始まりは不思議だった
不定期に更新します。自分の2作目なので、拙いものだと思いますが、評価、感想いただければ嬉しいです。
ジリリリリ!ガチャ。
ふわぁ~。朝か。といっても今日は日曜日だしな。もう一度寝るか・・・・・・・・・。
って違う違う。今日は試合があるんだった。急いで朝食、といっても食パンにジャムを適当にぬった物を食べる。準備は昨日済ませたし、あとは持っていくだけ。
玄関を出る。自転車に乗って急いで会場へ向かう。
俺は新山愁二十歳の大学生。見た目も頭もそこそこで、彼女は・・・うん、まぁだいたい分かるだろ?運動神経がいい?あぁ、“試合“のことか。あいにくこれは試合と欠いて“ゲーム“と読むんだ。運動はまぁ悪くはないがよくもない。
ゲームって話だが、俺はいわゆるゲーマーってやつだ。銃撃戦チームバトルで、仲間とそれなりの順位のところまで登り詰めた。地方一位ぐらいだな。さすがに全国になると分からない。
今から向かうのもそのゲームの試合があるから仲間と合流するためだ。俺はゲーム内でチームの補助役だ。なので、俺は銃を使わない。使うのは「投げ物」、所謂グレネードだ・・・。
しょぼいとよく言われるが極めると案外使い勝手いいんだぞ?
そろそろ集合場所につくのだが、お、いたいた。
「おーい!」
「よぅ、やっと来たか。遅いぞ!」
「そんなこと言ってあなたが来たのもついさっきじゃない。」
こいつらがチームの大島拓と佐藤みなみだ。大島が前衛役で小銃を使い、佐藤が後衛役で狙撃銃を使う。
「すまんな、遅れた。」
「補助してくれる人がいなかったら私たち大変なんだから。」
「まぁ大島はすぐに突っ込んでいくからな。」
「おぃ!」
無事チームとも合流したので、試合会場へ向かう。1試合3vs3のトーナメント戦で、俺らのチームは一番最初だ。なので、30分前には会場に入っておきたい。
しばらくして会場についた。自転車を停めて裏から会場に入る。参加選手は裏から入ることになっているのだ。
それから試合開始までは作戦を改めて確認した。まぁ思い通りにいくことなどそうそうないのでいつも臨機応変に対応することになるのだが。
「始まりました!第12回“ゲームアウト“ただいまからルールの説明をさせていただきます!────────────。」
ルール説明も終わり、とうとう俺たちのチームのバトルだ。
「さて、最初のバトルはクラッターvsブラッドル。クラッターはここ3回の優勝を勝ち取った強豪チーム。それに対してブラッドルはどう戦っていくのか!」
クラッターと言うのが俺たちのチームだ。
「クラッターが強い理由、それはまず一人一人の技術の高さです。1vs1で戦って簡単に勝てる相手ではないでしょう。そしてもうひとつは補助役という珍しい役です。グレネードのみを使って牽制、目隠し、裏取りといったサポートに徹する役割です。この補助によって相手は攻撃も逃走もうまくいかなくなるというなかなか手強い役ですね。」
「めっちゃ誉めてくれてんじゃん。」
「新山も有名になったもんだなあ。ははは!」
「みんながいるからこそだ。補助だけじゃなんにもできない。」
「それはそうね。じゃあ私も頑張るわよ!」
「あぁ!やるぞ。」
──────────────────────────────
それからは順調に勝ち進み、とうとう決勝戦だ。
「さて、決勝戦。どちらのチームが勝つのか!よーい・・・始めぇ!」
始まった!いつも通り相手の裏をとって・・・。
キィィ!
突然金属の軋むような音がした。気づいたのは俺だけだ。みんなゲームに熱中している。ふと上を見ると、
相手チームの一人、その女の子の頭上にあるライトがゆがんでいた。そして、
キィ、ガシャン
「っ!あ、危ない!」
ライトが外れた。その音にみんなが上を見上げるが、とっさのことで動けていない。俺は、無意識に走り出していた。
ドンッ
俺はその女の子を突飛ばし、その瞬間に自分が何をしているのか気がついた。しかし、そのときには・・・。
ガッシャァァン‼
遅かった。しばらくの沈黙のあと、騒ぐ声、泣き叫ぶ声、そして、俺を呼ぶ声が聞こえた。
(あ、死んだわ。)
うん、死んだ。頭の上から金属の塊であるライトが落ちてきたんだ。死なないほうがおかしい。
未練がないとは言わないが、まぁ最後にひと一人助けられたし、いいか。
俺はそのまま、目を閉じた。
──────────────────────────────
目を閉じた・・・。目を開いた。あれ?もっかい目を閉じる。また開いた。
ちょっと待て、体が動くぞ?それに痛くもない。立ち上がる。回りを見る。死んだと思っていたのでそれだけで不思議な感じがする。
(あれ?てかここどこだ?)
