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アルナの後見人と願い事

--フリージア--

相手が何か言ったらしく、アルナはブチ切れた。

結果、相手はほぼ自滅。

おまけにお仕置きなのか何なのか空中ですっごい振り回されてた。

ぶつかってもぶつからなくても完全に意識がなくなるまで続いてた。


下手に腕や足を切り落とすよりも効果的ですね。

私が教えた魔法の軌道を逸らす技もしっかり身につけてますし、良い感じですね。


さすが私のメイドであり、弟子です。


本人はそのお仕置きですっきりしたのか

「リア様ぁ!!勝ちましたぁぁあ!!」

満面の笑みでぴょんぴょんしながら私に手を振ってる。

私も手を振り返すけど、あのおっきなおっぱいがぷるんぷるんしてるので周囲の男どもが盛り上がる。



あぁ、もう。

そんなにファンサービスしなくてよろしい。

うれしいのは分かったので落ち着きなさい。




「あぁ・・ほれ、アルナ。落ち着きなされ。そこまでファンサービスをする必要はないぞ?」

「ファンサービス?・・・・・っ!」

おじいちゃんが一言言った後、アルナは自分がしていたことを思い返し、すぐに理解したのか顔を赤くしてフリーズした。

「とりあえず、よくやった。午後の授業は自由行動じゃ。アルナ、お主はワシの部屋まで来なさい。フリージア。お主もじゃ。色々と話すことがあるからのぉ。」

「わ、わかりました。」


私とアルナがおじいちゃんの部屋に行くまでの間にあの4年生のことを一応話しておきます。

あの後、彼らは特にお仕置きはなかったモノの、ネルさんがしれっとあの暴言を実家へ送ったらしく、自身の子供に対してはそれはそれは怒り狂ったらしく長期休暇の際に強制的に家に連れ戻し、徹底的に教育を休む暇も与えずに行なうことが決定し、主である私経由でお詫びの言葉を告げた手紙と共にお金が送られてきた。

怒り狂ったのと同時に顔が青ざめていたのだとか。

そりゃそうですよね。

あの台詞を聞くとこの国のトップ・・特に王族と私たち公爵家を敵に回したのとさほど変わらないものでしたから。


反省しているという印なんだとか。

お金でどうにかなるモノではないと理解はしているらしいけど説教と教育以外でも何かしらの形でお詫びはしたかったらしい。

貴族の場合は、金貨が3枚から10枚の間でそれぞれ送られており、お金に余裕がない人たちの場合、治安維持活動を無償で数ヶ月ほど行なうことと、徹底的に教育し直すことの宣言がされていた。

で、無償活動の時の報酬は全て募金するらしい。

お金を渡すと言うより誠意を見せる形にしたようだ。

一応、教育頑張れという言葉をネルさんを経由して各地に送ってもらいました。


帰った後が大変そうですね♪

ちなみにそのお金ですが、アルナさんはそのまま全部孤児院へ寄付されました。

あ、孤児院は以前ノクスさんが黒騎士と呼ばれることになった事件・・・と言いますか依頼の時に保護した人たちが仮に過ごしている建物です。

元々大きな建物で空き家だったのですが(国が管理中・・と言うより元持ち主がいらないと言って国に渡した)そんなときにその件が発生したので丁度良いとそのまま使われることになったんです。

