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超短編1000文字以内

偽物ウィンナー珈琲

作者: あさま勲

元々はティーシナルヒビのシリーズで使おうと思ってたネタをラジオ大賞用に1000文字以下まで圧縮してみました。

ティーシナルヒビと同じ書き方をすると、文字数は余裕で2000文字を超えちゃいます。

 夕食後、妻の出したウィンナー珈琲を見て私は絶句した。

 ……なるほど。確かにウィンナー珈琲である。

 珈琲の入ったカップにウィンナーソーセージを豪快に突っ込んだ、非の打ちどころのないウィンナー入り珈琲だった。ちなみに、本物は表面をホイップクリームで覆った珈琲である。

「洒落てるなと思いきや……洒落がキツイですね奥さん」

 私は普段、妻の事を奥さんと呼んでいる。

 ちなみに妻は私を旦那とだけ呼ぶ。敬称を付けて呼ぶ時は要注意である。

「そう。昔、旦那が御馳走してくれるって言ってたウィンナー珈琲」

 ようやく意図を察し、私は過去の過ちを思い出した。

 今から十年近く前、付き合い始めたばかりの妻を喫茶店へと誘いウィンナー珈琲に関して蘊蓄を語ったのだ。

「ウィンナー珈琲……ウィーン式珈琲って意味ですが、和製英語なので外国じゃ通じないから注意が必要ですね」

 とりあえず、ウィンナー珈琲に関する以前は語らなかった正しい蘊蓄を語ってみる。

「へぇ、ウィンナーソーセージってウィーン式ソーセージって意味だったんだ?」

 耳を貸してくれた妻に、私は更に語る。

「そう。ソーセージは腸詰で羊の腸を使うのがウィンナー。豚はフランクフルトで牛がボロニアン。けど今はソーセージの太さの規格として呼称が使われてますね」

 私の言葉に妻はニッコリ笑った。

「さすが旦那様は物知りね」

 妻が意図して発した危険信号である……発する前から察していたが私は目を(そむけ)ていたのだ。

「ええ、熱々珈琲でウィンナーソーセージをボイルする忙しいウィーンっ子の朝の定番とか……友人からの受け売りたったんですが本物は初めてです!」

 そう嘯き、感激を装ってカップの中からソーセージを摘んで食べる。

「旦那……こんなに時間をかけた嘘を仕掛けてくるなんて思いもしなかったわよ?」

 震える声である。友人に責任転嫁してみたが無駄であった。

「いや、すぐ喫茶店で本物を頼んでネタ晴らしするつもりだったんです。でも奥さんラーメン食べたいって言うからっ!」

 これは本当である。結果ネタ晴らしの機会を逸して忘れ去っていたのだ。

「お昼ね……喫茶店で本物見た時に吹き込まれたホラ話を思わず口にしちゃって大笑いされたのよっ!」

 笑って貰えたなら良いじゃないか……そう言わないだけの分別は私にもある。

 妻の愚痴と説教で夜は長くなりそうであった。

ちなみにこのネタ……第一回のゲラゲラコンテストでも使ってますね。

あれはコントの台本で登場人物二名の台詞オンリーの台本形式で書きました。描写は演じる人の判断でやってくれと意図的に省いてます……つうか台詞オンリーでも理解できる内容として書きました。

なろうの単発読み切りとしてはアクセス数が妙に多く、受賞発表間際までアクセスがあったんで期待してたんですが駄目でしたね……

ゲラコン第二回は、初回の受賞作をコソッと発表って投げやりっぷりに腹が立ったんでスルーしました。


今回、超短編って事で、どうやって1000文字以下に圧縮するかで悩んでの一人称です。

それでも文字数オーバーで削るのが大変でした……


12/19

改稿前「旦那……こんなに時間をかけた『罠』を仕掛けてくるなんて思いもしなかったわよ?」

改稿後「旦那……こんなに時間をかけた『嘘』を仕掛けてくるなんて思いもしなかったわよ?」

『』内が改稿部分です……罠より嘘の方がシックリくるかなと……

そもそも旦那は罠なんか仕掛けるつもりはなかったわけですし。

他にもチョコチョコ弄ってますが話自体は変わってません……というか変えようがありません。

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