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D or A 3 【解答編】

解答編です。よくお考えになって、この先へ進んでください。

 

「分かったぞ!」


 杉本に顔を向けた瞬間、聞き覚えのある音が俺の耳に入ってきた。


 カシャリ。


 いつ取り出したのか、杉本はスマホを構えている。今のはそれで写真を撮った音のようだ。被写体は、女性用の眼鏡をかけ顔を上気させる男子高校生。


 違う、誤解だ。ついはしゃいでしまっただけだ!


「お、おい杉本」


「カモちゃん、私も分かったわよ。眼鏡似合うのね!」


 杉本が肩をぷるぷると揺らすのを見て、俺はそっと眼鏡を外し、机に置いた。いいさ、存分に笑えよ……。


「でも、急にどうして?」


 ようやく笑いの治まったらしい杉本が尋ねてきた。眼鏡を外した、お馴染みの顔。


「杉本も見てみろ。掲示板のところに冊子が立ててあるだろ? その表紙に書いてある数字、なんて読める?」


 杉本は今裸眼だから、ちょうど良いはずだ。


「えーと、『68』?」


「そう見えるだろ? だけどな――」


 俺は席を立って、掲示板まで歩いていく。小冊子を手に取って、今度は間近で杉本に見せた。


「『89号』? 逆さまになっていたのね」


「そう。『89』をひっくり返すと、『68』になる」


 杉本に見せたのは、あの文芸部誌だった。去年の文化祭の、89号の文集。これこそが、俺に閃きを授けたのだ。


「カモちゃん、まさか」


「言いたいことが分かったようだな。『9』は逆さまだと『6』だ」


 俺はさっき、杉本が「7」を「6」と見間違えたのかもと思い、すぐに打ち消した。だが、「9」ならどうだ。


「杉本が起きた時、実際の時刻は7時過ぎだった。だが、時計を見てもそういう風には見えなかった。


 なぜなら――時計がひっくり返っていたからだ」


 杉本は時刻を目で確認しただけだ。もしかしたらアラームのスイッチに触れるくらいは癖でやったかもしれないが、少なくとも手に取ってちゃんと時刻表示を見たわけではないだろう。


「え、いやでも――そっか、あの時ね。私が夜中に、時計を落とした時」


「そう。時計を戻す時にお前は、逆さ向きに置いてしまったんだろう」


 光を遮る分厚いカーテンで、部屋は暗闇に包まれていた。スイッチは落ちた時に押し込められていたから、逆さまになっても気付けなかった。


「そう考えると、あとは簡単だ。


 さっき俺は『7時過ぎ』と言ったが、恐らく7時9分だ。ふんを表す『9』がひっくり返って、同時に位置も変わり、を表す『6』に変わってしまったってわけだ」


 その後母親が手に取った時、正しい向きに戻ったんだろう。それを改めて見せられた杉本は、時間が一瞬で過ぎ去ったと錯覚させられた。


「これが、タイムスリップの真相だ」


 さっき俺が杉本の眼鏡を借りたのは、視力の悪い杉本の視界を再現して、自分の推理に確信を持つためだった。視力が良いのが邪魔になる……と思ったのだが、よくよく考えてみればそんなことをせずとも、焦点をぼかすなりすればよかったな。恥ずかしい。


 ともあれ、これで解決だ。俺は手元の文集に目をやる。これを読む代わりに、いい暇つぶしができたんじゃないだろうか。杉本とも話せたし――そう思って再び視線を向けると、どこか様子がおかしい。しきりに何かを呟いている。


「目覚まし時計……デジタル……もしかして」


 突如、杉本はハッとしたような顔になって、立ち上がった。椅子が後ろの机とぶつかり、鈍い音を立てる。


「蛍! 私、蛍に伝えなきゃ!」


 なに? 春山だって?


