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闇の底
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深い深い地下の底…。
松明の明かりが、幼い少女のいる地下牢をオレンジ色に照らし出す…。
床まで伸びた長い髪の間から、少女は虚ろな目でそれを見上げた。幼い瞳に映ったのは、とても大きな巨大な影…。
(鬼…)
(檻の向こうに…鬼がいる)
『…………マヤ』
地を轟かすかのような低い声、が幼い少女の名前を呼ぶ。
そして幾度も繰り返し聞かされるこの言葉…。
『お前は……………、』
『生まれてきてはならなかった』
……………それは呪詛のように幼い少女の脳裏に刻まれる。
少女はふと檻の向こう側…。
鬼の立ちはだかるその先を見上げた。
そこはいつもと変わらぬ、どこまでも続く闇の螺旋階段…。
(なら…)
(なら私は何故生まれてきたの……??)
そんな思いが、幼い少女の心に泡の様に浮かんでは消えていく…。
………………それが幼いマヤの全てだった。




