宴の翌朝 消えた族長④
ピチチチ…。
バサーッと、朝露に濡れた木々から小鳥達が飛び立つ。
「……………。」
ふと、クムジは何を思ったのか、朝の澄み切った青空を遥か遠い目で見上げた。
「………いぃ天気じゃの…」
もぅ、そんな言葉しかクムジの口からは出てこなかった。
普段なら何て事無い朝の空気が、今日はちょっとだけ体にしみる…。
「ハッ!」
その時だった。
背後からクムジに向かって吐き捨てるような声が聞こえてきたのは…。
「……何がいい天気です。昨日の酒が頭まで廻りましたか?」
ガチャリ…、と冷たい金属音が後ろで響き、チクリと鋭利な切っ先がクムジの背中で止められる。
「おはようございます。クムジ将軍?ぐっすりお眠りになられた様で…。実に羨ましい限りです」
物腰は柔らかいハークの言葉だが、クムジの耳には彼の言葉に隠れ潜む、毒づいた罵詈雑言がしっかりと聞き取れる。
(あ゛あんっ?テメェ脳天気に朝まで眠りやがって…!事の状況分かっとんのか!?このボケェ!!)
………という所だろうか。
見なくてもクムジには分かる。
奴はとてつもなくお怒りだ。
「夜遅くにですが、うちの警備兵から気になる報告を受けましてね…」
「あんたの所のボンボン……。今何処です?」
そう言ってハークはオイコラと言いたげに、プスリと少しだけクムジの背中をその切っ先で突き刺す。
「………はて。何の事かのぅ~~~?」
とりあえずクムジはすっとぼけてみる。
切っ先が少し刺さっているが、色んな意味で振り向く事が出来ない森のくまさん…。
ただただ冷や汗が滝の様に流れ出ていく…。




