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カルナたちと先輩たち

学園生活1日目が終わり、先輩たちとネルさんと一緒にグリムさんのパン屋さんへやってきました。

「お嬢いらっしゃい・・お嬢は来るたびに連れのメンバーが増えていくな?まぁ、ありがたいし歓迎するが。」

そう言いながら出迎えてくれたグリムさん

「そういえばお嬢は、イメチェンか?似合ってるな、かわいいぞ」

うれしくてお礼として頭を下げつつ頭の端っこでちょっと思う。

・・他の人たちよりと同じことを言ってるはずなのにどこかうれしい。

どうしてでしょうか?

グリムさんは最初から見た目や身分を一切ガン無視して1人の女の子としてみてくれてるから・・なのかな?

他の人たちは良い人たちが多いけど、それでも見た目で判断している節がありますしね。

それにしても、グリムさん凄く良い人なのにみんな、見た目で判断はするので、見る目がないです。

「グリムさんお邪魔します。」

「おぉ、お前らか。ってそうか、お嬢もSクラスだったな。」

「フリージアさんたちと面識が?」

「あぁ。俺の焼くパンの匂いにつられてふらっとやってきたら気に入ってくれたらしくてな。看板をガン無視してな。」

「私たちは初めは、軽く怖じ気づいてたのにフリージアちゃんはスルーなのね・・」

「肝の据わったお姫様だよなぁ。」

「なるほど。フリージアさんは食べるのが好きなのかい?」

(コクリ)

「そっか。」

「ネルさんも一緒だったんすね。珍しい」

「これからフリージアさんの獣魔たちに会いに城に行くんだ。そのついでに一緒についてきちゃった。」

「なるほどなぁ。」

「グリムさん、今日のおすすめは?」

「そうだな。今日は良い野菜がとれたからそれらを混ぜ込んだ類いだな。」

「は~い。」

「そうだ、お前ら好きなの選べ。俺等先輩の歓迎祝いだおごってやる。」

「ジャンさん・・うれしいんですけど・・」

とユウちゃんがおそるおそる私をチラ見しながらそう言い。

「こう言ったらアレですけど、辞めといた方が良いと思います・・。」

とセイちゃんも私をチラ見。

「ん?金か?そのくらいは稼いでるし大丈夫だぞ?」

「そうよ。私たちも出すし、グリムさんのパンは安いから大丈夫。」

「あ、あー。もしかして・・こいつら知らないのか?」

とグリムさんが苦笑いしながら先輩たちを指さし、私をチラ見。

「はい・・」

「あー。確かに金は相当跳んでいくのを覚悟した方が良いぞ?・・てか、選び終わってから一部負担か全額負担か考え直せ?」

「え?どうしてですがグリムさん。」

「ん?そりゃあ、1人で大人数人分は軽く平らげるのがいるからだが?」

にやっと笑いながら私をチラ見しつつグリムさんがそう言うとなぜか固まる先輩たち。

「そ、それはユウ君だろ?せ、接近戦は体を動かすことが基本だからな!な!」

「え?僕は確かに平均より食べてますけど、それでも同年代よりも3割くらいしか多くないので十分許容範囲ですよ?」

「そ、そっか・・あ!じゃ、じゃあセイちゃんでしょ?治癒や回復ってかなり精神的な部分の負担が多いから」

「私は平均的だと思いますけど?おかわりしなくても十分足りてますし。」

「え・・う、嘘でしょ?」

(?)

「グリムさん・・冗談でしょ?フリージアさんってどう見ても小食って感じですよ?」

「そ、そうですよ。すっごい細かったし、無駄なお肉も全く無かったし・・凄く軽かったですし・・私でさえ軽く抱っこ出来るほどですよ?」

なぜか慌てる先輩たち。

「お前ら面白いな?ちなみに聞くが、俺がここで冗談を言って何の得がある?」

「・・・」

「まぁいい。対して高くはないし問題ないだろ。こいつらの言葉に甘えて腹一杯選べ。」

-よろしいのですか?-

「構わん。見た目で判断してるトンチンカンが悪い。気にせず甘えとけ。おごるって言ってんだ。」

(コクリ)

それから、食パンを1本とグリムさんおすすめのお野菜のパンを4種類、ブロックベーコンが入ったのを1個と、半球型の耳がバリッとするパン1個と、メロンパンとか言うのを1個買うことにしました。

