ドジなバーテンダー
「あ、あの、大丈夫ですか・・・?」
杉田は、さっきの出来事がまるでなかったかのような
振る舞いでニコニコしてるバーテンダーの女性に声をかける。
「はい。申し訳ありません、やはり慣れない靴は
履かない方がいいですね。もう捨てちゃいました♡」
「す、捨て・・・?いや、そこまでしなくても!
そういうのって高いんじゃないんですか?」
「でももう折っちゃいましたもん。」
「W、WAO・・・。」
バーテンダー姿の女性は、平然と折ったヒールの部分と
靴を見せる。
杉田はあえて、いつ折ったのか、どう折ったのかは
聞かないことにした。
「あ、すみません、自己紹介がまだでした。
私、クロと申します。
クロのバーカウンターのクロです。」
「あ、はい。よろしくお願いします。杉田です。」
「杉田様ですね。ようこそいらっしゃいました。
ご注文は何にいたしますか?」
「いや、あの・・・・その前に・・・。」
「はい?」
クロは首傾げる。
「拭くもの・・・もらってもいいっすか?」
「え?」
クロは、びしょびしょの杉田の姿を
再度見、ハッとした。
「あぁぁぁあ〜〜!!そうでした〜〜!!
すみません〜〜!!」
「あぁもう慌てないで下さい!!また転びますよ!!」
大丈夫なのか?この店。そう思う杉田であった。