「お、おい」


「ちょうど朝練も終わるよね……。カモちゃん、ごめんなさい! 私ちょっと蛍を迎えに行ってくる!」


 そういって杉本は、止めるのも聞かず教室を出ていった。眼鏡だけが、机の上に残される。まるで先月見たような展開だが、一体どうしたっていうんだ。


 それに、どうして春山が出てくる。あいつに何の用事ができたんだ。


『カモさん』


 聴こえるはずのない声。まだ呼んでいないあいつ・・・の声が木霊した気がした。もしかして、また俺は――。


 喧騒に包まれた教室の中、再び一人になった俺は、あの言葉を呟いた。探偵が推理を始める時の合言葉。俺にとっては呪いのようにも思える、あいつを呼び出す言葉。


『さて――』


 瞬間、世界が反転する。キーンという耳鳴りと共に、視界がぐにゃりと歪み、俺は身体の奥へと沈んでいく。さっきまでの喧騒が遠ざかるなか、あいつの声だけがはっきりと聞こえた。


『やあ、カモさん。また会いましたね』


(お前が出てきたと言うことは、今回も俺の推理は間違っていたんだな)


『ええ……まあ、良い線を突いていましたけどね』


 さもおかしそうな探偵の声が頭の中で響いた。身体の支配権が、完全に探偵に移る。


 探偵が、言った。


「さて――簡単な話です」




 探偵は、交代が終わるとすぐに教室を出て歩き出した。


(おい、何処に行くんだ?)


『教室に居ても良かったのですが、それだとまた独り言をしてしまいそうで。カモさん怒るでしょう』


 それもそうだ。探偵は興奮すると、俺の身体ということも忘れて、とんでもないことを口走ったりするからな。


 この探偵との「交代」には色々と制限がある。交代中は身体の支配権が探偵に移ってしまうというのもその一つだ。まあ、五感は残るから、探偵が見たり聞いたりしたものを一緒に知覚することはできる。さっきのように探偵とテレパシーみたいな形で意思疎通を図ることもできる。


 まだ謎が多いこの現象だが、探偵にとってもそれは同じようだった。探偵は、自分自身のことすらほとんど覚えていないくらいなのだ。かろうじて名前――なんと俺と同じく「キョウスケ」と言うらしい――は覚えていたが。こいつは、記憶喪失の探偵だった。


 そして、こうして俺が「さて」と呟いて探偵が出てきたということは、さっきの推理に誤りがあったということだ。「俺にとってどうしようもない謎」に直面した時しか、探偵は出てこないからだ。まだ謎は解けていないのだ。


『1つ、大きな勘違いがありました』


 探偵が唐突に語り掛けてきた。といってもテレパシーで、だが。


 登校してきた生徒と逆方向に歩みを進める。まさか誰も、速足で歩くこの男が得体の知れないものに身体を乗っ取られている最中だとは思うまい。


『勘違いというより、思い込みかもしれませんね。


 カモさんは、どうしてデジタル時計・・・・・・だと思ったんですか?』


(どうして、って……)


 しかし、俺も気が付いた。杉本は、一言もデジタル時計だなんて言っていなかった。肝心の目覚まし時計のことについて聞くのを忘れている。


『ここですれ違いが生じていたんです。カモさんは、自分も使っているデジタルの目覚まし時計を念頭に話していましたが、杉本さんが使っているのはアナログ表示・・・・・・のものだったのです』


(待て、どうしてアナログだと言い切れる)


 確かに、さっき俺が推理を披露した時の反応からして、デジタル時計ではなかったようだが、探偵はどうしてそれに気が付けたのだ。


『まずは言い方。『7時と6時は間違えない』のは、視力が悪くて数字の判別はできなくても、長針と短針の作る形は判別できるからです。ま、これは傍証に過ぎませんがね。


 決定的だったのは、あの言葉です。夜、目が覚めた時について、杉本さんはなんと言っていましたか?』


 それは、確か……。


 ――早く寝なくちゃって思うんだけど、そういう時に限って自分の呼吸を意識しちゃったり、時計の音がやけに大きく聞こえたりするでしょ?


