グレネード合成
帰ってからの時間は、披露するためのグレネードを購入するのに使った。あと、念のため殺傷能力の少ないグレネードといったものも購入しておきたい。というのも、ナナは獣人なので、ふざけたやつらが近づいてくることもないとは限らない。そんなときにどうにかできるものを入手したいのだ。
そんなことをしていると、説明書マークが光っているのに気づいた。
「あれ、なんだこれ。」
「どうかしたの~?」
因みに今ナナは胡座をかいている俺の足のうえに座っている。購入画面はナナには見えないのだが、暇じゃないのかと見てみると俺の服の裾を弄って遊んでいた。
「あぁ、何でかわかんないけど説明書の部分が光ってるんだ。前はそんなことなかったのにな。」
「何か新しいものでも出てきたのかな。」
「その可能性が高いな。」
早速開いてみる。すると、一番下に黄色く光る部分があった。
「えーっと・・・」
ナナにもわかるように朗読しながら読む。
───グレネード合成・・・2種以上のグレネードを持った状態で合わせると、合成できるものがある。一度合成すると、メダルさえ入れておけばそのまま出すことができる。レベルは合成するものの低い方にそろう───
ほぉ。そんなことができるのか。
「すごいね。なにか面白いもの作れないかな。」
事実、これはすごいと思う。二つの性能を合わせることができるわけだからな。
「ん~・・・。いけそうだな!」
「ほんと!どんなの?」
「早速やってみるから、ちょっと外にいこう。」
「わかった。」
ということで外に向かう。時刻は夕方。といってももう日も沈んでいるのでそれなりに暗い。
「で、シュウ。どんなのどんなの!」
「まぁまぁ、そう急かすなって。」
まずは披露するのに良さそうなものを作ろうか。
準備するのは、加速弾と閃光弾。どちらもレベルⅠだ。それぞれ右手と左手に一つずつ持つ。
「加速弾と閃光弾?それがどうなるの?」
「やってみるか。」
といってはいるが、絶対にうまくいくとも限らないのだ。合成できないかも知れないし、想像しているのとは違うものができるかも知れない。
「さて、どうなるか!」
二つを合わせる。・・・おっ、くっついた!白く光ってから一つに合わさる。そしてあからさまに二つのグレネードを合わせました、といった感じのグレネードが出来上がった。その瞬間頭にその名前が流れ込んでくる。それは、
「《信号弾》 予想通りだな。」
「何となく名前でわかるね。」
「そうだな。じゃあいくぞ。・・・それっ!」
信号弾をうえに向かって投げる。投げた信号弾は空に向かってぐんぐん加速し・・・。
パァァン
空が白く染まるほどの光が弾けた。
「わぁ~。綺麗だねぇ~。」
「さすがに花火みたいにはできなかったかぁ~。」
「ハナビ?聞いたことないなぁ。」
「この世界にはないのか?お風呂ってゆう娯楽があるなら花火もあるかと思ったんたが。」
まだそこまでは進んでないのか。それともそうゆう発想にはなってないのか。
「お風呂は元々療養方法としてうまれて、そこから貴族を中心に広まっていったらしいよ。」
「そうなのか?なら花火がないのも頷けるな。」
あまり娯楽そのものを作るようなことはないのか。ならこれでもウケそうだな。
「これを披露するんだよね。」
「あぁ、じゃあ次はナナを守るためのやつだな。」
「え?私を守る?」
「あぁ、王都にいったら人間らしいところが強いと思うからな。ナナが不快にならないように、守ってやらないとって思ってな。」
「シュウぅ~。嬉しいよぉ~!」
「ナナを泣かせるわけにはいかないからな。早速やってみるか。」
次はまず購入しないといけない。
それは《衝撃弾》というやつだ。投げるとその周囲に衝撃を発生させるといったものだ。殺傷能力はないが、相手に脳震盪を起こさせたりなど行動不能にできるのだ。
もうひとつは《粘着手榴弾》普通は対戦車兵器だが、これは普通に投げて使えるみたいだ。何でかは・・・知らん。これは当たった場所に引っ付いて爆発してくれるというものだ。逃げられる心配などがないので、タイミングを考えずに投げられる。
この二つを合成する。たぶん想像通りにできると思うのだが・・・。
「《粘着衝撃弾》想像通りだな」
「それで、まわりへ被害が及ぶ可能性が減るってわけだね。」
「正解!よくできました。」
「うふふ~」
これで心配事はなくなったな。
それからは部屋に戻っていつも通りお風呂とご飯、あと明日からのために簡単な食料やお金などの準備をした。
「ふわぁ~、そろそろ寝るか。明日も早いしな。」
「そうだね。寝坊しないようにしないと。」
ということでいつもよりは早めにベットに入る。もちろん当然のようにナナもベットに入ってくる。
さわさわ・・・。
「はふぅ。んん・・・シュウぅ~。」
「はいはい。シッポもね。」
「はぅぅ~。やっぱりシュウに撫でられると気持ちいいよぉ~。」
ここ最近は毎晩寝るまでこんな感じだ。ナナも気持ちいいし俺もフワフワしてて気持ちいいのでwin─winの関係ってやつだな・・・ちょっと違うか?
「ねぇシュウ~。そういや私たち付き合ってるのになんで一緒にお風呂入ってくれないのぉ?」
「いや、普通入らないから。」
「えー、だとしても"ついうかっり"何て事もないのはおかしいって~。」
「そんなのどこぞのラブコメぐらいだから。俺自身そうならないように注意してるんだよ?」
「そんなことしなくていいのに・・・。ねぇ一緒にはいろーよぉ。」
「入らないから!」
「じゃあせめてキス。これなら付き合ってる人がしてもおかしくないし、そもそももう一ヶ月もたってるんだからさぁ。」
「いや~、でもそうゆう雰囲気じゃないじゃん?」
「一緒に寝てる時点でそうゆう雰囲気だと思うけどなぁ。」
「そう言われれば、そうだな。」
そんな話をしたからか、突然ナナが俺の上に覆い被さってきた。
「じゃあやってみよう!」
「ちょ、それとこれとは話がべつだろ・・・。」
「別じゃないもん。寝込みを襲ってしまえば勝ち!」
「いや、寝てないから、ってちょっとまて、うわっ・・・。」
─────ん~・・・・・・
なんて事にはならず、とっさにナナのシッポをキュッとつまんでやった。
「ひゃぅ・・・うぅぅ。あとちょっとだったのにぃ。」
「それは、その~、また今度な。ちゃんとした雰囲気のときに、な?」
「じーーーーー」
「あー、もぅ、ほら撫でてやるから、機嫌直せ!」
ナデナデ
「はふぅ。それはずるいよぉ~。」
とりあえず機嫌は直ったみたいだな。
それからは明日に備えてぐっすりと寝た。いつもより強くくっついてきていたが、まぁいいだろ。
・・・俺も嬉しくてギュッてしたしな。
合成して作り出すという方法を編み出しました。
今後色々作っていきたいな。