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白い光が続いて、眩しさに目も慣れてきた頃、やがて視界がはっきりしてきた。明度が若干下がる。やや灰色がかった天井と、点滴の針が刺さった自分の左腕、右手に暖かいもの…


僕は病院のベッドに寝ていた。右側で羽七子が僕の手を握り、居眠りしている。


「……病院…?」


重い体を起こして、羽七子の方に顔を向ける。首を少しでも動かすと痛いので、仕方なく羽七子が握る手を離し、ベッドに手をついて安定する姿勢をとった。羽七子は僕が手を離したから気がついたのか、ムクリと起き上がる。


「……羽七ちゃん」


その声を聞いて羽七子は僕を睨みつけた。目の下にはクマができていて、ジトリと僕を直視する。あきらかに怒ってる…こんな表情、現実世界で見るのは珍しいぞ。って、そんな事考えてる場合じゃない。すっかり考えを改めたんだから、まずきちんと謝らなきゃね。


「…ごめ」


―――!?頬に痛みを感じると同時に、白い病室にパーンッという音が響いた。っていうか!その衝撃で首まで動いてしまってめちゃくちゃ痛い!!!


「えっ……!?」


煙が立つかと思うほどヒリヒリする。目の前には僕にビンタをしたと思わしき羽七子が椅子から立ち上がっていた。その見下ろす姿は、なんとなくあの悪夢の中の光景と似ていた。


「はな…ちゃ…?」

「…ばか」


震えながら、羽七子は続けざまに叫ぶ。


「ヒロくんのアホ!鬼畜!サークルの恥さらし!!!」

「そ、そこまで…!?」

「先輩が電話くれなかったら今頃どうなってたか…っ」


涙が容赦なく溢れる瞳をぐしぐし擦っている。僕のために泣いてくれている。僕を必要としてくれている。…そのことに胸を打たれた。笑っていい立場じゃないのはわかってるけど、そんな羽七子が可愛くて思わず微笑む。


「…ごめん」


酷いことをしたからというのも、そうなんだけど…。


「一人にして、ごめん」

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