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「…痛い…」


私はまだベッドの上から動けないままでいた。寒い…隣にヒロくんがいないからか。ていうか最近毎日裸で寝てるし、風邪なんて口実が本当になりそうだな。こうやって痛みで目が覚める時は、自分の家のはずなのにいつも空気がよそよそしいように感じる。飼い猫のレンがニャーと鳴いてこちらに寄ってくる。


「あーごめんねレン。ごはんまだだよね」


撫でてやると、彼女はゴロゴロいいながら気持ちよさそうに目をつむった。この子が唯一の癒し。私はなんとか起き上がって、キャットフードのある隣室へ向かう。


「あれ」


まだ開けていなかったはずの買ったばかりのフードの袋が破られていた。


「レン、ヒロくんにごはんもらったの?」

「にゃ」


そのとおりというように尻尾を振っている。よく見るとヒゲや口元にフードがくっついていた。毛並みが黒いのでわかりやすい。


「そっかあ…」


私は膝に乗っかろうとするレンを押しやって、とりあえずシャワーを浴びることにした。昨日はいつもより激しかった…服を脱ぐために腕を動かすのも苦痛な程だった。痛む傷をいたわりながら風呂場に足を踏み入れる。


「ううー。しみるー」


鋭かったり鈍かったり、私の体はうるさく悲鳴をあげた。温かい湯船は体温を連想させる。でも、こうして1人であたたまる方がヒロくんに抱かれるより安心感があるのは…なんなんだろう。ヒロくんに人間の片鱗を見つけるたびに安心した。今日のレンの餌用意してくれたこととか。サークルでは後輩に慕われているし先輩にも信頼されてる…のかな。

余計なことをこれ以上考えるのをやめた。『大丈夫、私はまだ耐えられる』今日もまた、そう暗示をかける。鬱屈とした気持ちを洗い流すようにシャワーを頭から浴びた。


ふと、鏡に映る自分の姿が目に入る。首にも腕にもロープの跡、肋骨や背中には切り傷やミミズ腫れ、顔には痣やかすり傷、そして目から出てくる涙…。


「…そろそろ、やばいかな?」

前回短かったから連続でのせる

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