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不幸おすそ分けします。  作者: もろよん
3/4

EP2 奇跡の双子 

連投と言うか、何と言うか。区切りのついたところで出していきます。

 男は目を覚ます。


 しかし男の視力はまだ良くなかった。


 「あ~。」


 男は、ここはどこだと言ったつもりだった。


 「あ~?」


 男の耳は隣から別の声を聴いた。


 「あ~!!」


 それはとても嬉しそうで、可愛らしい声だった。


 「あ~・・・。」


 しかし二人にはお互いの言葉が通じなかった。


ガチャ


 扉の開くような音を男は久しぶりに聞いた。


 何故なら男はホームレスだったから。聞いた扉の音と言えば公衆トイレのバタンという音ぐらいか。


 ふと男の手に温かいものが当たる。隣の赤ん坊の手だった。


 「あ~。」


 目はまだ見えないが、とても嬉しそうだった。


 「あらあら。二人とも仲良しさんね~。ママも入れて~。」


 母親と思われる女性は、両手で二人の赤ん坊を抱き上げ愛しむ様に抱きしめた。


 「う~~~~ん・・・。私の赤ちゃん・・・可愛い~~~~。」


 男は一つ幸せを手に入れた。


 しかしそれは逆に、男を不安にさせる。


 今までのお約束が許さないのではないかと。そう不安になった。


 母の足元にネズミが走る。


チュッ


 「ひゃっ!」


 母の左手に抱えられた男は落ちる。


 「風よっ!!」


 男は暖かい風に包まれて、再び母の腕の中に戻った。


 男は泣いた。心の底から。


 「あ”ーーーーーー。」


 今迄人生で、痛みを覚えない事など無かったから。


 「あ”------。」


 もう一人の赤ん坊も泣いた。その奇跡を祝福する様に。


 「お~~よちよち・・・怖かったねー・・・ごめんねー。」


 そうじゃない。怖くは無い、そう言いたかったが、まだ男は話せなかった。



ーーーーーーーーーー


 男が生まれてから数年の時が流れた。


 「おはようございます、お母さん」


 男は成長し、八歳の誕生日を迎えた。そして。


 「おはよーママ!今日もいい天気ね!」


 男と手をつないで現れた女の子はとても元気だった。


 「コウもサチもおはよう!今日も二人は元気ねっ!!」


 にこやかに女の子と母はハイタッチする。


 「「ヘーイ!」」


ぱちっ


 男は・・・コウまだ慣れなかった。前世と同じ名前で、違う家族。そしてこのハイテンション。


 「ヘイ!コウ!ヘイ!!」


 コウヘイってなんだよ・・・。とか思わないでは無いが、コウもノリはは悪くないほうだった。


 「ヘ-イ!」


ぱちっ


 「「「いぇ~~~い!!」」」


 朝から元気な三人は、朝食をとり雑談する。


 「今日は教会に行って洗礼の儀式を受ける日よ?覚えてるかしら?」


 母はとてもよく食べる。しかし太る気配などみじんもない。


 「もちろんよっ!!私はきっと勇者なんだから!!」


 サチは胸を張り洗礼の儀式に思いを馳せているようだった。


 「コウは何になりたいの?」


 コウは今迄、この年齢になるまでにとても努力していた。


 この世界のあらゆる国を覚えた。


 この世界に魔法が存在することを知った。


 この世界にモンスターが居ることを知った。


 この世界でモンスターが暴れていることを知った。


 この世界で神から力が与えらる機会があることを知った。


 この世界の人々がとても勇敢であることを知った。


 この世界に、お礼をしたいと思った。


 「僕も・・・勇者が良いな。」


 サチは手を掲げて待っている。


 「「ヘーイ!!」」


 なぜ?とコウは思ったが、サチは言った。


 「勇者なんかいっぱい居ても困らないものねっ!私もコウも勇者ねっ!!」


 母は嬉しそうに自分で焼いたパンをほおばる。


 「うふふー。勇者様が二人も居たら、きっと世界は平和ね~。」


 食事の後片付けを手伝い、よそ行きの服に着替えた二人はこれまたよそ行きの服に着替えた母と共に家を出た。


 「楽しみね!コウ!」

 「うん。楽しみだねサチ。」


 二人はとても仲が良い。だがここにそんな二人をうらやむものが一人。


 「ママが真ん中―!」


 と。二人の手を握り間に割って入る母。非常に大人げないがいつもの事である。