ユウちゃんは、お野菜のパンとお総菜パンと呼ばれる薄切りのベーコンと卵焼きを挟んだのを1個ずつ

セイちゃんは、お野菜のパンと小さめの砂糖をまぶしてあげたパンを1個ずつ買ってました。

「で、お前らが選んだ分までで銅貨20枚だな。」

ちなみにネルさんは別で既に会計は済ませてます。

私が腹8分で収まる分選ぶとなぜか引きつった顔をして先輩たちは3人で分けて支払ってました。

「よかった・・グリムさんのパン屋さんで。」

「マジかよ・・。アレをマジで1人で?」

「他のお店だったら本気で大変だっただろうね・・あはは・・」

(?)

「お嬢は気にしなくていいさ。」

(コクリ)

それから、奥の部屋を借りてみんなで食べつつお話しをする。

「にしてもお嬢」

(?)

「スカーフを広げて髪型変えるだけでここまで変わるもんなのか・・すっごい美人だよなホントに。化粧とか何もしてないんだろ?」

-そういうのをするとご飯をおいしく食べれませんし、匂いが好きじゃないです。-

「あー。なんとなく分かる気がする。香水とか駄目とは言わないが限度があるって言うか、キツいのはホントつらいからな・・周囲が。」

うんうん。

「俺としては、お嬢の香りって好きだけどな。」

と言いながら私の髪を1房手にかけてにおいを嗅いでるグリムさん。

ちなみに私、シスカさんのお膝の上にいて愛でられてます。

(?)

-何もつけてませんよ?-

「あぁ知ってる。お嬢はそういうのは興味ゼロだし、むしろ嫌うって知ってるからな。」

-姉さんやリリさんたちやパパも私のにおいをよく嗅いでます。さりげなくお花の香りがすると言ってましたが・・そうなのですか?-

「あぁ。しつこくない感じでホントにささやかなんだ。優しい香りで凄く心が穏やかになる。香水で一番の香りが何かって言われたら俺は迷わずお嬢のこの香りって言うと思うな。」

・・・何でしょう・・顔が少し熱いです。

で、そんなよく分からない気持ちをごまかすためにグリムさんのにおいを嗅いでみる。

「俺、臭うか?」

-パンの焼ける香りがします。-

「そ、そっか」

グリムさんはどうして顔が赤いのでしょう?

「グリムさん・・」

「シスカどうした?」

なぜかジト目になってるシスカさんと、顔を赤くする他先輩方と微笑ましそうに見てるネルさんとなぜか尊敬した顔のユウちゃんと感心してるセイちゃん。

「どうしたもこうしたも・・どうしてそこまでストレートにそんなことが言えるんですか・・。」

「ストレートも何も、俺はこう思ったから素直に答えただけだろ?どうして隠す必要があるんだよ。わざわざ遠回しな言い方なんぞ面倒くさいだけだろうが。それに俺自身、お嬢は見た目も性格も香りを含めて一番好みだしな。」

「なっ!?」

全員の顔が赤くなりました。

ネルさんはストレートに言えて凄いなぁとつぶやきつつ凄く他人事のように見守っている。

・・実際他人事ですね・・うん。

「グリムさんストレートすぎるでしょ・・。」

あぁ、そっか。

グリムさんは正直で言葉も正確もまっすぐだから私はグリムさんを好ましく思ってるんですね。

多分、性格の根元部分がお母さんと似てるんだと思います。

正義感溢れると言いますか、周囲を気にしない感じとか、正直でまっすぐなところとか。

「リアちゃんリアちゃん。」

なぜか興奮してるセイちゃんの頭を撫でで落ち着かせつつ話を聞く。

(?)

「リアちゃんはグリムさんのことどう思う!?思う!?」

-正直でまっすぐなところは好ましく思ってますよ。-

「んー。」

なぜか難しい顔になりました・・なぜ?

「どこか求めていた返事とずれている気がする!恋愛レベルが低すぎるんだ!!くっ!何と言うことでしょう!」

セイちゃんはどうしちゃったんでしょうね?

