表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
マヤ 〜忌みつ姫と森の若長〜  作者: 早瀬ヒカル
19/59

囚われの身 脅迫②






普段の祭事の行事は全てこの部屋で執り行われるが、あの階段を降りていくと、本物の水の神殿まで続く直通の洞窟へと出られるはずだった。





(見張りはいない…)





マヤは神経を研ぎ澄まし、細心の注意を払いながら扉の中へと足を踏み入れる。





(感じる…。この先に水霊石の固まりが確かに存在する…)





神殿の中に入ってみて、マヤは改めて確信した。





ずっと足を前に進める度に感じていた、何か水面の波紋の様な力の波動…。




それがこの扉を開けて、段々間隔が短く感じられる様になってきていた。





マヤは部屋へ入ると、吸い込まれる様に地下へと続く階段へと足がどんどん進んでく。





そして目の前の階段に、彼女が一歩踏みだそうと足を浮かせたその瞬間…。




ガチャリ。





(……!?)





誰もいないはずの空間で、入り口の扉の方から嫌な金属音が鳴り響いた。





(誰っ…!?)





背後で大扉の古びた錠の音が鳴り響き、マヤの中にかつてない程の衝撃が走る。






(この私が気配を全く感じ取ることが出来なかった…?)





殺しの技を生業に生きてきたマヤにとって、その事実は彼女をわずかならずに動揺させた。




振り返り様、いつもの殺しの反動で、懐に忍ばせた暗器を投げつけそうになるが…。





(ダメ…!)




瞬時に冷静さを取り戻した彼女の頭は、体に染み込む殺しの反射を理性の力で無理やり押し潰す。




この部屋は既に水の神殿の完全な領域…。




(今下手に血を流したら、奴らに知られて計画が水の泡になってしまうかもしれない…)





マヤは相手に気付かれぬ様、そっと暗器へと伸ばした手を元の位置へと戻す。





そして彼女は、静かに先程の金属音のなった方向を見据えた。





……20くらいだろうか?





暗くて良くは見えないが、見目は良い様に見える…。




若い男だ。




大扉の影でもわかる、色鮮やかな深い緑色の瞳と松葉色の髪の毛…。





額には美しい石のあしらわれた飾り紐を巻いて、森の民特有の色を持ち合わせた謎の若者は、口元を微笑ませ、少し楽しげにマヤを見つめている…。






「……そこで何してるんだい?旅の踊り子さん」






男はにっこり笑ってマヤに問う。





そして彼女へ向かって数歩…、大扉の前からゆっくりと距離を縮めてきた。





男が近づいてくる数秒間、マヤは少しでも情報を得ようと、神殿の青白い暗がりの中、必死に目を凝らして男の容貌を見ようとする。





帯刀している姿…。

格好からすると間違いなく兵士だろう。




しかし、マヤの目のから見て、どう見てもあの男は森の民である事に間違いないのだが…。




違和感は男の着ている服…。





(何故森の一族の男が水の兵士の格好をしているの…?)





どう考えても、マヤにはその理由が思い浮かばない。






まさか今回の婚姻を機に、訓練に格好づけて、互いの兵士を交換でもしているのだろうか?





(……いったいこの男は何者なのだ…)





マヤが男のいでたちに困惑していると、男はようやく月明かりの差し込む所まで歩み出て来て、その足を止めた。





マヤの目に、男の容貌が初めて顕わになる。





その瞬間…。






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