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マヤ 〜忌みつ姫と森の若長〜  作者: 早瀬ヒカル
31/59

愛人⑧







(……私の、もう一人の標的…………!!!)







マヤは男の正体を察し、再び激しく暴れ始める。





しかし、なおも男は何食わぬ顔で平然とマヤの抵抗を封じてしまうのだ。





(……っ!目の前に標的の一人がいるのに…っ!!)






マヤの中で、言い知れない衝動だけが無惨にかきたてられる。






『仲間が心配じゃないのか…?』





「…!」




ボソリと頭上から降ってきた男の囁きに、マヤの抵抗がピクリと弱まる。





『…君が大人しくするなら仲間の安全は保証するよ…。君がこれ以上無駄な騒ぎを起こさなければハーク殿は旅団に手出しはしない…。慎重な方だからね』





『それに……』





『俺が今から別の騒ぎを起こすから、きっとそれどころじゃなくなる』





「………!??」





困惑するマヤに向かってそう囁いた男はにっこりと微笑む。





マヤは男の真意が全く掴めない。





すると男はマヤから視線を外し、自分の部下達の方に視線を戻したかと思うと、まるで何事も無かったかのようにパッパッと指示を出し始めた。





「ハヤテ、今すぐここを出る。ミルディには急用ができたと伝えてくれ。婚約は無しの方向で」




「へ~い」




ハヤテと呼ばれたこじゃれた感じの青年は、男の指示に従って了解~と言う感じにのんびり手を振りながらその場を後にしていく…。





「コウ。コウは麻布。彼女が入るくらいの大きいやつね」




「(!!?)」





とんでもない男の言葉に、先程までフル回転していたマヤの思考がビシリと瞬時に凍りつく。





それは指示された本人も同様だ。





「はぃっ!?彼女が入る麻布っ!!?入るってまさか……」




《グフ~》




コウと呼ばれた青年は、戸惑いながらも男からマヤへ恐る恐る視線を移す。





両手に手枷。

床を背に身動きを封じられているマヤの衣服は、肌もあらわに乱れている…。





「いゃですっ!」





青年はものすごい剣幕で拒絶した。





「俺に人攫いの片棒担がせる気ですかっ!!?どう見ても若が無理やりか弱い踊り子を手込めにしようとしてる図じゃないですかっ!!どう見ても嫌がってますよ彼女!?」




「…というか!若っ!!そもそもあんた今日は自分の婚約式でしょうがっ!?そんな日に何でミルディ皇女ほったらかしに、別の女性に手ぇ出してるんです!?あんた元々そんなキャラじゃないでしょうっ!!?」





………余程嫌なのだろう。

ビシッ!とマヤと男を指差し、青年はハッキリと言い切る。





「若に手ぇ貸したら、俺がクムジ将軍に殺されますっ!いゃですよ!いゃですからっ!!俺は関係ありませんっ!!」





(……よく言ったわ青年!)





この状況をなんとか出来るかもしれない…。




マヤにはコウという青年が天の助けの様に感じられた。




(うまくりよいけば、隙を見て逃げ出せるかもしれない)




怒涛の彼の反論も然り。




思い返してみれば、面白半分のもう一人に比べ、この青年の反応は最初からまともだった。




主の間違いをハッキリ正す。


彼は将来、きっと素晴らしい補佐になれるだろう。




今からこの平和をぶち壊そうという自分が言うことでは無いのだが…。




もしこの状況から逃げ出せて、首の水霊石からも解放されたら、彼の命だけはたすけてやろう…。




マヤは心の底で固く誓う。




しかし………。




マヤが彼の常識かつ勇気ある行動にいちるの望みを見出し、逃げ出す算段を頭の隅で計算しはじめたつかの間…。




男が青年の必死な抵抗にトドメを刺す。




「………コウ」




「そんなに嫌なら今日付けで俺の側近からお前をはずすぞ?」





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