 「教会。いっぱい居るかな?」

 「きっといっぱいよ!沢山いるわ!」


 母は子供たちの手をぶんぶん振りながら話に加わる。


 「町長さんのとこのアレク君も来るはずだし・・・雑貨屋さんのミラちゃんも来るでしょ?」

 「錬金先生のとこの!ミミリーも来るって言ってた!」


 錬金先生とは、この町の健康を一手に引き受けている薬師であり錬金術師としても有名な男の事だった。名前はジャン。


 「そうね!あとは・・・。」

 「領主様の所のアミラ様も来るって、誰かが言ってた。」


 今年八歳になる子供たちが教会に集められる、年に一度のお祭りの日。


 洗礼の日は、儀式を受ける子供たちにとっても、それを見守る大人たちにとっても、その他の者たちにとっても楽しみだった。


 子供は大道芸や出店を楽しみに、大人は仕事が休みなのを喜び、一年に一度の祝祭の日だった。


 「ママっ!見てっ!見たことが無いわっ!あれ何っ!?」


 そうサチが指さしたのは、町の広場にテントを張るサーカスだった。


 広場の半分ほどを占めるとても大きなテントの入口に、人々が行列を作っていた。


 「あらー。サーカスね!!ママも一度だけ見たことがあるわ!!すっごいのよ!」


 コウはサーカスについて思い出していた。かつて拠点にしていた公園に世界を巡る大きなサーカスが来たことがあったと。


 「見に行く?」


 そうコウが母に尋ねると、母は少し困った顔をした。


 「うーん。今から儀式があるからねー。明日も居たら明日にしましょう?」


 それを聞いたサチはと言うと。


 「・・・・ぅう~~。」


 泣きそうだった。しかし、サチは思いとどまる。


 「サチ。明日来ようよ。きっとまだいるよ。」


 サチはコウが大好きだった。コウの言葉はサチの希望だった。


 「うん!!明日見れなかったらまた次に来た時でいいわっ!!」


 母はそんな二人を頬ましく見ていた。


 「さぁ!教会へ行きましょう!」


 「「「れっつごー!!」」」



ーーーーーーーーーー


 教会の入口には人だかりが出来ていた。毎年の事である。


 「では皆さん、八歳の子たちを前へ。」


 それぞれの家族が子供たちにエールを送り、観衆の前へ送り出す。


 「では一人ずつ教会へ入りますよ。」


 クール系美少女と言っても過言ではない、シスターマゼンダに手を引かれ、先ずは領主の娘アミラが教会へ入っていった


 さわつく観衆の中、五分ほどたっただろうか?教会から光の柱が立ち上り、儀式の終わりを告げた。


 「ビックリしたね。」


 サチはコウの手をぎゅっと握っていた。


 「あんなに大きな音がするなんて思わなかったわっ!」


 すると、アレクが話しかけてきた。


 「次は俺の番だな!俺勇者になってくるぜっ!」


 アレクの目はサチを捕えている様だが、サチは全く気にしない。


 「そうねっ!勇者が一杯いるときっと世界が平和になるわね!!」


 それは母の受け売りだった。


 「ばっか。勇者なんか一人に決まってんだろー!俺だって!」


 するとサチはあきれたように首を振る。


 「ちがうわっ!私が勇者よ!ううん!私も勇者!コウも勇者!」


 アレクはそのサチの言葉がおかしかったのか、大きな声で笑いだした。


 「何言ってんだ!コウは勇者じゃねーよ!精々どぶ攫いだろ!」


 アレクはいつもこうだ。サチとずっと一緒に居るコウが気に入らないらしく何かにつけてコウを貶める言動をとる。


 しかしこの後の展開はいつもの事。周りの大人たちもすでに回復魔法を用意して待っていた。


 「コウに酷い事を言うなぁ!!!!!!」


ゴッ


 この八年間、コウは前世から記憶を持ったままでこの世界に来たという事もあり、今まで出来なかったことに挑戦していた。


 筋力トレーニングは、何故が始めると同時に邪魔が入り、外を走ろうとすると嵐になり、勉強をしようとすると教科書を盗まれる。


 そんな事が日常茶飯事だったコウには、普通の事がとても大切に思えた。毎日朝ごはんの跡に外を走る。


 少し大きな石の塊を持ち上げて投げる。家にある本を毎日一冊読む。


 そんな普通の事がとても嬉しかった。サチもコウに続いて同じことをしていた。


 そして母に魔法を教わった。魔法の根源は想像力。そして想像力から現象を切り取るイメージ。


