スタンピード対抗戦2
少し遅くなりました。
西門から出て少ししたところ、俺は右手には衝撃弾Ⅲ、左手には手榴弾Ⅲを持っていた。
一度後ろを振り返り、ブレーキさんに話しかける。
「ブレーキさん。スタンピードとの衝突点はここでいいんだよな?」
「そうっすね。スタンピードは南西方向から、近くに山があるっすからこの西門前が衝突点になると思うっす。」
「わかった。」
俺は最終確認を終えて、もう一度前を向く。スタンピードが到着するまであと15分ほどだろうか、時間はほとんどない。すぐに行動を起こすべきだ。
俺は衝撃弾に指示を与えた後、手榴弾と、その上に衝撃弾が来るように投げる。
少しの間が空いて・・・
ドズゥン!
「ゴホッゴホッ!」
「けほっけほっ、シュ、シュウぅ・・・」
「コホッコホッ、ちょっと、シュウくん!土煙が・・・」
一瞬で辺りは真っ茶色になり、後ろではブレーキさん、ナナ、マリアが咳き込んでいた。
「すまない。早く済まそうと思ってな。」
「先に言って欲しかったっす。」
「そうだよ、シュウ。砂だらけになっちゃった。」
ほんとすまない。
因みに近くに冒険者や騎士団員は来ていなかったようで、関係の無い人に影響を及ぼすことはなかった。
「というか、なんでシュウくんは大丈夫なのよ。」
「いや、来ることが分かってたってのもあるが、咳き込むほどの土煙でもなかったからな。」
「う、うそ・・・。」
なぜかナナに少し引かれてしまった。よく見ればマリアも、ブレーキさんさえも引いてないか?
「そ、そんなに変か?」
「そりゃそうだよ!」
「当たり前でしょ!」
「変っすよ!」
おぉぅ・・・。衝撃弾Ⅴをくらうより大きな衝撃が心に襲いかかった。
胸を押さえて崩れそうになったが、なんとか持ちこたえて次の動作に取りかかる。
と言ってもやることは同じだ。こんどは場所を少しの横にずらして同じことをする。
最初同様に衝撃弾Ⅲと手榴弾Ⅲを持つ。
「シュウ、堀は作れたの?」
「あぁ、最初の段階はな。あとはこれを繰り返すだけだ。」
「それにしても、さっきは何をやったの?見たところ、地面に大穴が空いてるみたいだけど・・・。」
少し前には土煙が収まり、その先には俺の予定通り大きな穴が空いていた。
「それはな・・・」
「手榴弾Ⅲによる爆発で地面に穴を空け、上方に発生する爆風は衝撃弾によって抑える。これによって手榴弾の威力が高くても回りは安全に地面を掘ることが出来る。ってわけっすね?」
「そ、その通りだ。」
説明しようとしたところをブレーキさんに全て説明されてしまった。
さっき起きたこと。大まかには正解である。少し違うのは、衝撃弾Ⅲについてだろう。
衝撃弾は現実世界にあるわけではなく魔法要素があるグレネードである。よって、その効果を少し弄ることが出来るのだ。
今回は『方向』を変えた。通常、放射状に発生する衝撃波を下向きに発生するようにしたのだ。それも少し複雑な形にしてある。
そうすることでより効率的に爆風を抑え、横長の深い穴を掘れるようにしてあるのだ。
詳細説明はここら辺にしておこう。時間もないのですぐに続きにはいる。
さっきのように二つのグレネードを投げようとして、
「あ、投げるからな?」
「「「ん・・・。」」」
一応後ろに了解を得る。ブレーキさんとナナは手で、マリアはどこから取り出したのか、白い無地のタオルで顔を押さえていた。
シュッ、ドズゥン!
シュッ、ドズゥン!
シュッ、ドズゥン!
シュッ、ドズゥン!
