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マヤ 〜忌みつ姫と森の若長〜  作者: 早瀬ヒカル
34/59

宴の翌朝 消えた族長①



ピチチチ…。





「んぁ?」




(……何か背中がチクチクするのぉ~)




目覚めの一番―…。





クムジの目に一番最初に入ったのは、清々しい朝の青空。




少しだけ肌寒い空気が、二日酔いで気怠いクムジの肺に、スゥーっと吸い込まれていく…。




「はぁ~~~~~。いい天気じゃのぅ~。……てか、わし。何でここで寝てんのじゃ?」





気がつけば…、クムジは酒樽片手に、草むらの上に大の字で寝ていた。






丁寧に刈り込まれた芝生は朝露に濡れ、上半身裸のクムジの肌をチクチクと突き刺す。




「「ガーッ、ゴーッ」」






「んん…?」





クムジはまだ半分眠っている目で周りを見渡すと、庭園の草むらのあちこちから、実に男らしいいびきが聞こえてくる…。




「あぁ…」





「そう言えば、飲んで踊り始めた挙げ句に皆で庭に飛び出したんじゃったか…」






(そんで、水のと喧嘩の殴り合いになって―………、そんでどうなったんじゃけのぅ?)





……何か大切な事を、忘れている気がするような、…しないような?




(…何か胸の辺りがこう、もやもや~っとする感じが…。なんだかすっきりせんのぅ~)




そう思いながらも起きる気になれないクムジは、再び草むらの上にどでっと大の字になる。




ボリボリとお腹をかいて手を元に戻すと…、カサリと何かが手に当たる音がした。




「んん?」




なんじゃぁ?と、クムジが手探りでそれを持ち上げて見てみると、白い紙に見覚えのある文字が並んでいた…。





どうやら置き手紙の様だ。





(この字はハヤテじゃのぅ…。何じゃい、インク何ぞで書きおって…。男なら男らしく墨と筆ででかでかと書かんか!)




あ奴は何でこう、何かとチャラチャラしておるのかのぅ~?




そう思いながら、クムジは気怠い頭でおもむろに手紙の内容を読み始める…。





「………ん?」





(だめじゃ。もう一回…)





しばらくの沈黙の後、クムジは目を何度もしばたかせ、手紙の内容を読み取ろうと必死に再びトライする。





しかし…。





しばらくの間…、クムジの頭の中にその内容が入ってくる事は無かった。




簡単に言い換えると…。





その手紙の内容を理解する事を、クムジの体が猛烈に拒絶していた。




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