ノクスさんたちが中心に教会の人たちが協力してくれてるので順調にそれぞれが目指す方へ旅立っていますよ。

ある人は、結婚を前提に付き合うことになり

ある人は、冒険者仲間としてパーティの1人として共に旅立ち

ある子は、養子として預かられることになり

ある子たちは、この中のメンバー同士でチームを組み、この国で冒険者となって経験を積んでいたり

ある人たちは、この国で様々なお店を営む人たちの中より従業員として住み込みで働くようになったりと様々です。

まぁ、私もちょいちょいあっちこっちでお願いして回っていたこともあり、協力してくれる人は多いのでかなり順調です。


で、そんな彼らのことを暇つぶし程度・・と言うより昔話ついでに話してたのを覚えたらしく有効活用された方が良いと言ってそのまま渡されることになりました。

本人曰く、既に十分幸運を受け取ったのでもらいすぎ&自分が貯金しているよりも有効的だと言ってた。






「とりあえず、アルナ。よく頑張ったな。」

「いえ。全てリア様のおかげです。」

「だとしてもじゃ。魔法の受け流しという高等技術を扱えるほど魔法を操れるようになったのはその教えを身につけたお主の実力じゃ。」

「え?あの技はそんなに凄いモノだったのですか?ちょっと軌道を逸らしただけですよ?」

私のように反射出来ないしとアルナは言うと、おじいちゃんは呆れた表情でこういった。

「はぁ・・。魔法防御に関するレベルをワシが教えよう。」

「よろしくお願いします・・・・そういえば、学園長のお名前って何ですか?」

そういえば学園長としか知りませんね。

私とかおじいちゃんとしか言ってませんし。

「そういえば、式の際も含めて言っておらんかったのぉ。ワシはソーサル。かつては、賢者に最も近いと言われる程度の男じゃよ。」

白と灰色の間の色の髪とおひげを伸ばしたおじいちゃん。

「凄いじゃないですか!」

賢者は、魔法関連の職業で最も上と呼ばれているモノです。

私が言うのもアレですが、世界で1人しか許されない職業ですし

「ステータスには賢者(仮)と書かれておる程度じゃよ。」

魔法使いかその類いの職業と(仮)とかがついても賢者とつく職業になれた場合、かなりの差があります。

30と100とかなり差があるんですよ?

「それでも凄いですよ!」

「ありがとうな。」

-ちなみにどのような魔法を扱うのですか?-

「ワシか?ワシは、仙術じゃよ。」

「仙術?」

「自然を操るモノでな。風、土、植物、水に自然光。自然界にあるモノを操るモノじゃ。」

-それらを伝って周囲を探索したり出来ると言うことですか?-

「そういうことじゃ。一撃一撃の威力は対したことがなくとも広範囲で通常の魔法より少ない魔力量で扱うことが出来るからの。」

基本的に一般的なサイズの刀を扱い、その補助として仙術を扱う戦法なんだとか。

1人を狙い撃つという方面では弱いらしいですがかなり広範囲で対応可能らしいです。

後、水を扱うなら水がある場所である川や海がなければならず、土を操るなら土がある場所じゃないと駄目と、操る対象そのものが近くにないといけないと色々と条件があるらしいですけど、仙術は元々自然と共にあるモノらしいです。

「凄いですね。」

「ほっほっほ。で、話を戻すぞ?」

「はい」

「魔法を使った防御は、まず回避が1つ。次に攻撃することで魔法発動そのものを回避するか、飛んでくる魔法を攻撃して潰すことが1つ。この辺りは正確に狙いを定め、それなりにスピードに自身のあるモノがする技じゃな。言い方を悪くすれば攻撃しか出来ず、防ぐ方法がないとも言える。」

攻撃して対策する手順ですね。

「次に結界など、自身の壁となるモノを作り出し防ぐ技。これが一般的に使われるモノじゃ。」

防御と言われるとこれ!と思う人がほとんどですね。

「段階からすると壁を作り出すモノが最も簡単で、最初に言った方法は判断力がそれなりに必要故、それなりに難しくなる。そして、そこからが技術の難しさの差が大きい。それが、まずアルナ、お主が扱った魔法の受け流しじゃ。」

そこでネルさんが補足。

「俺も一応出来るけど、魔法の受け流しは相手の魔法を見極め、最低限の消費で対策出来るから結果としてはエコだけど、力加減を間違えると自分にその技が直撃するか、受け流せずに自分の力で消し去ってしまうから消費が激しくなる可能性だって凄く高い。ある意味じゃあ、使いこなせるようになるまでは中途半端に出来る程度だと逆に負担と消費が激しくて普通に防いだ方が楽で消費も少なかったりするんだ。」

「そ、そうだったんですね・・。」

「それだけでも難しいというのに、反射となると受け流し以上に技術と魔力制御が大きく関わってくる。おまけに、正確なイメージも必要じゃ。」

「反射になるとそのイメージがとても重要になってくるんだ。少しでも曖昧だと反射出来ずにただ防ぐだけになるし、場合によっては直撃したり自分の魔法も暴発して大けがを負う可能性だってある。受け流し以上にハイリスクなんだよ。」

そうだったんですね。

「アルナに関してはある意味では運が良かったのじゃろうな。」

「運・・ですか?」

「そうじゃ。フリージアという魔法反射を自由自在に扱える者からの指導だったからこそ、大けがもせずに受け流しを扱えるようになったのじゃ。・・フリージアよ。お主、何をどうすれば反射なんぞ出来るようになったんじゃ?」

-攻撃と防御を両方出来ず、防御だけの状態で相手がばかすかと魔法を撃ちまくってるのにイラッとしました。気づけば打ち返してました。-

「・・・」

「・・・」

「・・天才はやはり天才か。」

「フリージアさんの場合は感覚派なんですね。」

「そうじゃな。」

なんとなくで扱えるようになるパターンと、細かく学んでから出来るようになるパターンと2種類あるらしく、私は前者らしい。

で、どうしておじいちゃんとネルさんは微妙な表情になってるんです?


