屋敷と奴隷と金孤姉妹
連日投稿五日目
珍しく続いている連日投稿ですが、あと一週間ほどで終了となります。
続きは思いつき次第投稿していきますので、楽しみにお待ちください。
ゼウスティアは国王から頂いた屋敷へと向かっていた。
その屋敷は、もともと侯爵だった者が使っていた屋敷なので伯爵が使う屋敷にしては大きいほうだと言っていた。
屋敷に付くとそこにはメイドと執事が一人ずついた。
「初めまして。シルヴィアと申します。王城から派遣されてきました。筆頭メイド長として働くこととなります。よろしくお願いします」
「初めまして。コランと申します。同じく王城から派遣されてきました。執事長として務めさせていただくこととなります。よろしくお願いします」
「こちらこそ、初めまして。ゼウスティア・フォン・オルコットです。よろしくね」
ゼウスティア達は簡単なあいさつを終え、屋敷の中に入っていった。
屋敷の中は少し汚れていたがかなりきれいではあった。
ゼウスティアは屋敷の外壁などが少し剥がれていたのを思い出した。
三人でもう一度外に出るとゼウスティアは『屋敷清掃』と『屋敷補修』を唱えた。
すると屋敷は新品のようにきれいになった。
「初めて見ました。このような魔法もあるのですね」
「そうだ。シルヴィアさん。この屋敷のメイドや執事って一人ずつで大丈夫ですか」
「メイドはあと4,5人ほどは必要ですね。執事はあと1人か2人もいれば大丈夫だと思います」
「じゃあメイドや執事を雇うとして、どこに行けばよいのかわからないのですが。どこか良いところはありますか?」
「それならば、奴隷などはいかがでしょうか?奴隷なら裏切られることもありませんし」
「奴隷かぁ…そう言うならば、奴隷を買うことにしましょう。奴隷とはどこで買えるのですか」
「ならば王国からも許可証を貰っている、奴隷商に行くとしましょう。規模としても王国の中での規模は最大ですし」
「じゃあ、その奴隷商に行くことにするか」
ゼウスティアはコランと二人で奴隷商に向かっていた。
数分ほど歩くと二階建ての建物が見えてきた。
「ここが、王国で最大の奴隷商ですか」
「はい。そうです。では中に入りましょうか」
「いらっしゃいませ」
中に入ると、執事服に身を包んだ初老の男性が挨拶をしてきた。
まだ幼いゼウスティアの姿を見ても、動じず姿勢を正し挨拶してくる。
「いらっしゃいませ、オルコット卿。我が商館にようこそお出で下さいました。本日はどのようなご用向きでしょうか」
「あれ、なぜ僕の名前を?」
「商人にとって情報は命ですから」
ゼウスティアは名前を相手が知っていたことに驚いた。
「私は、ここの商会長を務めているタマニスです」
「商会長がなぜ、受付をしているのですか」
「私は人を見て商売をします。誰にでも奴隷を売るわけではありません。自分の目で見て、売るかを判断しています」
「そういうことだったのですね。今回は、メイドと執事を雇いたいと思いまして。家事などのスキルを持っている方はいますか」
「了解しました。ただいま連れてまいります」
そういうと奥からメイドと執事に向いているスキルを持っている者をメイドを10人、執事を5人連れてきた。
「この者たちはどうでしょうか。怪我なども、犯罪を犯した者たちではなく、口減らしとして売られてきた奴隷ですし、怪我もないのでいいと思うのですが」
「そうですね・・・この人と、この人。そしてそこの二人の執事を買おうと思います。奥にはもういないのですか」
「欠損のある者たちはいますが」
「では、その方たちも見せてもらえますか」
「分かりました」
ゼウスティアはタマニスに付いて奥のほうへと向かった。
ゼウスティアは案内され奥の部屋に入っていった。
そこには、年の違う二人の獣人の姉妹がいた。年は7歳と5歳くらいだろうか。二人とも金色の髪を腰の辺りまで伸ばしている。頭には髪と同じ金色の狐耳が生えている。