 自分の呼吸音……時計の音……。ああ、そうか。


(杉本は、「時計の音」と言った。それはつまり、秒針の音のことだ)


『そうです。加えて、杉本さんのお母さんが部屋に来た時、わざわざ目覚まし時計が置いてある机のところまで行って時刻を確認したのは、どうしてですか?』


 それも、杉本自身が説明していた。部屋には、時計がそれ1つだけだったからだ。ということは、目覚まし時計がアナログ時計で間違いないということになる……。


(じゃあ、これで振り出しに戻るのか)


『いいえ。逆さまになっていたという事実は間違っていません。目覚ましが鳴らなかった理由もね』


 だったら、どうして杉本は時刻を間違えたんだろう。


 探偵はどんどん歩みを進める。気付けば、周りに生徒は居なくなっていた。ここは……。


「さあ、着きましたよ」


 俺たちは図書館前に来ていた。図書館はスリッパのまま歩いて行けるが、校舎とは別の建物になっている。今は開館前だから、人の姿はない。


「ここに、今から私の推理を実証できるものが置いてあったはずです。行きましょう」


 探偵は図書館のすぐそばの外階段を昇り始めた。おい、勝手に上がって大丈夫なのか。


 しかも探偵のやつ、さっきから人がいないからって実際に声を出して話してやがる。抗議してみたが、全く気にする様子はない。


「心の中で会話するのは疲れるんですよ。それに、私はちょっとしか出て・・これませんからね。たまには自分で声を出したいのです」


 探偵は普段、眠ったような状態で意識を失っているらしい。ではいつ推理をするのかというと、俺が「さて」と言った時、過去1日分くらいの情報が流れ込んでくるので、その時にするらしい。極めて短時間のうちに、だ。


 ややモラルにかけているような言動もあるが、探偵の推理力が相当なものであることは認めざるを得ない。


「ここです」


 階段を上り終えると、多目的室がある。確か、情報の授業で使うところだったっけ。入学したころのオリエンテーションで案内された記憶がある。


 手前には物置みたいな部屋があって、なぜかドアのところに時計が立てかけてあった。教室に置いてあるのと同じタイプの、普通のアナログ時計だが、壊れているらしくあらぬ時刻を指して止まっている。


「実は、ここ文芸部の部室なんですよ」


(え、そうなのか!?)


 どうして俺よりも詳しいんだよ……探偵は、記憶喪失とは言いながら俺の知らない知識を持っていたりする。しかしここまでとなると、もしかしてこいつは学校の関係者だったのだろうか。


「今は……大丈夫そうですね。ちょっとお借りしましょう」


 探偵は時計をひょいと手に取ると、背面の調節ねじを回して針を動かした。ひとまずこいつ自身の謎は置いておいて、探偵が何を始めようとしているのか、俺にも分かってきた気がした。


「できました。7時ちょうどです」


 7時を指した時計を、探偵は両手で目の前に掲げた(図1 参照)。


挿絵(By みてみん)

 図1


「これが、杉本さんが起きた時刻です」


(ちょうどなのか? 7時過ぎじゃなくて?)


「ええ、そうです。続きを聞けば分かります。


 では、実際に杉本さんが見た様子を再現します。つまり、これをこう――」


 そう言いながら、探偵は掲げた時計を180度回転させた。


「カモさんみたいに、女の子の眼鏡を借りるのもいいですがね。今はこれで我慢してください」


 もうそのことは言うな! 探偵は、目を細めて時計を見た。俺の視界もぼやける。


 それは薄目で見ると、あたかも6時過ぎを指しているように見えた(図2 参照)


挿絵(By みてみん)

 図2


「もうお分かりですね。この通り、長針は真下に、短針は1時の方向へ向くようになります。それだけでは二つの針の長さがちぐはぐですが、この場合、短針の先には『7』がありますね。


『7』の斜めの線と短針が重なり、長針のように錯覚したのです。ちょうど7時だったから、こういうことも起こったわけです」


 そして1分ほど後、母親は逆さになっていた時計の向きを直して、杉本に見せた。


(……言いたいことは分かった)


