表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
81/177

ようやく学園生活開始

「師団長いってらっしゃ~い。」

「行ってらっしゃいませ。」

「何かあったら呼んで下さい。」

「いつも通り城の研究所にいるので。」

「お嬢様、行ってらっしゃいませ。」

「行ってらっしゃい」


-いってきます。-


「師団長のお姫様モードかわいい!」

「やはりこうでなくてはいけませんよね。」

「師団長放置したら絶対いつものあのスタイルになるんですもの。身の回りのお世話が出来るのであれば常にあの状態をキープしなければ。」

そう言いながらはしゃいでいるのはエアロさん女性陣3人。

男性陣は微笑ましそうに眺めてるくらいです。


今日から学園生活なのですが、ティアさんが名ばかりとは言え、公爵家の一員になったのだから!

ってことで、髪型を変えることになりました。

まず、いつも首元にマフラーのように適当に巻いていたスカーフを丸めずに広げて肩から羽織り、髪型はポニーテールから三つ編みハーフアップというのになってます。

後ろ側で束ねている髪留めは姉さんから昔もらったお花の髪留めです。


変えたのはこのくらいですがそれだけで十分お姫様っぽいらしいです。


・・髪型変えてスカーフを広げただけで変わるモノですかね?

「リアちゃんはホントかわいいね。行ってらっしゃい」

-いってきます。そんなに変わるモノですか?-

「うん。シャスティが巨大化するのとしないくらいの差があるよ。」

結構差がありますね。




で改めて学園へ向かいました。

道中、餌付けしてくる露店のおじさんやおばさんたちがなぜか目を見開いたままフリーズしてたのは気になりますけどスルーします。

学園の門のところでセイちゃんとユウちゃんと遭遇しました。

「リア、おはよう。」

「リアちゃんおはよー!」

-おはようございます-

「リアちゃん超絶かわいい!」

「まさしくお姫様だね。似合ってるけどどうしたの?」

-ティアさんたちがパパがパパなのでこのくらいのイメージアップ?はしないと駄目だと暴走しました。-

「あぁ・・」

ちなみに、翠ちゃんは私の頭の上で、帽子になってますが、バッグなどは何も持たず手ぶらなので(翠ちゃんが全部持ってますし)ラナちゃんを抱っこしてる状態です。

「ティアさんたちって?」

-あのお城の魔術師団の皆さんですよ。私の・・と言うより、家の直属の私兵になりました。-

家というのは当然公爵家のと言うことです。

「あぁ、あの人たちか。」

「本格的にお嬢様だね。」

-私にとってはどうでもいいのですが、周囲がはしゃいでまして。-

この髪型とスカーフの巻き方は絶対に変えたら駄目と言われてしまいましたと告げると苦笑いするユウちゃんとかわいいと言い続けて抱きつくセイちゃん。

「セイはホントに物怖じしないね。」

「だって、リアちゃんはリアちゃんだし、超絶にかわいいのに放置とか無理!」

「あぁ・・うん。とりあえず、教室に行こう?」

「だねーけど、どこだろうね。」

-どこかに書いてあると思いますが。-

「とりあえず行けば分かるよね。いざとなればネルさんのとこ行けば良いし。」



そして、校舎の中に入ると壁に誰がどの教室か書かれてました。

「あったね。」

「えぇっとSクラスSクラスっと・・あった、あっちだね。」

ちなみに校舎に入る前からすっごい注目されてます。

まぁ、Sクラスですしね。


けど、スルーします。

「あぁ!我が美しい姫君!一緒にお茶でもいかがでしょうか!」

とか言ってる無駄にキラキラしてる同級生(と思う)がいましたがスルーします。


なぜか、かちんと固まった後うなだれてorz?な状態になってましたけど、スルー。


「リア・・アレをスルーするんだ・・。さすが」

「けど、どう反応しても都合の良いようにしか聞かないんじゃない?」

「あぁ、あり得るかも。」


似たようなことが何度かありましたが全てスルーした結果全員が同じ状況になりました。


そうしなかった人たちの大半はなぜか憧れているかのようなキラキラした目で私を見ていました。

何なんでしょうね?

