宴の翌朝 消えた族長⑦
「い、生きているって…そんな適当な」
全くもって、青年の言うとおりだ。
だが、奴がそんなヘマで私を殺す事がないのも、もちろん分かっている。
(なぜそこまでして私を連れて行きたいの…?)
愛人なんて馬鹿げた事を言ってまで……。
馬車に揺れながら…、繰り返しマヤの頭の中に浮かび上がるのはその疑問だ。
男の真意を探らないと…。
(そうしなければ、この先もこの男に邪魔され続ける…)
マヤの直感がそう告げていた。
(………っ?!)
ぐらぁり。
少しだけ頭の頭痛がおさまったと思った矢先…。
激しい眩暈をともなう、物凄い眠気がマヤを襲い始めた。
(ダメ…。引きずられる……!!)
必死に抗おうとするが、目の前がぐるぐる回るかの様な睡魔が次から次へと否応なく襲ってくる。
眠りに引きずり込まれそうになった時…、男の背後から壁を数回叩く音がした。
コンコンコン。
「若ーっ!世界樹が見えてきたんであと2~3時間で森の国の入り口に着きますよ~。その前にどっかで休憩とりますか~!?」
外で馬のたずなを操るハヤテが、馬車の中に聞こえる様声を張り上げて聞いてくる。
「いや!そのまま進んでくれ。追っ手が来る前に態勢を整えとかないといけないからな。出来るならもっと急げるか…?」
男は窓を開け、ハヤテにむかって答える。
ついでにもっと早く進めとオマケ付きで…。
3日間ほぼ休憩なしで走って、まだこれ以上速く進めというのか。
「馬も走りつづけで疲れてますから、これ以上は…。でも確かにオレも色んな意味で何されるか恐いんで、急ぎましょうか。何かあったら声かけて下さいね!」
そう言って男の要望に応える為に、ハヤテはたずなに思い切り力を込める。
「ぁ~…。オレ、この後どんな目にあうんだろう…」
マヤの向かいの席、男の隣に座っているコウ青年は、二人のやり取りを聞いて頭を抱えてこの先に起こるだろう災難に頭を悩ませている。
(あと2、3時間…)
それまでには薬の薬効は抜けきるだろうか…?