しかし、年上の少女は両足が無く年下の少女は右腕が無くなっていた。
二人はお互いを守るように身を寄せ合いながらも、その顔には悲壮感を漂わせ、ゼウスティアをちらりと見るとまた顔を伏せる。
「この二人は?」
「モンスターの群れに襲われた奴隷商が、おそらく囮として使ったのだと思います。金狐は群れからさげすまれているので、奴隷として売られたのだと思います。そこに我々の商会の馬車が通り保護したのですがその時にはあのような傷を負っていました」
「この二人も買おうと思います」
ゼウスティアは二人をじっと見つめたままタマニスに告げた。
「ゼウスティア様!この二人は四肢を欠損していますよ」
「いいんだコラン。これは僕が決めたことだから。怪我は治せるから大丈夫だ」
コランはゼウスティアに考えがあるのだろうと納得し、素直にうなづいた。
「オルコット卿。本当によろしいのですか」
「うん。できればその前に二人と話したいんだけど・・・・いいかな?」
ゼウスティアが聞くとタマニスは頷き部屋から出て行った。
「宜しければ話を聞いてくださいませんか?その後で、嫌だというなら買わないことにします」
ゼウスティアは格子扉名中に入っていき二人と目を合わせて微笑んだ。
姉が妹の身を守るようにし、ゼウスティアを睨みつけた。
しかし二人は、ゼウスティアが目を合わせて微笑んできたことに驚いた。仮にも、一家の当主の貴族と思われる子供が、奴隷と目を合わせてきたのだ。
「二人とも家に来てくれるかな。怪我は僕が治すよ。僕は、二人一緒に家に来てほしいんだ」
ゼウスティアの問いに金狐族の姉妹は二人顔を見合わせた後、小さくだが頷いた。
「ありがとう。タマニスさん、話し終わりました」
「では、取引に移りましょうか。先のメイドと執事は、一人に付き金貨五枚。金狐族の姉妹は無料なのですが教育費と食費で、金貨一枚。合計で白金貨5枚と金貨1枚でどうでしょうか」
「分かりました。ではこれがお金です」
タマニスはお金を確認すると聞いてきた。
「金貨が4枚ほど多いのですが」
「それは、欠損のある二人を2年間育ててくれたお礼です」
「分かりました。オルコット卿のお気持ち確かにいただきました」
代金を受け取ったタマニスは二人の服を用意するために部屋を出て行った。
「そうだ。馬車を用意する必要があるな。馬車を出せる場所は近くにあるかな?コラン」
「隣に空き地がございました。そこで出してはいかがでしょうか?」
「じゃあそうしよう」
そんな話をしているうちに二人を連れて入ってきた。姉のほうは足が無いので職員に抱えられてきた。
「タマニスさん。隣の空き地に馬車を出してもいいですか」
「はい。大丈夫ですよ。アイテムボックスの容量がすごく大きいのですね」
ゼウスティアはタマニスに許可を貰い隣の空き地に出てきた。
アイテムボックスから取り出した馬車の中は王族が使うものより良いものだった。
「でもゼウスティア様。どうやって馬車を引っ張るのですか?」
「大丈夫だよ。今から呼ぶからちょっと待ってね」
そういうとゼウスティアは召喚魔法を唱えた。
『召喚・スレイプニル』
8本足の白馬が現れた。
「馬車を引いてもらえるか。スレイ」
『分かりました。主よ』
「じゃあ。そう言うことだから。馬車に乗ってくれ」
皆は8本足の白馬がいきなり現れたことに驚き、呆然としていたが、落ち着きを取り戻したコランが、金狐族の姉妹を馬車へと運び自分は前に乗った。
「じゃあスレイ。家まで馬車を引いてくれるか?」
『はい。分かりました』
ゼウスティアが頼むとスレイは馬車を引いて動き出した。
その後、王都の城下町には、馬車を引く8本足の馬がいたと云う噂が流れていた。
ここまでお読みいただき有難うございました
お楽しみいただけたでしょうか?
次話の投稿は明日の0時を目標としています
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