森の若長 ツワブキ①
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(温かい……)
マヤは温かいまどろみの中にたゆたっていた…。
あまりにも心地よくて、
もうずっとこのまま、たゆたっていたい……。
そう思えるほど、今まで味わった事のない安らぎがマヤを優しく包み込んでいる。
(でも…、まだダメ……)
いっそこのまま目覚めなければいい…。
蜜のような誘惑がマヤを甘く甘美にまどろわせるが、ズクンと渦巻く鈍い胸の痛みが、彼女の沈みゆく意識を押し留める。
(まだ…、私は…………)
「……マヤ様、大丈夫ですか??ご気分がすぐれませんか?」
(………?)
マヤがうずく胸の痛みに意識が囚われ、再び深い眠りに落ちれないでいると、ふと、かすむ頭に知らない若い女の声がふってきた。
「顔が火照られてきています。適度な入浴は健康にも美容にも良いですが、入りすぎるのは体の毒です。さぁ、そろそろあがりましょう?」
「おかしいわね…。若のおっしゃり様だと、もう意識もはっきりしてきても良い頃だけど…。一刻は入られたままよ?無理やりにでも上げた方がいいんじゃ…」
(……?)
マヤはもうろうとしつつも、周りに意識を向けてみる。
すると、マヤの周りに二人…いや、三人だ。
それ以外にも、若い女性と思われる人の気配が五、六人感じとる事ができた…。
「あらあらホント!マヤ様。これ以上お湯につかっていると、のぼせてゆでだこになりますよ?いい加減上がられませんと、これから予定がじゃんじゃん控えております」
「そうそう。初夜もひかえていますのに、ダウンされては若が可哀想ですわ!」
(…………。………しょ……?)
何か不穏な言葉が聞こえてきた気もするが、その言葉もマヤの耳を通り抜けるだけで、頭の中には入ってはこない。
小鳥のさえずりのように、女達の言葉がマヤの頭上でせわしなく行き交う。
「ほら、私どもが《全身ボンキュッボンお肌すべすべスペシャル香油マッサージ》を施してさしあげますから、湯から上がりましょう!お前たちも手を貸して!!」
「「「……は~い。そ~れっ!!!」」」
「~~~~……っ!!!?」
ザパァッッ!!!
盛大な水音とともに、マヤの声にならない叫び声が虚しく乳白色の湯船に響き渡る。
(――――――…っっっっ!!!痛い!全身が痛いっ!!!)
女達に思い切り両腕を引き上げられ、マヤは横たわっていた湯船から、素っ裸のまま勢いよく引きずり出される。
「ほら!マヤ様もご自分で歩いて…!!」
(あ、歩いてって言われても…っ!)
そう言われながら、マヤは半ば引きずられるようにして、近くに作られたマッサージ用の寝台にずるずると連れられていく…。
(な、何でこんなに全身激痛が!?……って、痛っ!…っ、そこ…、引っ張らないで…っ!!!!!)
状況は全くのみこめていないが、痛みのせいで霞がかっていた意識は一気に覚醒した。
引きずられているその間にも、女達に掴まれたり触れられている所に物凄い激痛がはしる。
刺し傷や打撲…とは違う痛み。
今まで経験してきた痛みも比にならないほど強烈さだ。
これはきっと…、マヤが久方忘れていた筋肉痛…なるものが一番近い気がした。
少し軽く触れただけで、電撃に撃たれたかのような痛みが突き抜ける。
「はぃ!!横になってぇ!!!」
「やめっ―――…っっっ!!!!」