 どれも、常々幸せな未来を想い描いて生きてきたコウには得意な事だった。


 サチもまた、コウの思い描く幸せな未来を想い描き、努力を惜しまなかった。


 そんなサチの力は、何もせず木の枝を振って遊んでいただけの子供にはあまりにも過ぎる力だった。


 アレクは気絶し、鼻血を垂らしたまま氷を額に乗せられ、回復魔法を受けていた。


 「フンだ!魔法じゃなかっただけありがたく思ってよねっ!!」


 コウはそんなサチの手に少し傷があるのを見つけた。


 「サチ。手を出して?痛かったでしょ?」


 コウがサチの右手の傷に手をかざすと、暖かい光が傷口を塞ぎ、傷跡が消えていく。


 「ありがとっコウ!」


 そんな間に、シスターマゼンダが戻り、アミラの洗礼が終了したことを告げる。


 「アミラ・・・。皆に告げますか?告げずに戻ってもいいのですよ?」


 アミラは俯き、悔しそうな顔推してサチを見た。


 「言う。言います。」


 そしてアミラは震えるような小さな声で言った。


 「モンスター使い・・・です・・・。」


 観衆は歓喜した。


オオオオオオオオオオおおおおおおおおおおおお!!!


 当のアミラはキョトンとした顔で何が起こったのか分からない様子だった。


 隣に居たシスターマゼンダも、なぜ言い渋っていたのかと首をかしげていた。


 コウは知っていた。モンスター使いとは、この世界に存在するスキルの中でもトップクラスの能力を持つことを。


 もちろんサチも知っていた。サチの目はとてもキラキラしていて、少し羨ましそうだった。


 「凄いね!コウ!S級スキルだよ!!やったね――――!アミラ――――!!」


 コウも祝福を送らずにはいられなかった。


 「おめでと―――――アミラ―――――!!」


 アミラは勉強不足だった。自分にふさわしいスキルは勇者か聖女しかないと、そう言い聞かせていた。


 それゆえに他の事を学ばなかったのだ。きっとここから彼女の新しい人生が始まるのだろうと、コウは思った。


 「アレク!次のアレクは中に入りますよ!」


 回復魔法で意識を取り戻したアレクは、シスターマゼンダに手を引かれて教会へと入っていった。


 アレクの右目はサチの拳によって大きなあおたんが出来ていた。敢えて治さなかったらしい。


 アミラがコウに近づいてきた。


 「おめでとうアミラ。良かったね。」


 顔尾赤くしてもじもじとお礼を言うアミラ。


 「ありがとう・・・。その・・・。何だか恥ずかしぃよ・・・。」


 そんなアミラにサチが肩を叩いて言う。


 「モンスター使いってとっても素敵ね!やっつけるばっかりじゃ無いなんて、とても素晴らしい事だと思うわっ。」


 それを聞いたアミラははにかみながら二人にエールを送る。


 「そうだね。牧場でも出来るかな?きっと二人はもっとすごいスキルを貰えると思うな。」


 そんな話をしている中アレクの儀式が終わったようだ。


 「アレク。どうしますか?」


 アレクは悔しそうに拳を握り締めている。その様子を見るに勇者では無かったのだろうか。


 「・・・・言いたくねぇ。」


 シスターマゼンダはそういうアレクの肩に手を置き、アレクを送り出した。


 「何よ・・・結局男らしくないわね・・・。アミラも頑張って言ったのに・・・。」


 サチにはこういう所が有る。ワザと聞こえるように言うのだ。決していじめなどでは無いのだが・・・。


 「うっせぇ!!!どうせお前たちも勇者じゃないんだ!後で覚えてろ!!」


 コウは不安だった。フラグが立ったと思ったのだ。前世では決して避けられ無かった。今はどうだろうか・・・?


 「サチ!次はあなたよ。行きましょうか。」


 サチはにこっとコウに笑顔で手を振り、教会へ入っていった。


 「サチはきっと・・・勇者なんじゃないかな?」


 アミラは期待を込めてコウに言った。


 「そうだね。サチが勇者ならきっとみんな嬉しいね。」


 コウはサチが勇者になった未来を思い描いた。


 そして光の柱が立ち上り、サチが戻ってきた。その顔は若干の不服が見て取れる。


 「サチはどうしますか?」


 サチは不満を隠すことも無く、ぶすっとした顔で頬を膨らませながら言う。


 「言うわ。・・・私はゴッドハンドだって!!」


おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!