全く同じ音が4連続で鳴り響く。ここで衝撃弾のクールタイムが入るので30秒待たないといけない。
「あれ?土煙が」
「あまり立ってないわね。」
そう、さすがに4つ同時にすれば土煙でも危ないので衝撃波の方向をいじってみたのだ。
結果として土煙が少なく、堀の大きさも一度目と遜色無いものとなった。
「衝撃波を少し内側に向けたんっすね。」
「その通りだ。うまくいったみたいで良かった。」
クールタイムを待っている間、回りを見てみると音につられてか外に出てきていた冒険者や騎士団の人たちがこっちに歩いてきていた。
あまり近づかれては大変だが、これぐらいな、大丈夫だろう。そろそろクールタイムも終わるだろうと思ったその時、
「なに派手にやってくれてるんだ!」
騎士団の塊の中から一際キラキラとした服を着た人が俺のほうに歩いてきた。
あのひとは確か・・・
「あ、ベルフィニさんか?」
そう言ったところで、後ろからナナが囁いてきた。
「シュウ、ベルフィニじゃなくてデルフィニさんだよ。」
「そ、そうか?」
「うん。」
どうやらさっきの俺の間違いは聞こえてなかったようで、デルフィニさんは俺たちに話しかけてきた。
「派手にやらかしていると思ったら、お前たちか。それに、マリアとかゆう冒険者と・・・ブレーキ、お前までなにやってるんだ?」
「何って、ここは俺の担当っすよ?」
「はぁ?俺の担当だろ?」
「え?あっしは王からそうゆわれたんっすけど?」
「俺もそうだよ!」
なんだか話が噛み合ってないようだが。
「私、一応Sランクなんだけど・・・とにかく、ブレーキさんもデルフィニさんもここの担当ってことでしょ?」
「「はぁ?」」
隊長が二人揃って呆ける。ある意味貴重な絵面かもしれない。
「・・・まぁ、俺がいればスタンピードなんて怖くもないな!」
「デルフィニって、あっしにも勝てなかったっすよね?」
「っ!そ、そんなの昔の話だろう!?今の俺はお前にだって・・・。」
ドォン!
「これでもっすか?」
「くっ・・・。」
デルフィニさんが言い切る前に、ブレーキさんが爆破による高速移動で背後を取る。
デルフィニさんは、ぐうの音もでなくなってしまった。あ、『くっ』とは出たのか。
「とにかく、シュウくんは堀作りを進めるっすよ。あっしはちょっとこいつを締めておくっすから。」
「わかった。」
と言うことなので、俺は再び堀作りに取りかかる。時間もないので急がねば。
そう思ってグレネードを投げようとしたとき、
「ちょ、ちょっと待て!」
「・・・なんだ?」
「・・・堀を作るなら、中央を開けておけ。わざと魔物の通り道を作って置けば、少量ずつの魔物を相手できるからな。勝率や効率が上がる。」
何やら斜め下を向きながら、デルフィニさんは普通にアドバイスをしてくれた。確かに、わざと狭い通路を作った方が効率的かもしれない。
守りに集中しすぎて盲点だった。
「確かにそうだな。参考にさせてもらう。ありがとう。」
「っ!こ、これぐらい常識だから、な!ははは!」
せっかくアドバイスしてもらったので、参考にしつつ堀作りを再開する。
ドズゥン!ドズゥン────────────
「ツンデレですね。」
「そ、そんなわけ、ないだろう!」
「男のツンデレって、需要ないっすねー。」
「そうね。」
「う、うるさい!」
────────────────────────────────────────
「あれ?デルフィニさんは?」
「何やら帰って行ったわよ。」
「そうか。」
アドバイスのおかげでよい堀ができたと思う。一応もう一度礼を言っておこうかと思ったのだが・・・まぁ後で言えばいいか。
「そういえば・・・。」
「シュウ、どうかしたの?」
「・・・いや、大丈夫だ。もうすぐスタンピードも来るし、準備しよう。」
「そうだね。」
「マリアと、ブレーキさんも」
「わかったわ。」
「そうっすね。」
堀作りも終わり、スタンピードが来るまではあと5分少しぐらいか。
俺たちは門の前の冒険者や騎士団の塊の方へと向かった。
さっきみんなとデルフィニさんとの会話が聞こえたような気がしたのだが・・・たしかツンデレがどうこう、とか。
グレネードの音で聞こえなかったが、まぁいいか。
実はデルフィニさんは・・・。
嫌なやつorツンデレの2パターンがあったので、デルフィニさんの性格はこうなりました。
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