「それはさておき、ほれ、お主の制服じゃ。」

「わぁ!ありがとうございます。」

アルナは黒い制服を手に入れた。

「一応青い方はお主の好きにせい。」

「記念にとっておきます。」

「そうか。」

アルナ良かったね。

制服にサイズを自動調整する魔法がかかってて。

そのおっきなおっぱいがあるから絶対にそこらにそのサイズはなかったから絶対にオーダーメイドだったよ?

まぁ、私はそのおっぱいに顔を後ろから挟まれ、アルナのお膝の上に座り、抱きしめられ愛でられてるけど。


「それで、イリス様よりお主は絶縁したと聞いておるが後見人はどうする?」

学園に通うためには後見人というか保護者ポジションの人が必要になってくるんでしたね。

「あ・・どうしよう。」

-問題ありませんよ。-

「リア様?あ、イリスさんですか?」

-違いますよ。兄さんと姉さんがアルナさんを養子として預かることにしたそうなので。基本的に名前を貸すくらいなので特に一緒に住めとかは本人の意思にまかせるそうです。-

「ラウさんとアリスさんですか・・よろしいのですか?」

-構わないそうですよ。その分しっかりと教育もしてあげられるそうですし、2人とも優秀なのでアルナさんにメリットは多いですよ。-

「ありがとうございます・・後でお礼を言わなきゃ。」

-そうですね。-

「問題ないようじゃな。」

-こうなることを想定してパパは動いてましたから。とっくに養子としてアルナさんは決定してます。-

「事後だった・・・」

「さすが予言者じゃな。」

「予言者・・・イリスさんの二つ名でしたっけ?」

(コクリ)

「さすがじゃのぉ。」

「とりあえず話しはこれで終わりだよ。」

「ホントにありがとうございました。」

「頑張るんじゃぞ。」

「はい!」


「それで、闘う前にフリージアさんとアルナさんは何を話していたんだい?良ければ教えて欲しいな。」

「え・・えと・・」

-勝てたら何でも1つだけ願い事を叶えてあげると言っただけですよ-

「ほう」

「それはそれは」

好奇心旺盛な顔を見せる2人。

「それでアルナ。お主は何を求めるのじゃ?」

「それは俺もしりたいなぁ。」

「え・・えと・・・」


「やっぱり、部外者には言えないことかな?」

「そ、そんなことはないです!」

なぜか顔が赤い。


気にしたら駄目だと言われましたのでスルーしますけど。

「え、えと・・リア様。お願いがあります。」

はいはい、何でしょうか?

「対したことではないのですが・・その・・2つになってしまいまして・・どっちにしようか悩んでまして・・。」

-とりあえず両方言って下さい-

「はい。・・私のことをさん付けではなく呼び捨てで呼んで欲しいんです。・・私はリア様直属のメイドです。と言うより本音は、さん付けではちょっと距離を感じてしまいまして・・。」

-分かりました。アルちゃんで良いですか?-

「アルちゃん・・・はい!お好きに呼んで下さい!」

-その程度でしたらもう1つも言って下さい。-

「はい。・・・リア様のお母様のことを教えて欲しいんです。許されるならリア様のお母様のお墓参りをしたいんです。」

全く・・この子は・・。

-そんなことのためにこの願い事にしたんですか?言えば教えたのに-

「そんなことはありません!リア様は私の命の恩人。そんなお方を命がけで産んだ方のことをそんなに軽く聞けるはずないじゃないですか!それに・・私自身が直接自己紹介したいんです・・。」