 しかしまだ謎は残っている。俺の説明を聞いて、杉本が急に飛び出していった訳はなんだったのか。


 俺の疑問には、当然探偵も気付いているはずだ。だが探偵はさらりと話題を変えた。


「ところで、カモさんはどう思いますか。杉本さんの話を。何か、矛盾している所があったとは思いませんか?」


(いや……分からない)


 少なくとも俺では気付くことはできなかった。


「考えてみてください。朝起きたとき、杉本さんはどうして時刻を知ることができたか」


 そりゃあ、時計を見たからだろう。伝えると、探偵も頷いた。いったい、こいつは何を言いたいのだろうか。


「では、夜中に、どうして時計に当たってしまったのか」


(それは……部屋が暗かったから)


「その通りです。が、それではなぜ電気を付けなかったのです?」


 え……。俺は探偵の言葉に虚を突かれた。確かにそうだ。なぜ杉本は……。


「どうして今日に限って、杉本さんは自然に目が覚めたのか。それも目覚まし時計無しで。


 どうして杉本さんは、朝とはいえ分厚い遮光カーテンを引いた部屋で、時計を読めたのか」


 質問に次ぐ質問。俺は自らの口から発せられたそれらに困惑しながらも、探偵の主張の一端を理解していた。


「――もう気付いたでしょう。ここに矛盾が生じるのですよ」


(夜に閉まっていたカーテンが、朝には開いていた……)


 いや、それはただ単に杉本が……違う。杉本は目が覚めた時には時計を読めたし、それに朝日で目覚めた可能性があるから。その後に部屋に来た母親も違う。厳密にはそれ以前に来ていた可能性もあるが、わざわざ2階まで? もしそうならその時に起こすのではないか。


「分かりましたか? 杉本さんの部屋には、もう一人居たのですよ」


 なんてことだ……。俺は夜中に目を覚ましたくだりを思い出した。あの時杉本が気を遣ったのは、下の階の両親ではなく同室にいた人間だったのか。だから電気を付けるのも控えた。


「その人物は、きょうだいでしょうか?」


(いや……杉本は一人っ子だ……)


 探偵が満足げに微笑んだように感じた。そして、最後の質問を歌い上げるように言った。


「最初から答えは示されていたのです。


 杉本さんは何と言って――誰の名前を叫んで、教室を飛び出しましたか?」




 Side A


 自転車で走りだした「ニトロ」ちゃんだったけど、すぐに急ブレーキをかけて、私を振り返った。ま、まだ何かあるの。


「ねえ、君も文芸部に入らない? 読書好きなんでしょう」


 私の嗜好が知られていたことに、いまさら驚きはしなかった。この人、全部知っていてワザとやっているんだろうか……。


 ニトロちゃんのお誘いは、悪いけど断ることにする。


「私には、これがあるんで」


 さっき杉本家まで取りに帰ったもの――肩から下げた竹刀袋を、軽く掲げて見せた。朝練に行くというのに、2階の廊下の隅に置きっぱなしだったのだ。何たる不覚。


「そっかー。残念」


 最後までよく分からない人だったけど、本気で残念がっている姿を見ると、なんだか悪い人のようには思えなかった。


 私も入れなくて残念です。とは、言ったりしないけど。


 今度こそ女の子は走り去っていった。去り際にこう言い残して。


 ……ていうか、やっぱり名前も知っていたんじゃない!


「頑張れよー、剣道部の一年エース・・・


 春山蛍ちゃん!」




 Side D


 思えば、俺は春山本人から聞いていた。定期的にお泊り会をすると。まさかつい昨日もそうだったとは思わなかった。


 しかし探偵は、そのことさえ推理できるという。


「カモさんは、電車の中や駅で春山さんを見過ごしていたと考えたのですよね? ですがそこにも矛盾が生じています。


 春山さんの歩くスピードは、あなたが一人で歩くよりも遅かった。それに、あなたが通ったのは住宅街を抜けるショートカットコース。追いつけるはずないのですよ」


(つまり春山は駅からではなく、杉本の自宅からあの場所へ歩いて来ていたから、俺と合流できた、と。お前には、本当に敵わないな)