「あー。気にしないで良いと思うよ?」

(?コクリ)

「あ、そうだお嬢。イリスさんに毎朝適当にパンを届けて欲しいって言われたんだがリクエストとかあるか?種類は何でも良いって言われてるんだ。」

-パパはいつの間にそんなことを?グリムさんのパンはどれもおいしいのでどれでもうれしいですよ?ですが、一番普通でシンプルなモノが好きです。-

「そうか。シンプルイズベストが俺がパンに求めるモノの1つで、一番推しだからな。余計なことをしないのが一番旨いんだ。イリスさんは今朝方城の研究者たちと一緒に買いに来てたんだがその時に言われたんだ。お嬢が俺のパンを好んでるから是非頼みたいって。」

イリス様も気に入ってくれてて凄くありがたいとうれしそうに言うグリムさん。

-グリムさんのパンは凄くおいしいですから。あちこちで食べた中で一番好きですよ。-

「それはうれしいな!だが、もらう金額が大きすぎるんだよ・・良いのか・・てか大丈夫なのか?」

1月で金貨1枚だぜ?と私の耳元でそっと金額を教えてくれる。

パパは、お城で現陛下ことお兄ちゃんと現王妃のお姉ちゃんのお仕事を手伝いつつ、お店を営む人たちに貴族の方々との相談を二つ名である予言者としてやってたり、騎士団長であるノクスさんたちと模擬戦など色んなことをあちこちで行なってたりするのでしっかり稼いでます。

たしか、片手間に本を書いてたりするらしいですが。

えと・・確かこういうときはこういうことをすれば良いみたいな内容をお仕事のジャンルごとに分けてるらしいです。

結構売れてるらしいですよ?

リカルさんは自信が描いた絵を片手間に売ったりしてますが、私の過去のことを書いた本の分の収入の一部がぼちぼち入ってます(ほとんど寄付してるので)し、パパの書いた本の挿絵を描いたりして手伝ってるそうです。

リカルさんの絵が追加されて更に売れてるのだとか。

リカルさんの絵はここ最近昔よりも高く買い取ってくれる人がいるんだそうです。

大抵は貴族の方ですが、シスターさんたちが売り渡すときに聞いた(協会を通じて絵を売ってるので)そうですが、ここ数年で以前よりも絵が凄く魅力的になったとか。

どうやら、絵のレベルがアップしてるらしいです。

まぁ、リカルさん私と一緒にいるようになってから毎日凄く楽しそうですからね。

エアロさんたち率いる魔術師団の皆さんも、魔道具の開発や改良、修理などでそれなりに稼いでるらしいですし。

おまけにカルナたちが騎士団との特訓でお給料としてもらえてるのに加えて、時折町でお手伝いしたり狩りをしたりして報酬としてお野菜だのお肉だのと食べ物をもらってるらしいですし。

お金を渡すのはちょっと・・ということで手伝ってもらった人たちは食べ物をあげてるそうです。

普通は獣魔が主なしで独りでにウロチョロすることはないのですが、私が私なのでカルナたちは有名です。

なので、そんな心配もなくこの国の国民たちや冒険者たちに馴染んでます。

時折冒険者と模擬戦をしたりすることもあるのだとか。


そんな感じで色々と稼いでます。

私は一応お休みの日はお手伝いのような依頼をこなしたり採取や討伐と色々してるんですよ?

-パパが良いと言ったのですから良いのでは?-

「俺のパンは見ての通りそれほど金がかかんないからもらいすぎな気がするんだよな・・。」

-その分おいしいパンを期待していると言うことでは?-

「期待してくれてるのか?」

-そうだと思いますよ。パパは遠回しな言い方を使うことはありますが嘘は言いません。-

「そっか。じゃあ、その期待に応えて頑張らないとな。そうだお嬢。」

(?)