-分かりました。次の長期休みの際にお母さんのお墓のある場所へ連れて行きます。-

「ありがとうございます!・・・それで、リア様のお母様のお名前は?」

「ペチュニアじゃよ。ペチュニア・エトワール」

「かつてこの学園でSクラスだった。フリージアさんに次ぐ天災だよ。」

「え・・あの、天才ではないのですか?」

「ううん。天災。天才だったけど、あの行動は誰がどう考えても天災だった。」

「確かにそうじゃった・・。あれほど騒がしくない日がない子は初めてじゃった。イリス様がいてくれたから英雄に収まっておったが。」

「イリスさんが唯一のストッパーというかあの人を制御出来る存在でしたからね。」

「・・・そのペチュニアさんってどんな人だったのか余計に分からなくなったんですけど・・。」

「む?一言で言えば見た目はお主が抱っこしておる主と瓜二つじゃよ?中身は真逆じゃが。」

「・・・・・」

アルちゃんの表情が想像出来ないと物語る。

アルちゃんはホントにわかりやすい子ですね。

「あ、彼女の二つ名を言えばすぐに理解出来ると思うよ」

「二つ名があるんですか?・・って、有名なんですか?昔の偉人?とかの二つ名はあまり知らないんですけど・・。」

「あぁ、大丈夫。絶対知ってるから。」

-ちなみにお母さんのお墓がある場所は流星の里ですよ。-

「え!?あの流星の里なんですか!?」

(コクリ)

「へぇ~!行ってみたかったんです。凄くきれいな場所だって聞いてたので!・・・・・ん?リア様、流星の里にお墓があるんですか?」

しれっと暴露してみると途中からギギギって感じで動きがぎこちなくなるアルちゃん。

(コクリ)

「そこにお墓って複数あったりします?」

-1つしかありませんよ?-

おじいさまたちが許すはずがないじゃないですか。

「・・・・・まさかとは思いますが、ペチュニアさんって・・流星姫だったりします?」

-しますね-

「・・・」




「えぇぇぇぇぇえええええ!?」



数分後

「失礼しました」

(フルフル)

「けど、納得しました。あのイリスさんの妻で、リア様のお母様となる方が普通の人なわけがありませんね。」

妙な方向で納得された気がしますが、まぁいいでしょう。

「けど、ペチュニアさんとイリスさんってかなり相性良かったんでしょう?学園長」

「そうじゃな。ペチュニアが突撃してそのフォローをするのがイリス様じゃった。振り回されて、サポートに回っていたイリス様は大変そうじゃと皆が言ったが、イリス様はそれが楽しかったようじゃ。いつも楽しそうにペチュニアの暴走に付き合っておったよ。」

「イリスさんを振り回してたんですか・・・あの・・王子様ですよね?」

「まぁなぁ・・じゃが、ペチュニアじゃからなぁ・・。」

おじいちゃんが遠い目をしている。

「あの・・不敬とかじゃ・・一応学園内では問題ないとは思いますけど周囲が気にするのでは?」

「じゃが、その時にはそんなことを考える輩は一切おらんかった。」

「どうしてですか?」

「む?元々ペチュニアは入学する数年前に1人でふらりとこの国にやってきたんじゃ。・・・ドラゴンらしき討伐部位一式を詰めた巨大な袋に詰めたのを引きずって。」

・・・お母さん・・道中で倒して、お金にするために持ってきたのは分かりますけど・・やってることがすっごいです。

アルちゃんは引きつった表情になってる。

「うむ、アルナの言いたいことは分かる。当然当時門番をしていた者たちはかなり驚いていた。幼女1人でやってきたのも驚きじゃが、所持品がドラゴンの部位以外一切なかったんじゃからな。せいぜい着ていたワンピース1枚程度じゃ。・・なぜか裸足じゃったが、本人が言うには壊れて邪魔になったから捨てた。裸足って意外と楽ね、じゃった。」

私が言うのもアレですが、子供が言う台詞じゃないですよね?

「それ・・その後どうなったんですか?」

「ギルドに登録もしておらんかったし、ギルドでも対応に困ったらしくてな当時のギルドマスターが当時の陛下・・前陛下が、対応することになったんじゃ。ギルドでとりあえず事情を大まかに聞いたところ、養っていた人が亡くなり、その人がかつて暮らしていたこの国に向かうことにしたものの、お金がない。そこでドラゴンが襲ってきたため、とりあえず倒して換金しようということになったらしい。食料は道中で山菜や木の実、後は狩りをしておったらしい。」

普通にサバイバルしてますね。

「で、本人がドラゴンを倒していたのも確かじゃった。」

「どうやってわかったのですか?」

「む?この国の城壁前に巨大なクレーターを目の前で複数作った後、まだわからないならこの城壁を狙ってみようかしら?と笑顔で言われたからじゃな。」

「・・・・」

さらっと脅迫してますね。

「そんな感じでドラゴンの部位は本人は全ていらないので金が欲しいとのことで全て国が買い取ることになった。で、その金を渡すのと同時に陛下と対面することになったのじゃが・・・頭を下げることは一切なく、陛下が何か言う前に・・」


おっさんたちとの話とかめんどくさいからとりあえずドラゴンのお金頂戴?