 ゴッドハンドとは、今日初めてこの世界に現れたスキルだった。


 しかしゴッドと名が付くだけで、すごいスキルなんじゃないかと観衆は歓喜した。


 小さなほっぺたを膨らませながら、サチは戻ってきた。


 「ぶぅぶぅ!ぶーだよ!!勇者じゃ無かった!」


 ははは・・と、サチの頭をなでながらコウは慰める。


 「でも凄いんじゃないかな?ゴッドハンドって。僕も色々調べたけど、今迄に誰も手に入れたことのないスキルだよ?」


 サチはコウの手を取り、ぶらぶらと振りながら不満を漏らす。


 「でも勇者がよかった・・・。」


 するとアミラはサチの反対側の手を取り、励ましの言葉を紡ぐ。


 「きっと勇者よりすごいのよ!勇者が凄かったのは今までの話なのよ!」


 するとサチはみるみる笑顔になる。


 「うん!きっとそう!勇者何て、かこのいぶつよね!!今は新しい時代なんだからっ!!にゅーかまーよ!」


 サチは笑っているときが一番かわいい。コウはそう思った。


 「コウ!サチの次はあなたよ!行きましょう。」


 シスターマゼンダの顔が赤い。そしてコウの手を凄く強く握っているような気がする。


 コウは教会の扉をくぐり、大きな女神像の下まで来ると、女神像を見上げた。


 そこには、見覚えのある女性が居た。空中に。


 「やぁやぁ。八歳の誕生日おめでとう。この世界はどうかなー?楽しんでるー?」


 コウをこの世界に転生させたその人、神が居た。


 教会の中に響く声。神父やシスターたちはキョロキョロと声の主を探すが当たり前のように誰も居ない。


 「貴方は何故宙に浮いているのですか?魔法ですか?」


 何故かコウはそう聞きたくなったので聞いてみた。シスターマゼンダがコウの見ている方向を見てギョッとする。


 「ふふっ。似たようなものよ。楽しめているみたいで何よりねー。」


 シスターマゼンダはコウの手を何故か離さず、さらにぎゅっと握ってきた。


 「そっちのシスターマゼンダも久しぶりねー。女の子に生まれ変わっちゃったけど・・・どうかなー?」


 コウはシスターマゼンダを見て不思議な感覚を覚えた。


 「は・・はい。女神ローミエル様、不自由なく過ごしています。」


 ローミエル様。コウはその名前を聞いてそう言えば名前を知らなかったなと思った。


 「コウ。その娘はあなたのお兄さんだった子よ?」


 !!??コウは驚きのあまりシスターマゼンダの目を具強く見ていた。


 「その驚いたときの目は変わらないね?名前も同じだったから、もしかしてとは思っていたけど・・・。」


 ローミエルは床に降り立ち、二人の手を取った。


 「これからは家族で一緒に暮らしていけるよ?」


 コウの表情は複雑だった。自分の不幸が、家族を殺したと思っているからだ。


 「コウ。あなたを不幸にしていた向こうのバカは、私が念入りに磨り潰しておきましたから。大丈夫ですよー?」


 手をつないだ二人は絶句し、互いに寄り添いあった。


 「かかか・・・神よ・・・その・・・祝福の儀式を・・・。」


 シスターマゼンダは、絞り出すかのようにか細い声だった。


 「そうねー。直に私が来るなんて、ないもんねー。どうしよっかなー?どうしよっかなー?」


 すると、この教会の責任者でもあるダークス神父が二人の傍まで来た。


 「シスターマゼンダ。何をしているのだ。早く儀式を行いなさい。後が使えているのですよ?」


 その言葉にシスターマゼンダは唖然とした顔を神父に向けた。


 「神父様・・・?何を仰っているのですか?神の御前ですよ?」


 シスターマゼンダのその言葉に、周りで聖歌を歌っていたシスターたちが慌てて両ひざをつき、頭を垂れた。


 恐れ多くも、この教会の信仰する女神ローミエル。その人がここに居るのだ。神父の行動は奇行以外の何物でもない。


 静まり返る教会の中、ダークス神父はローミエルの方を見ている様だが・・・。


 「ふざけるのもいい加減にしたまえ!シスターマゼンダ!君がそういう人だとはおも・・・へぐぅ!!」


 コウは今まで目の前で見ていたローミエルが消えたことに一歩遅れて気が付いた。


 そして、ダークス神父の立っていた所には、拳を振りぬいた余韻に浸っているローミエルが居た。


 「私が見えない時点でこいつが異教徒だって事は分かっているのよ!だからいいの。」


 ローミエルはコウに目線を合わせ、膝をついてコウを抱きしめた。


 息を飲むシスターたち。目の前で自分たちの信仰の根源たる神が居る、しかもその神に直接祝福を受ける子供がいる。到底現実の物とは思えない光景に皆困惑を隠せないようだった。