「今度一緒に依頼に行かないか?」

-学園がお休みの時で良ければ構いませんよ?突然どうしたのですか?-

「いや・・なんていうかさ・・お嬢ってどう見ても淑女でか弱そうで素直そうだから心配だからさ、威圧の扱い方とか相手を黙らせるやり方とか教えておきたいんだ。それに、俺とそれなりに仲が良いと分かればバカどもはそうホイホイお嬢に手は出せないだろうし。」

グリムさんはホントに心配してくれてるみたいです。

-よろしいのですか?お言葉に甘えて-

「あぁ!むしろ甘えて欲しい。お嬢の力になりたいって言うのもあるし、お嬢の戦う姿を見たいって言うのもあるからさ。魔法の実力でお嬢の右に出る者はそうそういないってイリスさんに聞いてるしさ。」

パパは嬉々として娘自慢?と言うのをしてるようです。

「一応聞きたいんだが、お嬢は俺みたいなのがしつこいと迷惑か?」

どこかさみしそうにそう言うグリムさんに対して私は頭を撫でつつ

-そんなことありませんよ。私は、グリムさんのようにまっすぐで優しい性格、好きですよ。これからも頼りにして良いですか?-

「あぁ!まかせてくれ!」



「・・気のせいかな?リアちゃんの方が年上に見えるのは・・。」

「うん・・僕もそう見える。リアの包容力がすさまじいんだよ。過去が過去だから精神面が大人すぎるんだよ。」

「やっぱりそうだよね・・それにしてもさ!アレ、どう考えてもお仕事デートだよね!?だよね!?」

「セイ・・落ち着きなって。リア自身は親切にしてくれるお兄さんくらいの感覚かな?」

「じゃないの?そう言う方面って全くわからないっぽいし。グリムさんってリアちゃんのこと・・そういうことなのかな?」

「まだ無意識で気になってる程度じゃない?グリムさんって見た目で判断してないし、リアと同じで性格とかが好みだったくらい何だろうし。・・互いにストレートだし、リアのスルー力が凄いから相思相愛なのかすれ違いまくってるのか判断がしづらくなってるけど。」

「だよねー。・・・そういえば、イリスさんは将来的にリアちゃんのお婿さんとかどうするのかな?一応公爵家なんだし・・。嫁になんか出すかーって言いそうだけど」

「だとするとグリムさんは良いのかな?」

「どうして?」

「だってイリスさんって天才だよ?グリムさんが少なからずリアのことを思ってるってすぐに気づくはずなのにそう言う牽制はせずにいるし。」

「そういえばそうだね?リアちゃん自身が悪に色んな意味で敏感だし、イリスさんも分析力とかがすさまじすぎるから身分をガン無視して内面を注視してるんだろうけど。」

「だよね。」

セイちゃんとユウちゃんが何か言ってるけど気にしない。



「フリージアさんも無自覚でストレートだけど、グリムさんはグリムさんで無自覚なのかわざとなのか全く分かんないくらいストレートだし・・判断が色んな意味で難しすぎるよ・・何なの?」

「あー。けど、グリムさんって二つ名が死神だし周囲のメンツがメンツだったからフリージアみたいな子は癒しなんだろうな。」

「そうだね。グリムさんは凄く頼りになるし。」

「それに凄く頼もしいしな。」

「けど、アレはストレートすぎない?」

「あぁ・・・らしいと言えばらしいけど。」

「まぁ・・な。」

「お前ら揃ってどうした?」

「いえ・・何でもないです。」


「リアちゃんリアちゃん!」

興奮したままのセイちゃんの頭を撫でて落ち着かせつつ(全く落ち着きませんけど)

(?)

「リアちゃんの好みの男性のタイプってどんなんの?」

セイちゃんがそう言うとなぜかすっごいみんなが私を注目する。

-人を善し悪しで分けるんですか?-

「そうじゃなくて、結婚して家族になるとしたらリアちゃんの旦那様になる人はどんな人が良いか理想がある?って話。」

理想ですか・・


考えたこともありませんでしたね。


けど

-パパとお母さんのような人でしょうか。-

「イリスさんとペチュニアさん?」

「どういうこと?」

-互いに支え合いつつも絶対的な信頼関係を築きつつもまっすぐで優しい人でしょうか。-

「あー、なるほど。」

「確かにイリスさんとペチュニアさんの信頼関係は凄いよね。幼馴染みだったらしいけど、ペチュニアさんが亡くなられた今でも想い合っててペチュニアさん以外を絶対に娶らないって言う強い意志とか、確かに憧れるかも。」

「どんな状況になっても信じ合える仲って確かに良いかも。」

なぜか、凄く私の言葉を反芻して覚えようとしているグリムさんが気になって首をかしげると

「俺、頑張るから」

とよく分からない宣言をされて頭を撫でられました。


「それにしても・・」

(?)