「と、扉を開けて陛下と目があった直後に仁王立ちで言っておったよ。」

「ペチュニア様ぁ・・・・」

すごく頭を抱えているアルちゃん。

「当然周囲が礼儀もない者に金は渡せない、とりあえず詫びろ、それから金は渡すからと言ったのじゃが、めんどくさい、うるさいの一言で全員魔力の塊を飛ばして一発KOじゃったな。」

「え・・騎士たちが全滅ということですか?」

「あぁ、騎士以外にいたメイドも執事も大臣もその他もろもろ全員じゃよ。せいぜい残っていたのは陛下と王妃様、それとイリス様だけじゃった。」

王族には一応狙わなかったらしい。

「で、王族を倒せばお金くれる?と言われたな・・で、返答に困っておったら今度は吐血していきなり倒れるし、意識失ってるしでなぁ・・それは慌てたよ・・周囲が。」

「大丈夫だったのですか?」

「あぁ、なぜかかろうじて意識が残っていた騎士たちでもメイドたちよりも先にイリス様が動いたんじゃ。速攻で抱き上げて部屋へ連れて行き治癒魔法と回復魔法を扱える者たちを集め、必死に看病をしていた。・・今思えば、イリス様は一目ぼれじゃったのだろうな。あれほど慌てて他人のために率先的に動いていたイリス様を見るのは初めてじゃった。」

「ところで思っていたのですけど・・学園長はその場にいたんですか?」

まるで見ていたかのように話してますからね。

「前陛下とは昔馴染みじゃからな。その場におったよ。」

「そうだったんですね。」

「うむ。その後、目を覚ました後、ペチュニア本人からお礼の言葉とともに吐血はいつものことだから気にするなと言われたらしく、お金は渡し、イリス様がこの国のことを教えるため、城で過ごすことになったんじゃ。・・まぁ、自動的にペチュニアの相手をするのはイリス様だけだったんじゃ。他のものではなかなかいうことを聞かなかったが、イリス様にだけは素直じゃったからの。」

そして、パパは知識と常識をメインに教えながら共に育ち、共に切磋琢磨してこの国で過ごしていたらしい。

「そんな感じで、この学園に2人が入学することにはその2人は有名だったんじゃよ。」

「なるほど・・。ペチュニア様は体が弱かったんですね。」

「まぁのぉ。じゃから、肉体労働をはじめ、体を動かすことに関しては普通の生活を送るのがぎりぎりで戦闘では全くじゃったな。その分魔力操作と魔法の威力はとんでもなく強かった。」

「入学前にドラゴンを1人で狩ってるほどですもんね・・」

ドラゴンは元々Sランクの冒険者でも1人は難しく、数人で対応しないと無理と言われるほどで、AランクとSランクではSランクの人1人と互角に渡り合うにはAランクは10人以上は軽く必要と言われるほどです。


「じゃから。ある意味ではフリージアの魔法の実力は母親譲りと言っても全く違和感がないんじゃ。フリージアの方がかなりおとなしい故にペチュニアよりも控えめに聞こえるだけで。」

お母さんは威力と効果範囲がすさまじいと主に魔法戦闘に関して有名ですが、私の場合は魔法技術・・魔法反射とかそういう方面なので魔法でも少々方向性とかが違ったりします。

