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森の都⑥
ひときわショックを受けただろう、クムジの娘ムスカは、鍛えぬかれたその足をガクンと地面に崩し倒した。
「な…、何故。何故なの…!!」
彼女はブルブルブルブルと体を震わせ、普段の彼女からは想像出来るが、見たことはない。
淑女らしからぬド迫力な仕草で地面の草をブチブチンっと引きちぎり…。
事情を知る周りにいた野次馬の人々も、何も見ていないと言わんばかりに、サッと彼女から視線をそらす。
そして彼女は渾身の魂の咆哮を、辺り一帯にぶちまけた。
「何で…、何故なのよぉぉおおおおおおおおおおぉぉぉおおおおおお――――っっ!!!!!!!」
その雄々しい雄叫びは、高々と森の都全土に響き渡り、誰の耳にも届くくらい凄まじい物だった。
それを聞いた森の民たちは、
「何だ騒ぎの原因は若か……」
と、皆安心して家路に帰って行ったという…。
「………ハヤテ。ムスカはどうしたんだ。具合でも悪いのか?」
ムスカの雄叫びを前に、若長はビリビリと声の余波を浴びながら、両脇にいた部下達に問いかける。
「若。あんた、変なところで鈍感すぎますよ……」
「ですよね…。オレでもわかりますもん」
もう笑うしかないハヤテと、気まずそうに視線をそらすコウ。
「?」
当の本人は乙女心にはどこの空……。
マヤの苦労はこれからである…。




