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ナナの秘密

「ここが練習場です。」


石造りの部屋に金属の人形らしきものが置いてある。


「Cランクからは昇級試験があるのでそれを行ったり、今回のようなスキルの確認等をするための部屋です。」

「Cランクからか。それより前はどうするんだ?」

「依頼をクリアしていけばそれに応じて上がっていきますよ。」


普通に依頼をしていけばいいんだな。


「では、あの人形に向かってスキルを使ってみてください。」


その人形というのは、金属でも有数の強度を持ったミスリルで出来ているらしい。やっぱり異世界で金属と言えばミスリルだよな。


「あぁ、分かった。」


手榴弾を取り出してミスリル人形に投げる。


ドォォン!


「きゃぁ。い、威力がすごいですね。」

「でしょ。これで魔物が消しとんだの。」

「す、すごいね。」


這い上がったホコリが落ち着いてミイが人形を確認しに行く。


「こ、これは。ミスリルの人形が削れてますよ!こんな威力のスキルは普通Bランクは必要ですよ。」

「シュウすごい!」


おぉ、通常の手榴弾でもBランク並の威力があるのか。まぁCランクの魔物でも一瞬だった訳だし当然か。


「新しいスキルにしては異常なほど高威力ですね。他にスキルに関することはありますか?」


スキルに関すること?あぁ、あれだな。


「魔物を倒すとポイントがもらえて、そのポイントを使って新しいグレネードを買ったり強化したりできるんだ。まだ一度もやったことはないがな。」

「こ、この威力でまだ初期段階なんですか!それよりグレネードってなんですか?」


あ、この世界にはないんだったな。そりゃそうか。


「えーっと、投げることができて、爆発したり煙が出たり強く光るなどといったことができるんだ。」

「爆破スキルに煙幕スキル、爆光スキルまで・・・。他にも色々あるんですよね。」

「あぁ、そうだな。」

「こ、これはすごいですね。データはとれましたが今後どうなるかも知りたいですね。ときどき教えてくれませんか?」

「あぁ、それぐらいなら。」

「ありがとうございます。」


そういやまだポイントで購入してなかったな。


「ちょっと購入を試してみたいんだけど、いいか?」

「はい!どうぞ。」


了承も得たので購入画面を開く。


初魔物討伐 100pt

魔物C 100pt

少女救出 200pt


これは、獲得ポイントか。ひとつ目は初めてボーナスってやつだな。二つ目は単純に討伐ポイントか。説明をみたところランクごとにポイントが違うらしくF 10pt E 40pt D 70pt C 100pt

B 300pt A 500pt S 1000pt というふうに変わるみたいだ。

そして、最後のやつは他の何かからの干渉ってやつのことだろうな。ナナを助けたからか。なかなか高ポイントになるみたいだな。


合計で400ptになった。ではノーマルメダルを買ってみようか。

色々あるみたいだが、ここはよく知っている物を買いたいと思う。


《火炎瓶》を購入しました。

《閃光弾》を購入しました。


今回はこの二つを購入した。ゲームなどでもよく出てくるやつだ。

残りは200pt。これは手榴弾の強化に使おうと思う。メダルの強化は(5)まであり、それぞれノーマルメダルと手榴弾は200pt 400pt 800pt 1600pt、レアメダルは 1000pt 2000pt 4000pt 8000pt というふうに倍々になっている。

さっそく手榴弾を強化する。


手榴弾を《手榴弾Ⅱ》に強化しました。


よし、これで完了!


「よし終わった!」

「シュウ、購入出来たの?」

「あぁ、大丈夫だ。」


俺は火炎瓶と閃光弾のメダルを出す。


「サブのグレネードはこんなふうにメダルが出てくるんだ。これを腰にあるスキャナーにセットすれば・・・。」


カチャン、カチャン


「入れているメダルに対応したグレネードを使えるようになるんだ。」


火炎瓶を出してミスリル人形に投げる。


ボゥ!