「あぁ・・・リア様の性格がペチュニア様のようでしたら私、間違いなくおもちゃになっていた自信があります・・逃げられる気がしません。」

アルちゃんがなぜか体をひそかに震わせる。


・・なぜでしょう。

頭の中で容易にアルちゃんをおもちゃ(着せ替え人形とか)にして遊んでいるお母さんの姿が思い浮かびます。

「あー。確かに」

「ペチュニアであれば間違いなく逃がさぬな。」

私の想像はおじいちゃんたちも同意のようです。

「あまり長話も疲れるじゃろう。今日はもう帰りなさい。明日からアルナはSクラスじゃ。」

「はい!ありがとうございます。」

「頑張るんじゃぞ。」

「これからよろしくね。俺が担任だから。」

「はい、これからよろしくお願いします」

「肩の力を抜いて気楽にいこうよ。フリージアさんのメイドなんだから実力も知識も劣ることなんてないだろうし、フリージアさんが許すはずないだろうしね。」

あははと軽く笑いながらネルさんがそういう。


うんそうですね。

アルちゃんを落ちこぼれになんてさせるはずないじゃないですか。








「改めてよろしくねアルナ。」

「はい。イリスさん。・・様付けがよろしいですか?リア様はリア様と呼んでますし。」

「さんで良いよ。好きに呼んで。」

「かしこまりました」

夕方、お家でご飯を食べながら改めてパパがそう言った。

そして、おじいちゃんとネルさんとパパとお母さんのことを話したと伝えた。

「あぁ・・うん。そうだったそうだった。ホント驚いたよ。大抵はがっちがちに緊張してるか、何かしら企んでるか、媚びを売るか、見た目に翻弄されるかだったんだもの。なのにニアさんはそれが何もなかった。王族も騎士も貴族も関係なく等しく1人の人間だった。あそこまではっきりと堂々としていた人を見るのは生まれて初めてだったよ。」

「では、どうしてイリスさんはペチュニア様が倒れた後必死に介護をしたのですか?他人のために率先して動くことがほとんどなかったから珍しかったと学園長がおっしゃっていたのですが。」

「今思うと一目惚れだったんだろうね。当時、ニアさんに抱いたのは憧れだったんだ。」

「憧れ・・ですか?」

「うん。僕は自分で言うのはアレだけど見た目は良いから媚びを売るか誘惑してくるかとロクなのが集まらなかったんだ。けれど、僕のことをニアさんは見た目で判断せずにただの同い年の男の子として見てくれた。それに、全員を等しく平等に扱って、堂々としていたから・・昔は人前に出たりするのが苦手で、いわゆる引っ込み思案だったんだ・・そんな僕にとっては凄くニアさんは眩しかった。

だから、傍に居て支えてあげたいとも思ったし、見守りたい、それにそんな姿を学びたかったんだ。けど、気づけばニアさんの魅力に惹かれて惚れたんだ。」

「凄く素敵だと思います。」

「あはは、ありがとうね。ちなみに、ニアさんを育てていたって人は、実は僕のおばあさまだったりするんだけど知ってた?」

「えぇ!?」

お母さんはまさかのパパのおばあちゃんに育てられていたらしい。

「まぁ、正しくは僕の祖母の祖母なんだけどね。」

「あの・・・普通に年齢が3桁を軽く越えてる気がするんですけど・・」

「うん。あの方は世間ではエトワールと呼ばれていた英雄で、人族から聖人に進化した人だよ。」

「進化していたから寿命が長かったと言うことですか?」

「それもあるね。そんな感じで王族としてはこう言ったらアレだけど、少し変わり者だったから王位を手渡した後、置き手紙と共に行方不明になったんだ。」

「何と書いてあったのですか?」

「ん?大まかに言うと、人間相手に疲れたし自然に囲まれてのんびり過ごしたいから逃亡しますって。普通に単独でサバイバルも料理も出来る人だったからね。」

かなりやんちゃで自由な人のようです。

「・・・こう言ったらアレですけど、その方のお世話って・・大変だったのでは?」

「うん・・大変だったらしいよ?突然行方不明になるし、ふと気づけば闇組織を勝手に潰してるし、不正を見つけ出してるし、冒険者と模擬戦をして鍛えてたし。けど、かなり優秀だったから仕事はきちんとしてたらしいよ?まぁ、終わった後勝手に置き手紙だけ残して行方不明なってたらしいけど。」

「・・・」

「ニアさんの性格は、ホントにあの方とそっくりだったよ。父上がそう言っていた。」


「・・ホントにリア様の性格がイリスさん似でよかったです。・・ペチュニア様やエトワール様にそっくりだったら間違いなく私・・おもちゃになってました。・・逃げられる気が全くしませんし。」

「うん。間違いなくおもちゃになってたね。ニアさんにとってアルナは間違いなく好みだっただろうし・・・妹的な感じで。」

「・・・リア様・・お願いですから今のままでお願いします・・。」

すっごい必死になって妙なお願い事をされました。


・・やろうと思えばお母さんのまねは出来ますけど、疲れるのでそうなることはないと思いますよ?

・・・・・絶対とは言いませんけど。

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