はじめての依頼
翌朝
薬草取りに行くらしく、ナナが早くから起きていた。それにつれられて俺も起きてきたのだが、
「シュウ、おはよう。」
「あぁ。おはよう、ナナ」
「じゃあ薬草取りに行くけど、シュウはどうする?」
「そうだな、ギルドの依頼とか見に行ってみるかな。まだ序盤は薬草摘みとかだろうし、ナナも来ないか?」
「ほんと!いくいく!私もシュウと一緒がいいもん。」
「そうだな。その方が効率も上がるし。」
「そうゆう意味じゃないんだけどなぁ・・・。」
ん?なんか言ったか?
本当は今日ナナの家を出るつもりだったのだが、昨日のこともありいつでも甘えられるようにしたい、ということでナナの家に住むことになった。
自分から心の拠り所になりたいと言ったのだ。ちゃんと役目を果たさなくては。
「じゃあとりあえずギルドに向かうから、ナナ持ついてきてくれるか?」
「うん。わかった。」
追加で、ナナは獣人であることを隠すのをやめた。俺がいるから大丈夫だとよ。まぁ一緒にいれば大丈夫だろう。
ギルドに向かう。途中、ナナが手を伸ばしてきたので、握ってあげた。普通に握ろうとしたのに恋人繋ぎになってしまったが・・・。まぁナナがやりたいことなら俺から否定する必要はないだろう。
少し回りの視線が痛い気もするが、関係ない。
ギルドについた。昨日と同じくミイが受付係のようだ。
「いらっしゃいま・・・。ナ、ナナ?まさか、本当にシュウさんと!?」
「いや、違うからな。俺は一応ナナの心の拠り所としての立場だから、」
「そうだよミイ。まだ付き合ってとかの話じゃないから。」
「そ、そっか・・・。先越されちゃうかと思ってびっくりしちゃった。でも、ナナ。そのミミとシッポ・・・。大丈夫なの?」
「うん!シュウと一緒なら大丈夫。守ってくれるし甘えさせてくれるから。」
「・・・時間の問題だね。私も頑張らないとおいていかれちゃう。」
何やら女子トークが続いているが、そろそろ本題に、
「それで、今日はさっそく依頼を受けたいのだが。薬草摘みとかの依頼ってあるか?」
「薬草摘み?あぁ、ナナと一緒にやるんですね!」
「あぁ、そのつもりだ。」
「それならいいのがありますよ。ナナがいつも薬草を摘みに行ってる《ゲッカの森》の薬草摘み依頼です。一本150ミルです。」
ちゃんと採集依頼もあるんだな。
「ゲッカの森はそこまで最大でCランク魔物までしかでないですし、それも中心部の話なので森の端で採集すれば安全ですよ。」
Cランクってことは、昨日のパワードボアが最強ぐらいなのか。
「わかった。それをやってみるよ。」
「わかりました。依頼の失敗をすると、違約金5000ミルがかかってしまうのでお気をつけください。」
そして、依頼用紙にサインをしてゲッカの森へ向かった。
「いつも行ってるところだからだいたいわかるよ。」
「そうか、なら早く済みそうだな。」
魔物が出てきたとしても、手榴弾でどうにかなるだろう。ん?手榴弾の爆発ってナナもくらうよな。危なくね?
と思ったらこんなものがあった。
《パーティーダメージON》
これは、いわゆるパーティーへのダメージを有効にするか無効にするかってことか。ゲームらしい感じだな。もちろんoffに・・・。
パーティーがいません。
パーティーって、どうやって作るんだ?
「ナナ、パーティーってどうやって作るんだ。」
「パーティー?なにそれ?」
この世界にあるものではないのか。なら俺のスキルから・・・。あ、あったぞ。
パーティー勧誘
これをナナに送ればいいんだな。
「ナナ、パーティー勧誘ってのを送るから承諾してくれ。」
「え?わ、わかった。」
パーティー勧誘を送ってみる。
「あ、きたよ。これを承諾っと。」
パーティーに《ナナ》が入りました。
よし、これでパーティーダメージoffにすれば、
パーティーへのダメージがなくなりました。
よし、できた。
「シュウ?あれなんだったの?」
「さっきので俺とナナはパーティーってののメンバーになったんだ。これで俺の攻撃にナナが巻き込まれたり、逆の場合でもダメージが入らなくなる。」
「へぇ!すごいね!そんなの初めて聞いた。」
やはり俺のスキルでしかできないみたいだ。まぁ普通に考えておかしいもんな。
しばらくしてゲッカの森につく。
昨日と特に変わらないままたたずんでいた。
「ここを少し先に行ったところに薬草の群生地があるんだ!毎日採りすぎないように50本までって決めてるからいつでも採れるよ。」
薬草は成長が早いらしく、ちょっと残しておけばすぐに回りに生えてくるそうだ。
そんなことを話しながらしばらく行く。ときどきF Eランクの魔物がいたが、それぐらいならナナでもどうにかなる。まぁ俺のポイントとなってもらったが。そして、群生地と言うのが見えてきた。その場所だけは木が生えておらず明るくなっている。
「おぉ、すごいな。」
「1000は生えてるんじゃないかな。たまに魔物に荒らされたりするんだけどこれだけあれば毎日50本とっても大丈夫みたい。」
そこから1時間ほど薬草摘みをした。根も含めて取り出さないと鮮度が落ちるので、時間はかかるがそうするらしい。二人でやると時間も短くて済んだ。
「薬草摘めた?」
「あぁ、ちゃんと25本だ。」
「よし、私も25本摘んだからこれでぴったり50本だね。じゃあこの袋に入れて。」
「50本入れるには小さすぎないか?」
「大丈夫、これも魔道具だから。見た目の50倍は入るよ。」
「そんなのもあるんだな。」
薬草をいれてみると、吸い込まれるように入っていった。すべて入れ終える。
「たまったポイントで購入したいものがあるから、ちょっと待っててくれ。」
「わかった。」
さっきの魔物たちのお陰でちょうど100ptたまった。こないだ見たときにおもしろい物があったので買いたかったのだ。
《加速弾》相手に向かって投げると、小爆発をおこして加速する投擲弾。
つまり、相手に爆発などのダメージはないが、加速することで物理ダメージを与えられるわけだ。手榴弾などは回りの物を破壊してしまうが、これなら最小限で済む。
さっそくメダルを入れてみよう。とりあえず発煙弾と交換する。
カチャン
「シュウ、それは?」
「これは加速弾だ。使い方は、こうする!」
近くの岩に向かって投げる。手のひらで小爆発をおこすが、自分にくらうことはなく、そのまま急加速して岩を貫通した。
「わぁ、すごいね!これなら回りを壊さないですむね。」
ナナはこれを購入した意味が分かってるみたいだな。
「あぁ、こうゆう薬草摘みの最中に襲われたりして手榴弾を使うと回りの薬草も消し飛ばしてしまうからな。これならその心配もない。」
新しいグレネードもゲットしたし、薬草もとれたからな。よかったよかった。
投げるだけのグレネードというアイデアに加速するというのを付け加えて使わせていただきました。ありがとうございました。
こんな投げ物もあるよ、という人がいたら教えてください。