぎるのは体の毒です。さぁ、そろそろあがりましょう?」





「おかしいわね…。若のおっしゃり様だと、もう意識もはっきりしてきても良い頃だけど…。一刻は入られたままよ?無理やりにでも上げた方がいいんじゃ…」




(……?)




マヤはもうろうとしつつも、周りに意識を向けてみる。

すると、マヤの周りに二人…いや、三人だ。




それ以外にも、若い女性と思われる人の気配が五、六人感じとる事ができた…。





「あらあらホント!マヤ様。これ以上お湯につかっていると、のぼせてゆでだこになりますよ?いい加減上がられませんと、これから予定がじゃんじゃん控えております」





「そうそう。初夜もひかえていますのに、ダウンされては若が可哀想ですわ!」



(…………。………しょ……?)




何か不穏な言葉が聞こえてきた気もするが、その言葉もマヤの耳を通り抜けるだけで、頭の中には入ってはこない。




小鳥のさえずりのように、女達の言葉がマヤの頭上でせわしなく行き交う。





「ほら、私どもが《全身ボンキュッボンお肌すべすべスペシャル香油マッサージ》を施してさしあげますから、湯から上がりましょう!お前たちも手を貸して!!」





「「「……は~い。そ~れっ!!!」」」






「~~~~……っ!!!?」






ザパァッッ!!!




盛大な水音とともに、マヤの声にならない叫び声が虚しく乳白色の湯船に響き渡る。





(――――――…っっっっ!!!痛い!全身が痛いっ!!!)




女達に思い切り両腕を引き上げられ、マヤは横たわっていた湯船から、素っ裸のまま勢いよく引きずり出される。





「ほら!マヤ様もご自分で歩いて…!!」




(あ、歩いてって言われても…っ!)




そう言われながら、マヤは半ば引きずられるようにして、近くに作られたマッサージ用の寝台にずるずると連れられていく…。





(な、何でこんなに全身激痛が!?……って、痛っ!…っ、そこ…、引っ張らないで…っ!!!!!)





状況は全くのみこめていないが、痛みのせいで霞がかっていた意識は一気に覚醒した。




引きずられているその間にも、女達に掴まれたり触れられている所に物凄い激痛がはしる。




刺し傷や打撲…とは違う痛み。



今まで経験してきた痛みも比にならないほど強烈さだ。





これはきっと…、マヤが久方忘れていた筋肉痛…なるものが一番近い気がした。

少し軽く触れただけで、電撃に撃たれたかのような痛みが突き抜ける。




「はぃ!!横になってぇ!!!」




「やめっ―――…っっっ!!!!」









評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