「ホントに食べきったよ・・」

「その体のどこに吸い込まれているのやら。」

「おまけにあれ以外にも普通に食べてるし。」

グリムさんはお料理が好きらしくパン以外にも色々作れるらしいです。

ある程度の料理は大体作れるらしいですよ?

簡単な野菜炒めを出してくれてそれも食べてます。


で、私が食べるのが好きだと改めて実感したらしいグリムさんは料理の勉強を頑張ろうとつぶやいてました。

なぜに?と首をかしげましたら頭を撫でられるだけで教えてくれませんでした。





「じゃあ、お嬢またな。」

(コクリ)

「あ、そうだお嬢。」

(?)

「お嬢のこと・・な、名前で呼んでも良いか?」

-構いませんが私に許可を求める必要がありましたか?-

「いや・・最初からお嬢って呼んじまったから呼び名を変えるタイミングがなくてさ。それに、今度一緒に依頼に行くから名前で呼び合った方が良いなと思ってさ。・・ふ、フリージア・・あ、様とかつけた方が良かったか?」

-つけなくても構いませんよグリムさん-

「あぁ!改めてよろしくフリージア!」

どこか照れくさそうに私の名前を呼んでました。

グリムさんに名前で呼ばれるとちょっとだけくすぐったい気持ちになりますね。

それから、グリムさんの元を後にしてお城へ向かいました。

「姫様ようこそおいで下さいました。ご学友の方々ですか?」

(コクリ)

「左様でしたか。イリス様は団長の下にいらっしゃるかと思います。」

(コクリ)

「どうぞ。」

お礼を込めて片手を上げると門番さんはすかさずしゃがんでくれるので頭を撫でると

「ありがたき幸せ」

とホントにうれしそうにしてくれます。

私がお礼を込めて頭を撫でるのはお城の中では結構有名で私が片腕を上に上げるとこうして頭を撫でやすいように下げてくれます。


で、門をくぐりノクスさんのところへ向かっていると先輩たちはセイちゃんたちとこそこそと何か言ってる。

「ねぇ、さっきのあれは何?」

「リアってお礼代わりに頭をよく撫でることが多いんです。」

「騎士さんもメイドさんも執事さんもこのお城の関係者にとってはかなり有名でリアちゃんがさっきみたいに片腕を上げると撫でやすいように頭を下げるんです。実はリアちゃんの撫でテクはすさまじくって、気持ちが良いんですよ。」

セイちゃんはなぜかうっとり。

「おまけにリアに撫でてもらうと幸運になれると言われてるので凄く幸せで名誉なことらしいです。」

「な、なるほど・・。しゃべれないから行動で感謝を表してるのかな。」

「あぁ・・多分シャスティさんの影響かと。」

「シャスティさん?って?」

「リアの保護者みたいな方です。よく撫でるのを催促してるらしく。」

「保護者なのに?」

「保護者ですけど、狂信者みたいな感じなんですよ・・リアちゃんの。」

「あぁ・・つまりは溺愛していると・・盲目的に。」

「そんな感じです。けど、凄く頼もしいんですよ?強いし器用だし。」

「私もよくお世話になってるんです。ユウもだよね?」

「まぁね。よく模擬戦をしてもらってます。」

「へー。」


「て、すさまじいことになってるんだが・・」

とジャンさんがつぶやき、視線の先を見ると訓練場が砂煙がものすごくもっくもくしていて姿が一切見えませんが、ドンカンキンバキッ!と色んな音が思いっきり鳴りまくってました。

「あー、師匠とシャスティさんかな?後ハディさん?」

「じゃない?あの人たちくらいでしょ、この規模になるのは。」

「ユウ、師匠って?」

「僕、ノクスさんに弟子入りしてるんです。」

「騎士団長にか・・すごいな。あの人に弟子入りしたい奴は大量にいるが受け入れられたことは一切ないって言うのに。」

「あはは・・。まっすぐな性格で向上心と努力の塊で自分自身と周囲の人たちが育っていると実感するのが好きな人なんです。」

「上に立つ存在としては凄く理想的だな。」

「そこがなかなか理解されないらしくて戦闘狂だのと色々言われてるんです。」

「難儀だなぁ・・。」

「そんなことを修正するのは恥だって言ってスルーしてるのでちょっとやきもきするんですよね・・。」

「どっちに気持ちも分かるなぁ・・にしてもすさまじいな。」

「そういえば、シャスティさんは聞いたが、ハディさんって?」

「リアの護衛みたいな感じの方です。」

「ふーん。」


「リアお帰り。」

カルナが飛んできました。

{ただいまカルナ。}

「そっちでフリーズしてる連中は学園の?」

(コクリ)