火炎瓶は人形にまとわりつくような火を起こした。

火がおさまると、ミスリル人形が赤くなっていた。


「こ、これはまたすごいですね。この調子で頑張ってくださいね!」

「あぁ、ありがとな。また新しいグレネード試したいときにここ使わせてもらうよ。」

「はい!いつでも待ってます。」

「シュウすごいね!頼もしいよ。」


俺も夢が膨らむな。

そして俺たちは冒険者ギルドを後にし・・・。


「ちょ、ちょっと待ってください!まだ冒険者カード渡してないです。」

「あ、忘れてたな。」


そうだった。まだ冒険者になってなかったよな。


「シュウ危なかったね。」

「そ、そうだな。」

「ほんと、危なかったです。では、これを。」


ミイから冒険者カードを渡された。


「最初はFランクからですけど、シュウさんならすぐにランクが上がりますよ。」

「そうか。ありがとう。じゃあまた。」


そして俺たちは(本当に)冒険者ギルドを後にした。


───────────────────────────────


冒険者ギルドを出て、今は町を歩いている。次は予定通り買い物に行くからだ。


「まずは服だよね。シュウってそれ以外服持ってないでしょ?」


そういえばそうだったな。さすがにずっとこの服を着るのは辛い。


「じゃあ服買いに行こ!私も最近服が悪くなってきてるから、新しいの買いたいし。」

「分かった。」


それからしばらくしてナナの行きつけの服屋というのに来た。


「いらっしゃい。おぉ、久しぶりだね、ナナ。」


店長らしき若い女性が話しかけてきた。


「お久し振りです!」

「ん?誰だい?その子は。」


あ、俺だな。てかナナってほんと有名人だな。


「俺はシュウだ。」

「私の命の恩人。」

「なんだいナナの彼氏か。」

「ま、まだ違うよ。」


また違和感だ。でもってなんで全員「彼氏か?」って聞くんだ?


「ナ、ナナ。そのまだってゆうのはどうゆうことだ?」

「え?そのままの意味。」


・・・さすがに違和感には気づいたのだが。まだ彼氏はいないってことでいいのかな?うん、きっとそうだ。俺が関係する話ではない!たぶん・・・。


「で、今日は何の用だい?ナナの服でいいのか?」

「それもそうなんだけど、シュウの服も買わないといけないから。」

「そうかい。ならシュウって子はサイズ測るからちょっとこっち来てくれ。ナナはいつも通りに選んでくれたらいいよ。」


言われた通りついていく。店の奥に入ると何やら道具が色々と置いてあった。


「じゃあ測っていくからね。」

「あぁ、頼む。」


腕の長さや身長などを測っていく。


「シュウ、ナナのことよろしく頼むよ。」

「え?どうゆうことだ?」

「一緒に住むんだろ?」


い、いや。泊まらせてもらうだけなので。長居すると迷惑だし。


「いや、今日泊まるだけの予定だが?」

「そうだったのかい?でもそれなら服なんてわざわざ買いに来ないと思ったんだがね。」


それもそうだな。


「あの、ナナがこんなに町の人と知り合いなのって何か理由があるのか?」

「そ、それはね・・・。まぁナナの恩人ってになら大丈夫だろう。あの子はね、本当は獣人なんだ。」


獣人か。


「タヌキの獣人。獣人の姿のときはほんとに可愛くてね、あの子顔も可愛いし。けど、私たち人間の領土では獣人は住みにくいんだ。あの子の両親は・・・獣人だって理由だけでふざけたやつらに殺されたよ。あの子も奴隷にされそうになったんだけど、私たち町の人でどうにかして引き止められたんだ。だけど、両親を殺されたことで心に深い傷を負っていてね。それと関連して自分の獣人姿を嫌ってるんだ。」


そうなのか。明るくて元気な子だと思ったんだけどな。


「でも獣人らしいとこはわからなかったが?」


実際、ミミやシッポは見当たらなかった。


「魔法で隠してるんだ。解除したいときにはできるようにしてあるけど、ナナが解除したことはないね。」


それだけ辛いのだろうな。


「今はあんなふうに楽しく過ごせて見えるけど、獣人特有の行動とかをやらないようにしてるから、いつか爆発するかもしれない。」


獣人特有の行動というのは、信頼できる相手にスリスリしたりといったことらしい。犬や猫もそんなところがあるからな。


「あの子には心の拠り所が必要なんだよ。だからみんな、彼氏か?って聞いちゃうんだろうね。」


あ、知ってたんだな。


「・・・わかった。でもナナがどう思っているのかも分からない俺が勝手に手を出していいような話ではないからな。俺から聞くのはやめておこう。」

「気遣い助かるよ。ほら、採寸完了だ。良さそうなものを選んでおくからちょっと待っててくれ。」


そして俺はナナが服を選んでいるところに戻った。


「あ、シュウ!これ見て!」


ナナは1着のワンピースを持って、自分の体にあわせている。


「これ可愛いでしょ。これ買おうと思ってるんだけど、どうかな?」


こんなに元気で可愛いのに、な・・・。


「シュウ?どうしたの?」

「あ、いや、可愛いと思うぞ。」

「ほんと!シュウがそうゆうなら、買っちゃおっと。」


うん。今はあまり気にしないでおこう。

そのあと自分の服も買って、店を出た。


「またなんかあったらここ《テナの洋服店》に来な。力になるよ。」


そういや聞いてなかったけど、テナさんって言うんだな。


「あぁ、ありがとう。」

「じゃあまたね!」


それからは食料品を買って、日も落ちてきたところでナナの家に帰った。

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