不思議だったのはこのせいか。俺は、ただただ真っ白な場所にいた。壁も天井も、床すらもない。なのに俺は立っているし、
トントントントン
歩けた。おかしい、何かがおかしい。まさかこれが死後の世界ってやつか?でも死んだ感じはしないし。
「正解、正解、大正解!そう、あんたは死んでない!」
「え?う、うわぁぁ!」
あんた誰?見た目は・・・幼女って言葉が一番しっくりくるんだけど。
「幼女って失礼なやっちゃなぁ。あたいはまぁ、あんたらの分かる言葉でゆうたら、“神“みたいなもんやな!」
ん?俺頭おかしくなっちまったのかな。まぁ頭の上からライトが落ちてきたわけだし、あり得るか。
「まぁだ疑っとるんかいな。ほら、今だってあんたの心んなか読めてるやろ?正真正銘、あたいは神や。」
そ、そういやそうだな。
「し、信用して大丈夫なのか?」
まぁこれを聞いて分かるもんじゃないだろうが
「あぁ大丈夫や。」
「じゃあそんな神様が俺になんの用なんだ?」
「神相手にタメ口っておもろいやっちゃな。あたいそうゆうやつ嫌いやないぞ。」
まぁ、見た目がな。敬語を使いにくいし
「見た目はなぁ、これ気に入っとるんよ。ま、ええやろ。で、今回あんたがここに来た理由やけど、」
ここに来た理由?
「まずここは所謂“神界“っちゅうやつや。で、あんたがここにきたんは、あんたが死んだ理由が神様のミスやからや。」
神様のミス?あぁ、ファンタジー小説とかでよくある神様のミスで死んだから剣と魔法の世界に転生したらめっちゃ強くなりました的なやつか?
「おぉ!そこまで分かっとんやったら話は早いな。まぁめっちゃ強くなるかは知らんけど、だいたいそんな感じや。あたいは世界間の移動に関する神なんやけど、あんたのとこの世界の生死に関する神がミスってあんたを殺しかけてもてなぁ。あたいがギリギリ助けて尻拭いっちゅうわけや。」
神様どうしでも大変なんだな。ん?おれの想像は合ってたんだよな、つまり
「俺って転生するの?」
「まぁそうなるわけやな。転生ゆうてもあんたの魂も肉体もここにあるから、このまま飛ばすだけなんやけどな。だからどっちかと言うと転移に近いわな。で、さっき言ったとおり転移先は剣と魔法の世界なわけやから、とりあえずあんたに一つだけ能力を与えなあかんねんけど、どんなんがええか?」
おぉ!ありがちなパターンだな。けど、
「あんまりよく分からないからな。適当にやっといてくれないか?」
「て、適当に!あんたすごいなぁ!そんなとこも嫌いじゃないぞ。」
そうか。まぁそれなら良かった、と思っておくことにしよう。
「せやなぁ、あんたゲームが得意なみたいやな。それも投げ物か。なかなか変わったやっちゃな。ならあんたに与える能力、まぁスキルやな。それは《グレネード》や。」
「グレネード?」
「せや。まぁやり方は実際にやってみたら分かるやろ。身体能力とかは転移先の世界よりはそれなりに高くしとくわ。転移してすぐ死にました~なんて悲しすぎるしあたいもいい気分にはならんからな。」
「そうか。ありがとな。」
「気にせんでえーよ。まぁ向こうの世界の常識については知識として入れといたるからそないは困らんやろ。頑張ってや。」
「あぁ、すぐに死ぬようなことは無いようにするよ。」
「じゃあ飛ばすからな。ほんとすまなかったな」
「大丈夫だ。では、」
「あぁ、また会おう。」
そして、俺の目の前は真っ白になった。ん?また会おう?ってまた会うのか!・・・まぁいいか。楽しかったし。