「俺はリアの獣魔の1人でカルナだ。世間では保護者筆頭だのと言われてたりするがよろしく頼む。」

「これはご丁寧に。俺はネル。フリージアさんの担任を務めることになりましたよろしくお願いしますね。」

「あんたがネルさんか。先生としてかなり頼りになると聞いてる。よろしく頼むよ。」

「うれしいですね-。」

「ってネルさんはスルーなの!?喋ってるんですよ!?」

「喋る獣魔なんて初めて見た・・。」

「俺はそう言う種族だ気にするな。」

「えー。」

「カルナさんは訓練は休憩?」

「まぁな。俺にあの規模の戦闘を求めるのはムリだ。ちなみにあの中にイリスさんも混じってるぜ?」

「イリスさんって接近戦出来たの?」

「武器は確か遠距離だったよね?」

「格闘術を学んでるらしい。確かサバットとか言ってたか?足技メインのワザらしい。」

そういえばパパの足って凄くしなやかでありつつもしっかりと筋肉が他の場所よりもついてましたね。


「意外・・」

「扱う魔法も魔法だからかなり威力があるぜ?」

「そっか。相性が良いんだ。」

「弓は意外と足腰は重要らしいんだ。」

「へー。」

「って、きりよく終わったみたいだな。」

と凄い勢いでシャスティとハディちゃんがやってきて甘えてくるので撫でてあげる。

「にゃう(お帰りなさいませ。)」

「ニャー(お帰り)」

{ただいま、シャスティ、ハディちゃん。}

「にゃう?(ご学友ですか?)」

(コクリ)

私が頷くとシャスティとハディちゃんは軽くお辞儀をする。

するとつられるように先輩たちも頭を下げる。

-にゃんこがシャスティでワニさんがハディちゃんです。-

「シャスティさんとハディさんって獣魔だったの!?」

-言ってませんでしたか?-

「聞いてないよ・・」

「獣魔が保護者って言うのも凄く納得した。」

「そうだね。俺はリクト、こっちは順番にシスカとジャン。よろしくね。」

「にゃう(よろしくお願いします)」

「ニャー(よろしく)」

「ホント賢いな・・。」

獣魔にお辞儀されるとはとつぶやくジャンさん。

「ここまで賢い獣魔は初めて見たわ。」

「俺とシャスティはリアが生まれる前から一緒だからな。」

「ペチュニア様と?」

「あぁ。元々俺等はペチュニアさんに捕獲されたからな。」

「捕獲・・」

「あぁ。と言っても飼われてたわけでもなくご飯あげるから定期的に遊びに来なさいだったがな。それを、わしづかみされた状態で言われたからな。」

休憩中に逃げる暇も与えてもらえず、いきなり捕まったらしいです。

ちなみにシャスティも同じような状況だったらしく、同じ境遇の2人はそのまま鳥と猫という世間的には珍しい組み合わせで仲良くなったんだとか。

「ペチュニア様はホントに凄い方だったんだね・・色んな意味で。」

「常に全力だったからな・・斜め上に。」

カルナのつぶやきに微妙な表情になってる先輩たち。

「にゃう(エアロたちより翻訳の魔道具を借りて参ります。)」

「ニャー(シャスティ、俺のも)」

「にゃう(分かっていますよ)」

(コクリ)

