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マヤ 〜忌みつ姫と森の若長〜  作者: 早瀬ヒカル
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旅団一座と沙漠の女神②






◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇






ミルディ王女の連れてきた旅の一座は、とても凄まじいものだった。




全員が摩訶不思議な仮面と衣装を身につけ、ある者は虫、ある者は動物に擬態して、腰にくくりつけられた紐で壁を駆け上ったり、空中を上下自由に飛んで舞台を踊りまわった。




役者のセリフは一切無く、奏で手が演奏する音楽と、ヂャルジュを弾く老人の語りのみで物語が進んでいく…。





戯曲の内容は、砂漠で二人の男女が恋に落ちるという、何処にでもありそうな内容だ。





しかし、驚くほどの柔軟性や表現力。曲芸まがいのパフォーマンスなど、次から次へと繰り出される常人を超える荒技の数々で、観客の目を飽きさせることは全くない。





場面はクライマックスに入り、恋人達は駆け落ちの末、砂漠の迷宮へと足を踏み入れる。





広間の明かりが落ち、辺りが暗闇に包まれるその瞬間…。





人々の空気がざわりと震えた。





シャン…、シャン…。





暗闇に包まれた舞台の上。





何処からともなく鈴の音が聞こえてきて、闇の中から一人の女神が姿を現した。





女神は目まで覆う美しい銀の兜をかぶり、数人の下僕を引き連れ恋人達の前に圧倒的な存在で立ちはだかる。





男の美しさに心惹かれた女神は、男を生け贄に捧げよと要求し…。





そして男をかけ、女神と乙女の闘い。剣舞が始まった。





暗闇の中。






キラキラと、舞台のわずかな光を反射して輝く女神の銀の兜には、植物のツルをモチーフにした繊細で美しい金の装飾が施され、妖しい美しさで彼女の表情を覆い隠している。




そして女神と乙女、両者の剣が交わる度……、




女神のウェーブがかった柔らかい黒髪と、淡く光沢する乳白色のシルクの衣装が、相対する乙女の若草色の衣装と共に、空気を帯びて流れるように宙を舞う…。





その姿は闇の中で異質…、それでいて荘厳で美しく。神秘的な存在として人々の目に焼き付けられた。





広間の誰もが息をのみ、時間を忘れて彼女達の舞いに魅入られていく…。




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