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オレの生き様はこうだ!~無知で無力で~【3】

会食の当日。

馬車に乗ってオレと国王とクレアはサース王国に出向いた。

案外距離があり、朝に出発して到着したのは夕方前だった。





サース王国は、成功した国だ。

王国内の領域に入り、街中の様子を見てオレは思った。

この世界の事がよく分かっていないオレでも分かる。

国民が活気に溢れている。物資が豊かに整っている。



その一方で、路地裏には貧しい身なりをした民がひっそりと生きている。

ああ、こういうヤツらがいるから一般庶民は『こうはなりたくない』と必死に働いて生活するのか。

そのプライドのおかけで国の経済も回る。

それに……。



「貴様!なぜ砂糖を持っている!」

路地裏に盗人が潜んでいたのを見つけた男が大声を上げた。

あれがサース王国が誇る治安部隊か。

血のように真っ赤な腕章をつけ、軍服のようなものを纏い、腰には剣を携えている。

治安部隊のなかには魔導士もいるとの話だ。

丸腰であんなヤツらに出くわしたら、まず抵抗は無理だろうな。

「いえ、これは一生懸命働いて、やっと手に入れた砂糖です」

盗人と言われた女は戸惑いながら答えている。

「嘘をつけ。お前のような貧乏人がどれだけ働いても買える代物ではない。盗んで売ろうとしたんだろう」

「そんな……言いがかりです!証拠はあるんですか!」

「だったら財布を出してみろ。庶民がその量の砂糖を買うならば、かなりの硬貨が入る大きさのはずだ。というか、ずっと俺はお前の行動を監視してたんだがな。素晴らしいほどの安い演技だった」

「……クソ!国家の犬が!」

盗人の女は豹変し、悪態をつきながら治安部隊に連れて行かれた。







砂糖を一般庶民に少し流通させつつ、貧しいヤツには絶対に買えない金額に設定する。

手に入らないならば盗んで、それを売ろうとした盗人は治安部隊に罰せられる。

貧民には見せしめになるが、それをせずには満足して生きていけないような暮らしを強いる。

砂糖を多く保有している国が故に、その誘惑をチラつかせた生活を送らされる。

なるほど、ちゃんとした国だ。







サース王国の王城を見てオレはある種の現実を悟った。

どうやっても崩れそうにない要塞。

その要塞に守られている、これまた侵入する隙のない造りの城。

さらには、魔法防御のためのシールドまで張られている。

市街地と比べると、一目瞭然だ。

王城には絶対に近寄れないようになっている。







「お待ちしておりました、どうぞこちらへ」

王家の従者に案内され、オレ達は王城内部に通された。

サース国王の間へ行くまでに、客人であるオレたちのために従者一同が道を作るように並んでいる。

一体どんだけ雇ってんだよ。それだけの財力があるって事か。



国王の間に到着すると、サース国王と王女がオレ達を迎え入れた。

「ようこそ、アーロン国王、エリオット王子、クレア王女。この度はご足労頂き感謝を申し上げます」

サース国王は微笑みながら一礼した。

嘘くさい笑顔ってのはこういう事なんだろうな、と思わせるような男だった。

眼光が鋭く、威圧感がピリピリと伝わってくる。

彼が身に纏っている宮廷服には煌びやかな装飾が施されており、その中にはサファイアも含まれていた。

サファイアはコイツにとって一部でしかないんだろうな。



「本日はお招き頂き、ありがとうございます」

アーロン国王が挨拶し、クレアもドレスの裾を持ち一礼した。

ああ、そうか。挨拶しないといけないよな。一応オレはエリオットで通している訳だし。ここで揉め事を起こすのは流石にまずい。

不慣れながらも、オレは右手を胸の辺りへ当てて一礼した。

「本日はシェフが腕に縒りをかけた食事を提供させて頂きますので、是非召し上がってください」

国王同士が社交辞令を繰り広げているなか、サース王国の王女がオレに近づいてきて一礼した。

「ご無沙汰しております、エリオット様。グレイスでございます。覚えておいででしょうか」

あん?コイツがグレイス王女か。何かどこにでもいるような面してんな。

オレと年齢はほぼ変わらないくらいで、サース国王同様にたくさんの装飾品を身に着けている。

「エエ。モチロンデスヨ」

オレはこれまた慣れない敬語を駆使した。

「先日エリオット様に頂いたサファイア、このように身に着けております」

そういって、グレイスはサファイアのついたバレッタを見せてきた。

長い髪を丸く束ね、バレッタで止めている。サファイアが上品さをより引き出している。

でもまあ、面はどこにでもいる女だがな。

「ソ、ソレハ良カッタ。トテモ似合ッテマスヨ」

あ゛あ゛~!!気持ち悪いぜ!社交辞令なんてよ!

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