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マヤ 〜忌みつ姫と森の若長〜  作者: 早瀬ヒカル
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知らせ




◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇





《グルゴァアア~〜~~~ッ》





地下の暗い闘技場の中で、怪物のけたたましい咆哮が響き渡る。




辺りには血の臭いが立ち込め、足元は何十頭もの怪物の死骸が転がり重なっていた。




《ガァアアアーーーーーーッ!!》




……………………最後に生き残った一頭が、牙を剥き出しに彼女に向かって突進してくる…。





その牙をすんでの所で跳び退いて避け、空中で体を反転させながら…、彼女は両手に持つ二つの大きな円状の刃に力を込め、狙いを定めた。





怪物の首めがけて刃を振り切るその瞬間…。耳障りな老婆の笑い声がマヤの耳に入る。




闘技場の二階から、しわがれた老婆の声が響いた…。





「…………忌みつ姫。親方様がお呼びじゃ」





ローブの帽子をまぶかくかぶった黒づくめの老婆は、ランプを片手に不気味にマヤを見下ろしていた。




「……っ、今行くわ」




《ガァアアアーーーーーーーーーーーーーッ!!》





彼女の刃が空を切り、ザンっ!という凄まじい音と共に、怪物の巨大な首が音を立てて床に転がり落ちる。




………その後を難なく着地したマヤだったが、気が散ってしまったせいか、思いのほか返り血を浴びてしまっていた。




頬に飛び散った血を無表情で拭うマヤに、老婆がさも楽しそうに声をかける。





「……………先ほど密偵から知らせが入りおった……。お前の半分血のつながった妹……、確かミルディといったかえ?………森の若い次期長と縁談が決まったそうじゃぞ………??」





「!」





「さぞや憎かろ…………?思う存分、恨みを晴らしてくるといい…………」





ピクリと僅かに動揺を見せるマヤの様子を見て、老婆はヒッヒッヒッと不気味な笑みを残し、用は済んだとばかりにランプを揺らしながら闘技場を去って行く。




「…………。」




老婆の気配が闘技場の闇から消えて無くなると、マヤは無言のまま血に塗れた円刀を拾い上げた。





その刹那………、






彼女の黒曜石の様な黒い瞳が、燃えるような赤へと変化した。




……………禍々しい紅蓮の焔だ。





暗く静まり返っていた闘技場の闇が、ザワリと震える。





その瞬間…。





ゴオッ!!





いきなり彼女の体から、激しい高温の熱風が噴き出した。




そしてその後を追うかのように、足元から一つの炎輪が閃光の如く闘技場の床を駆け巡り…………………、




フッと消え失せた。





辺りは静まり返り、暗い静寂が再び闇の闘技場を支配するが……………、次の瞬間。





闘技場の床に散らばる大量の怪物の肉塊が、一斉に激しい業火に包まれた。





全てをのみこむ凄まじい高温の炎が、巨大な怪物の肉や骨を跡形もなく燃やし尽くしていく…。





揺れる炎の中……。






気がつけば、マヤの腰まで伸びる黒髪も瞳同様。




別の色へと変化していた。




長くウェーブがかった色鮮やかな朱色の髪が、炎と共に怪しく揺らめきたつ……。





「………………………憎い…?そんなものでは片づけられないわ」





(………殺してやる)





今のマヤを支配する、このどす黒い感情……。





「あなたの存在全てを…………、私が全て否定してあげるわ…………………!!!!」





激しい憎しみの炎をその瞳に揺らめかせ…………、





………………マヤは静かに燃え盛る闘技場を後にした…。







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