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森の中心部へ

「ねぇ~、疲れたぁ。シッポ撫でてぇ~。」

「今はダメだ、移動中なんだから。それより背中にくっついてないで歩いてくれよ。」


今俺たちはゲッカの森を歩いている。もちろん調査依頼で、だ。


「えぇ~、そうしたらシッポ撫でてくれる?」

「シッポは無理だ。しゃがまないと届かないだろ。」

「シッポは、だよね。ならミミならいいよね!ちゃんと手も届くもん。」

「あ、あぁ。わかったよ。」

「やったぁ!じゃあ歩く。」


はぁ、今日はずっとこんな感じだ。ちょっとは加減すべきかとも思うのだが、ナナのやりたいことはやってあげたいって思ってるからな。あと、可愛いし・・・。


モミモミ・・・


「はふぅ。やっぱり気持ちいいよぉ。」


ガサガサッ


「んっ?出たな。《手榴弾》!」


音のした方に投げる。手榴弾Ⅱはこないだ試した時に森で使うには威力が高すぎたので普通の手榴弾を使う。


ドカァァン


爆発音のあとにポイントがたまっているのを確認した。うん、ちゃんと倒したみたいだな。魔物のいた場所に向かうと、ドロップと魔石があった。


「これは、ランクDのハイバードルだね。魔石Dとハイバードルの肉が落ちてるもん。」


鶏肉っぽいな。食えるのかな。


「これ、食えるのか?」

「うん!庶民的な肉としてバードルの肉があるんだけど、それの上位種でね。なかなかの高級肉なんだよ。」


ほぉ、それはすごいな。


「これで肉が食べれるな。」

「はりきって料理するよ。それでシュウの胃袋を掴んで・・・。ふふふっ。」


最近その妄想っぽいのが多いけど、俺のこと信頼してくれるのは嬉しいがちょっと怖いぞ?


それからしばらくはデータの少ない森の中心部に向かって歩いた。どれだけたっても景色が変わらない(そりゃ森だからな)のに疲れたのか、結局ナナは背中によじ登ってきた。まぁ、いいか。


───────────────────────────────


「暗くなってきたね~。」

「そうだな。そろそろテントの準備するか。」


少し進んだところに若干ひらけた場所があったので、そこでテントを張ることにした。その間にナナには料理の準備をしてもらう。火は火炎瓶で・・・なんてことはなく、実はナナは魔法が使えると言うことがわかったのだ。

といっても戦闘に使えるほどではないので、生活の家で使うことがあるぐらいらしい。

・・・俺も試してみたが魔力なんて得体の知れないものを感じることはできず、魔力がない、または魔力を感じ取れないと言うことがわかった。


「魔法って弱くても使えたらいいよなぁ。」

「そんなこと言ったらシュウのスキルなんてすごすぎるよ。それにレアメダルの中に属性グレネードってのがあるんだよね?」

「あぁ、ただレアメダルだからな。ポイント高いんだよなぁ。」


そう、実はレアメダルで各属性のグレネードがあったのだ。属性の種類に合わせて、グレネードも火、風、水、土、氷、雷、光、闇がある。ついでに全部そろえると任意で変更できるレアメダルの購入が可能になるらしい。ついでに統一できるタイプは、統一するまで強化ができないみたいだ。


「貯めたいって言ってたもんね。」

「レアメダルも買えないことはないんだが、せっかくならパッと使いたいだろ。」

「まぁ楽しみも必要だね。よし!できたよ。ハイバードルのバジル焼き。」

「おぉ!いい香りがしてたのはバジルだったのか。」


塩コショウにオリーブオイルとバジルで香り付けしたハイバードルの料理だ。野宿で食べるものとは思えない豪華さだな。


「「いただきます。」」


パクっ


「うまい!」

「ほんと!よかったぁ」


ハイバードルの肉って柔らかいな。さすが高級肉ってところか。

あまりに美味しかったので、すぐに食べきってしまった。俺もこんな料理が作れたらいいんだが・・・。生憎料理はからっきしでな。


「夜も遅くなってきたし、俺が見張りをしとくからナナは休んどけ。」

「いや、私がやるよ。獣人だから気配感知は得意だし。」

「いや、でも・・・。」

「じゃあ交代でやろ。私が先にするから、途中で交代してくれる?」

「あ、あぁ。わかった。ありがとな。」

「ううん。大丈夫」


ということなのでお言葉に甘えて先に休ませてもらう。テントの中で布団にはいって数分もすればすぐに眠りについた。


───────────────────────────────


ガサガサッ


ん?魔物か?いや、でもナナから何も言われてないしな。うっすらと目を開ける。

すると、目の前にナナの顔があった。目を閉じていて、徐々に近づいてくる。


「お、おぃ!ナナ。どうしたんだ。」

「え?あ、シュウ。起きちゃったんだね。」

「そりゃ上に乗られてたら起きるよ。てゆうか、なにやってるんだ。」

「えっとね。無防備に寝てたから襲っちゃおうと思って。ちょうど交代の時間だし。」

「・・・それ堂々と言うことじゃないだろ。はぁ。」


とりあえず乗られたままなのでシッポを触って怯んだところを・・・。


「ひゃぅぅ。だ、ダメですぅ。逃がしませんよぉ。」


うっ、この状態でも退かないとは。仕方ないのでお腹側にナナをくっつけたままテントから出る。


「私ちゃんと見張りしてたんだから、今はこのまま寝てもいいよね。」

「はいはい。わかったよ。」


何となく頭を撫でる。まぁ日課みたいなもんだな。


「はふぅ。おやすみぃ。」

「あぁ、おやすみ。」


それから魔物が出てくることはなかった。ナナは安心しきった様子で俺に抱きついて寝ていた。

あぁ、こうゆうの可愛いわ。


──────────────────────────────────────────


焚き火が白くなって消えた頃。ちょうど日が昇ってきた。


「ほらナナ。朝だぞ。」

「ん~。シュウぅ、キスして~」

「しないから、早く起きろ。」

「ひゃぅぅ。」


シッポをキュッとつまんでやる。効果はばつぐんだ。


「うぅぅ。シッポが変な感じするぅ。」

「早く起きないからだろ。とにかく片付けだ。早めに出発したいからな。」

「はぁ~い。」


俺がテントの片付け、ナナはそれらを袋にしまっていく。


「終わったよ~。」

「よし、じゃあさっそく出発するか。」

「ん、わかった。」


まだ朝方で少し寒いので、ナナがくっついてくるのも暖かくて嬉しいな。


「中心部って何があるのかな。」

「さぁな。行ってみないと分からない。」


もしかしたらなんにもない、なんて可能性もあるが、まぁそれはそれで・・・。

こうしてゲッカの森での二日目がスタートした。

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