 「ぎゅーっ。はぁ・・・。コウ君かぁいいなぁ・・・。ちょくちょく会いに来るからねー?さってと・・・。」


 ローミエルは女神像の前に立ち、シスターたちを見回した。


 「さんはい!」


 その合図と共に、今まで聞いたことも無いような力強い聖歌が響きわたる。皆信仰にかけて歌っているのだ。力が入らない訳がない。


 「では・・・。コウ。あなたに祝福を授けます。こちらに来なさい。」


 コウはシスターマゼンダの手を放し、ローミエルの前に来た。


ちゅ


 ローミエルの唇がコウの唇と重なると、シスターたちの聖歌がさらに大きくなる。中には鼻血を垂らしているシスターもいた。


 「これで貴方は名実ともにこの世界の人間よ。スキルだって奮発しちゃったんだから!」


 すると、ふと、ローミエルが真面目な顔に戻り、コウへ語り掛ける。


 「もしかすると、あなたにとって良くない事がこの先起こるかも知れない。でも、そのスキルがあれば大丈夫。それもどうにもならない時は・・・。」


 私を呼びなさい。と。そう言ってローミエルは姿を消した。


 すると、ローミエルの拳に沈んだ神父を踏みつけ、周りのシスターたちがコウの周りに集まる。


 「キャー!!コウ君可愛い・・・!」

 「神様ってどんな人なの・・・!?」

 「シスターマゼンダとはどういう仲なの!?」

 「使徒様・・・。」


 様々な反応を示しつつ何故かコウの胴上げが始まった。


 「あ・・あの・・・・?」


 ワッショーイ!ワッショーイ!


 思ったより力強く宙に投げられるコウはシスターたちに軽く恐怖を覚えつつも、自分のスキルを確認してみた。


ーーーーーーーーーー


 コウ 八歳 人種 ローミエルの使徒


    状態 健康



スキル ローミエルの使徒

    幸運分割ラッキーディバイド

    幸運吸収ラッキーアブソーブ

    格闘術

    下級四大魔法(光)

    下級四大魔法(闇)

    ローミエルの寵愛

    シスターの寵愛



称号


ローミエルの使徒


 古き神々の長たる女神ローミエルの眷属たる資格を得た人間に与えられる称号

 この称号を持つものは、封印されし神殿に足を踏み入れることが許される。


スキル


ローミエルの使徒


 ローミエルの使徒としてふさわしい能力を手に入れることが出来るようになる

 魔法の習得に大きなアドバンテージを得る

 肉体の成長に大きなアドバンテージを得る

 ????(大人になってからのひ・み・つ)


幸運分割ラッキーディバイド


 自分及び他者の運を分割することが出来る

 分割した運は取り出すことが出来る

 取り出した運は任意の存在に分け与えることが出来る


幸運吸収ラッキーアブソーブ

 

 他の存在の運を奪うことが出来る

 運を奪われた存在は運が元に戻るまでに非常に長い年月を要する

 人は運がゼロになると命にかかわる厄災をその身に受ける


格闘術


 肉体を用いた戦闘において非常に大きなアドバンテージを得る

 拳によるダメージが三倍になる

 脚によるダメージが四倍になる

 回避補正50%アップ


下級四大魔法(光)


 光の四大魔法全ての適性を持つことが許される

 地魔法の習得及び行使に大きなアドバンテージを得る

 水魔法の習得及び行使に大きなアドバンテージを得る

 火魔法の習得及び行使に大きなアドバンテージを得る

 風魔法の習得及び行使に大きなアドバンテージを得る


下級四大魔法(闇)


 闇の四大魔法全ての適性を持つことが許される

 毒魔法の習得及び行使に大きなアドバンテージを得る

 氷魔法の習得及び行使に大きなアドバンテージを得る

 炎魔法の習得及び行使に大きなアドバンテージを得る

 嵐魔法の習得及び行使に大きなアドバンテージを得る


ローミエルの寵愛


 女神ローミエルの姿を模したアイテムを身に着ける事に寄ってあらゆる厄災から身を守ることが出来る

 一つ物理的な厄災を防ぐ

 二つ魔法的な厄災を防ぐ

 三つ精神的な厄災を防ぐ

 四つ他者の厄災を防ぐ

 五つ防ぐ厄災の範囲が大きく広がる

 六つ女神が喜ぶ


シスターの寵愛


 ローミエル教団のシスターたちに愛されることが許される

 ????

 ????

 ????

 ????

 ????

 (大人になってからのひ・み・つ)


ーーーーーーーーーー


 大盤振る舞いだった。


ひ・み・つ

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