宴の翌朝 消えた族長①
ピチチチ…。
「んぁ?」
(……何か背中がチクチクするのぉ~)
目覚めの一番―…。
クムジの目に一番最初に入ったのは、清々しい朝の青空。
少しだけ肌寒い空気が、二日酔いで気怠いクムジの肺に、スゥーっと吸い込まれていく…。
「はぁ~~~~~。いい天気じゃのぅ~。……てか、わし。何でここで寝てんのじゃ?」
気がつけば…、クムジは酒樽片手に、草むらの上に大の字で寝ていた。
丁寧に刈り込まれた芝生は朝露に濡れ、上半身裸のクムジの肌をチクチクと突き刺す。
「「ガーッ、ゴーッ」」
「んん…?」
クムジはまだ半分眠っている目で周りを見渡すと、庭園の草むらのあちこちから、実に男らしいいびきが聞こえてくる…。
「あぁ…」
「そう言えば、飲んで踊り始めた挙げ句に皆で庭に飛び出したんじゃったか…」
(そんで、水のと喧嘩の殴り合いになって―………、そんでどうなったんじゃけのぅ?)
……何か大切な事を、忘れている気がするような、…しないような?
(…何か胸の辺りがこう、もやもや~っとする感じが…。なんだかすっきりせんのぅ~)
そう思いながらも起きる気になれないクムジは、再び草むらの上にどでっと大の字になる。
ボリボリとお腹をかいて手を元に戻すと…、カサリと何かが手に当たる音がした。
「んん?」
なんじゃぁ?と、クムジが手探りでそれを持ち上げて見てみると、白い紙に見覚えのある文字が並んでいた…。
どうやら置き手紙の様だ。
(この字はハヤテじゃのぅ…。何じゃい、インク何ぞで書きおって…。男なら男らしく墨と筆ででかでかと書かんか!)
あ奴は何でこう、何かとチャラチャラしておるのかのぅ~?
そう思いながら、クムジは気怠い頭でおもむろに手紙の内容を読み始める…。
「………ん?」
(だめじゃ。もう一回…)
しばらくの沈黙の後、クムジは目を何度もしばたかせ、手紙の内容を読み取ろうと必死に再びトライする。
しかし…。
しばらくの間…、クムジの頭の中にその内容が入ってくる事は無かった。
簡単に言い換えると…。
その手紙の内容を理解する事を、クムジの体が猛烈に拒絶していた。




