EP1 死体蹴りからののんきな神
読み難いとかあったら教えて欲しいです。
男の意識は途切れ、永遠の眠りにつくかに思われた。
男もお既に諦めていた。
だが諦めてはいけなかった。
バキッ・・・ぶぅーーん・・・・
男は鋭い痛みで目を覚ました。痛みのショックで息を吹き返したのだ。
「死ねるかと思ったのに・・・。」
世界は甘くない。この男に限って。
しかし両脚を踏み砕かれ、流血どころの騒ぎではない。
「もう痛みも感じない。流石にこれはもうダメだろ・・・。」
男は動けなかった。両足が無くなった事もそうだが、何より栄養が不足している。
四肢に力が入らず、痛みの勢いで飛び起きはしたものの、それ以上動けなかった。
雨が降る。
路上に広がる男の血を洗い流すように、全部無かったことにするかのように、激しい雨・・・。台風だった。
「そう言えば、電気屋のテレビで台風が来るって言っていたな。」
しかし男がそこに居る。それだけで台風の進路が変わるのには十分だった。
気象予報はこの地域は台風が通らない、そう言っていた。だました訳では無い。
気象予報士は知らなかったのだ。男がいることを。
そして台風は直撃する。男をめがけて一直線に。
ごぉぉぉぉぉっ
「台風って凄いんだな。あんなに渦を巻いて・・・。」
それは台風では無い。
竜巻だ。ハリケーンである。
偶然に偶然が重なって、カテゴリー不明の超大型竜巻が目の前に発生した。
男は非常事態だというのに感動していた。
「すげぇ・・・。台風ってすげぇ・・・。」
だから竜巻だっての。
豪雨によって男がいる路面は冠水し、男は既に胸まで水に浸かっていた。
今度こそ終わりか。男はもう一度諦めた。そう、諦めてしまった。
竜巻は男に向かってあっという間に言辿り着く。
浮かぶ体、飛び散る下半身。そして臓器。
男が台風に舞い上げられる直前、大きなガラス板が、奇跡的にそのままの状態で飛んできたのだ。
どこかのビルの窓ガラスだろうか。それは調節され尖れたかのように鋭く、鋭利だった。
男の腰から下を切断し、それは飛んで行った。
流石にもうダメだろ。男は安堵した。家族に罵声を浴びせられに・・・。行けないのだ。
「何なんだ一体・・・。何で生きてるんだ・・・?」
男は竜巻に巻き上げられ、はるか上空へ運ばれていた。そう。体が凍結していたのだ。
肉体の半分以上を失ってなお、世界は男を逃がさない。
まさに男を弄ぶためだけに、この災害を起したかのように、男の下で竜巻は消えた。
「ここから落ちたら流石に終わりだな。長かった・・・。」
また諦めてしまった。世界はそれを叶えない。
偶然セスナが通りかかる。偶然ではない偶然は必然と言う。
それは世界の選択、命令。
セスナノウイングの上に何故か乗っかった男は、凍える上空の空気の中、段々意識が遠のいていく。
旋回するセスナから落ちる男。
男の眼下には海。まともに思考が出来ない中、ずいぶん遠くへ運ばれたものだ。
男は感動した。最後にこんな素晴らしい景色を見られるなんて。
旋回していたセスナが何故か戻ってきた。
ガン
先ほどは上手に乗っかったウイングに今度はしたたかに打ち付けられた。
わざわざ通信指示を無視してまでUターンをしたセスナに偶然ぶつかった男は今度こそ意識を無くした。
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「ずいぶん時間が掛かったねー?」
男の目の前にいる女性と思われる人らしきものは、上半身だけの男を抱きかかえた。
「苦労しただろうに。幸せそうな顔だねー。」
男の顔面は、故郷の素晴らしい景色に見とれたままの笑顔だった。
「君はあの世界で幸せになれたのかな?」
しかし男は答えられない。男は死んだから。
「ずっと見守っていたんだよー?」
女性は宝物を貰ったように優しく、いつくしむ様に男を包み込む。
「私の世界においでねー。もう、皆先に言ってるよー。」
そう言うと男の体はさらさらと崩れ、光の粒子になった。
「じゃぁいこっか―。」
男は光の粒子になり、新しい世界に招待された。
そこに残された女性は一人。
「あのクソ餓鬼・・・あの子をこんなになるまで痛めつけてくれて・・・。」
女性の拳に血の気が無くなるほどの力が込められる。
「新しき神々だか何だか知らないけど、力で遊ぶ奴は神じゃない。」
ダン。と怒りを表すように床のような場所を踏みしだく。
「私の方が、圧倒的に上の存在だって事を思い知らせてやるかなー。」
そして女性は光の粒子になり、男の後を追った。
これから彼女は休暇を取る。幸せを与えるために。
その休暇の一環として、男を世界に招き入れた。
「さぁレッツゴーハッピーラーイフ。」
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男の新しい世界での新たな不幸が始まりを告げた。
この話は一万字以内に一話を収めていきます。
が。
特に何も考えていません。
質問は受け付けます。
だが答えられると限らないっ( ー`дー´)キリッ