 散りばめられた手掛かりから、盲点を突くような真相を見つけ出す。まるで、お話の中に出てくる名探偵だ。


「これは想像でしかないのですが……杉本さんが慌てたのは、春山さんが目覚まし時計を部屋に忘れてきたと思ったからじゃないでしょうか。実際は、全く慌てる必要はないのですが」


 ということは、春山が目覚まし時計を杉本家に持参していたということか? あまり考えにくいが……。


 もしそうだとして。さらに、それがデジタル式で、杉本の目にもとまっていたら。


 杉本は、俺の話を聞いて、自分の記憶を疑いはしないだろうか? 朝、目を覚ました時に見たのは、毎日見ているアナログ時計か、昨日見たデジタル時計か。


 まあ、探偵の言ったように、だからといって教室を飛び出してすぐに春山に伝えなければならないことではない。そそっかしいあいつらしい。だが、俺はそんな杉本に惚れて――。


 ……いや。いい加減、疲れた。今は考えたくない。


 少し遠くで、チャイムの音が聞こえる。一応校舎の外だからだろうか。


 世界が再び反転するなか、探偵の声も遠くに聞こえた。


『恋をしている振りをして、いったい何に蓋をしようとしているのですか』


 やめてくれよ。違うんだ。最近そっけなくしているのも、さっき姿を見かけても避けたのも、本当に疲れていたからで――何の話だ。疲れているのは、今だろう。


 ホームルームには、間に合わないかもしれない。外階段にズルズルと腰を下ろしながら、俺はぼんやりと考えた。




 Side A


 もう間に合わないかもしれないなあ。


 半分諦めながらも、心持ち早歩きで国道を進んでいると――あの、立ち姿は。


 間違いない。彼だ。


 ……待って。どうしよう。心の準備が出来ていない。実をいうと、朝練には余裕で間に合う。早めに家を出たのは彼の電車が着く時間に合わせたからなのだ。それなのに怖気づくなんて、今さらかよ。自分を鼻で笑ってやりたいところだけど、事実、そうなんだから情けない。


 ええい! シャキッとしろ!


 見ると、賀茂だって眠いのか知らないけどボケた顔で何事かを呟いている。そうよ、こんな朴念仁に負けてどうする! いつも通り、声をかけるだけ。私ならできる!


「――紗妃がどうしたって?」


 こちらを振り向く。目が合う。汗ばんだ手でスカートを握る。隣に立つ。


 ……もしかしたら、ニトロちゃんには悪いことをしてしまったかもしれない。この男は真面目に国道沿いを歩くような人間じゃなかったわ。やっぱり、自転車なら追いつくなんて言ったのは余計だった。先に学校に着いてしまったことだろう。


 でもそんな些細な後悔も、彼に話しかけられたら一瞬で吹き飛んだ。悔しいけれど、やっぱり私は間違いなく恋をしていた。だって、こんな小さなことで私は一喜一憂している。死ぬも生きるも、彼しだい。


 今日は良い日になるかも。だって私いま、最高に幸せな気分なんだから!




「D or A」 了






――語り部は、Ace & Detectiveでお届けいたしました。

お久しぶりです、随分と時間がかかってしまいました。みのり ナッシングです。


お読みいただき、ありがとうございます。今回はケータイ小説っぽく(?)、二つの視点から物語を構成しました。冒頭の一人称で「お?」と思ってもらえていたら、嬉しいなあ。


もう後書きだからネタバレしますが、本シリーズでもついに叙述トリック解禁です(「ゴッホ」も一応含んでいますが、あれは意味を分かってもらえたか自信ありません……)。

叙述トリックは、私としては飛び道具という認識です。次元の壁を越えて読者を直接貫く弾丸、みたいな。本話で皆さんが銃で撃たれたほどの衝撃を味わったかは分かりませんが、あまり多用しないよう気をつけたいものです。




最後にもう一度、本作を初めて読んでくださった方も、待っていてくださった方も、本当にありがとうございました。

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