シャスティはそう言うとぺこりと先輩たちに頭を下げててってってとお城の中の研究室に向かって行きました。

「シャスティさんはどこに?」

-人の言葉をしゃべれるようにする魔道具を借りに行きました。-

「な、なるほど。そういうのもあるんだ・・。」

「お嬢様お帰りなさいませ。」

{リカルさんただいま。}

「あ、ご学友の方ですね。俺はリカル。お嬢様専属の絵師兼執事を務めております。」

と互いにご挨拶をしたところで

「フリージア様、ようこそおいで下さいました。」

ノクスさんがやってきました。

-ノクスさんもお疲れ様です。シャスティたちの相手、ありがとうございます。-

「いえ。当然の義務ですので。」


「あ!師団長おかえりー!」

「ルミエール!言葉使い!!ここは城なのですよ!?」

「えー、良いじゃんティア。普段通りで良いって言われてるんだし。」

「はぁ・・全く・・師団長お帰りなさいませ」

-ただいま帰りました。-

「リアちゃんお帰り、あ、同じクラスの子たちだね。僕はイリス、リアちゃんの父親だよ。よろしくね。こっちは僕の懐刀のラウだよ。」

「ラウと申します。イリス様専属の騎士兼執事を務めております。よろしくお願い致します。」

「紹介が送れました。私、師団長であるフリージア様率いる魔術師団団員ティアと申します。こちらから順に副団長のエアロ、団員ルミエール、イグニス、アースです。」

「こ、これはご丁寧にお、じ、自分はリクトと申します。」

「し、シスカで、です。」

「じゃ、ジャンです。」

「みんながっちがちだね-。俺はネル。フリージアさんの担任を務めてますよろしくお願いしますね。」

先輩たちは全員カチンコチンですが、ネルさんはそれを笑いながらスルーしていつも通りご挨拶。

「ね、ネルさん!無理言わないでよ!!」

「そうだそうだ!そこらのお偉いさんとは比べものにならないくらいのお方なんだぞ!?」

「ネルさんって何気に度胸ありますよね・・。」

「スルーしてるだけだよー。」

「君たち面白いね。普段通りの対応で構わないよ。身分的には公爵になってるけど、基本的に名ばかりだから平民と同じ扱いで構わないから。」

「わぁ、イリスさんの弓、おっきくてきれいですね。」

パパの弓には、あっちこっちにパパが作る結晶がくっついてます。

弓の補助具?を魔法で作ってるみたいです。

「ありがと。この結晶は僕が作った魔法なんだ。色々くっつけてるけどその方が弓が安定して狙いやすくなるんだよ。他にもまっすぐ飛ぶようにとか狙いを定めやすくするとか色々あるんだけどね。」

「へえー。見た目は氷みたいですね。」

「よく冷気のない氷だと言われるよ。元を作る材料が水じゃなくて鉱石ってくらいかな、違いとしては。」

「そうなんですか?」

「見えないくらい小さい粒の集まりがいわゆる氷や結晶、石なんだ。その小さな粒が規則正しく並んで、同じ大きさの粒が揃っているとそれだけ硬くて丈夫になるって感じだよ。」

「そう言う仕組みだったんですね。じゃあ、威力を上げたりというイメージは無意識にその小さい粒の大きさを揃えたりきれいに並べようとしてると言うことですか?」

「そうそう。後はその粒が出来るだけ小さくて、多くの数が並び合ってた方がより硬くなるんだよ。密度の違いだね。」

「なるほど。」

「それで君たちは僕に挨拶をしに?それとも、騎士団に用事が?」

「俺自身は保護者と言いますかフリージアさんの家族になる方と挨拶がしたいと思いましてついてきました。彼らはカルナさんたちが気になってたみたいですよ。」

「なるほどね。じゃあ、どうせだからシャスティかハディと模擬戦をしたら?」

「よ、よろしいのですか?」

「構わないよ。人間と比べて彼らはホントに体力がたくさんあるから。君たちも経験だよ経験。」

「本人たちがいないところで決めてもよろしいのですか?」

「こちらとしては構いませんよ。」

とシャスティが戻ってきながらそう言い、尻尾で器用にハディちゃんにもその魔道具を取り付ける。

「シャスティありがとう。」

「構いません。改めてリア様の保護者兼獣魔のシャスティと申します。」

「リア様の獣魔、ハディ。よろしく。俺も戦うのは構わない。」

「ご丁寧にどうも。では、お願いしても?」

「構いませんよ。遠慮なくかかってきなさい。武器は使いませんので打撲程度で済ませておきますので。セイ、模擬戦の後、お願いしても構いませんね?」

「もちろんですよシャスティさん。」

「骨が数本折れてもセイが治すので遠慮なくどうぞ。」

シャスティはそう言うと先輩たちは模擬戦を開始しました。

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