「いや、多分入学式の時の魔法戦が凄かったからそれで憧れになったんじゃない?」

「あぁ、分かるかも。おまけにリアちゃんかわいいから目標で憧れなんだろうね。ほら、リアちゃんで言うところのペチュニアさんみたいな感じだよ。」

なるほど。

そういう風にみんなは私を感じてたんですね。


そんな感じでおしゃべりしつつ教室へ向かう


が途中で先生たちが集まって私の元へやってきました。

「いかがなさいましたか?」

警戒した感じでセイちゃんが私の前に立ってそう告げると先生たちが全員頭を下げて謝ってきました。

-とりあえず頭を上げて事情を説明して下さい。-

「あ、あぁ・・。人を見た目で判断して申し訳なかったと言うことと、噂などに振り回されていた自分たちが恥ずかしかったから、謝りたかったので。」

-ネルさんには謝ったんですよね?-

軽く威圧を発動させながらそう告げると

「もちろん。即答で許してくださいました・・。ホントに教師としては素晴らしい方だったんだな。」

「謝罪は受け取りますので、今後の活躍に期待しても良いんですよね?」

「もちろんだ。その時は殴ってでも注意して頂ければ幸いです。」

-骨が折れる程度は覚悟して下さいね?-

「わ、分かりました。」

-敬語は疲れるので喋りやすい話し方で構いません。-

「ですが、フリージア様はこの国の公爵・・」

-学園では身分は基本的にスルーされるはずです。公の場以外では年齢のみを注視して下さい。-

「わかりまs・・わかった。何かあれば遠慮なく言って欲しい・・では。」

そう言って先生たちは去って行きました。

足取りはどこか軽くなったようです。

「私たちの入学式の時の言葉は役に立って良かったね。」

「だね。あの人たちを敵認定しないと駄目かなとか思ってたよ。」

-そうですね。ここのようですよ。-

中に入ると、3人までかけられる長テーブルが横に3つ、奥に5つまで並び、奥に行くにつれて床が1段ずつ高くなっていく感じの教室でした。

ちなみに横3つは先生が立つ場所である中央に向かって両サイドの席は斜めになってます。

先生が立つ位置の後ろには真っ白な大きな板が張り付けられ、その下側の縁にはペンらしきモノが並んでいます。

翠ちゃんが言うにはホワイトボードっぽいらしいです。


「どこに座ったら良いんだろうね?」

「ボードには何も書いてないね。」

「適当にあいてるとこに座れよ」

と呼びかける声が聞こえ振り返ると、私たちより年上と思われる男性2人、女性1人がいました。

「とりあえず自己紹介な、俺はジャン。3年だ」

「私は、シスカ。4年よ」

「俺は、リクト。5年だよ。細かい自己紹介は後でやるだろうし名前だけね。名前を教えてくれるかい?席は決まってないんだ。俺たちも毎日同じ席じゃなかったりするし。」

「私はセイです。」

「僕はユウ」

-フルネームが良いですか?-

「ん?・・あぁ、そっか君が噂のご息女か。」

「リクト先輩それって、例の?」

「そうそう。是非フルネームで教えてくれるかい?」

-かしこまりました。フリージア・クラリティ・エトワールと申します。どうぞよしなに。・・こんな感じでよろしいですか?-

「うん、ばっちりだね。」

「おぉぉ。ガチのお姫様来たよ。」

「まさしく傾国の姫ね。」

「シスカ、上手いこと言うね。」

-敵にならなければ傾ける気はありませんよ?-

「あはは!面白いな!言葉のあやだ。そのくらいかわいいってことだよ。とりあえずよろしくな。適当なとこで模擬戦とかしたいな。」

-是非。-

「いいね。ユウとか言ったか?お前さんもやるだろ?」

「もちろんです。」

「じゃあ、怪我しても私が治しますよ。」

「頼もしいね。よろしく頼むよ。」


「みんなおはよー。おや?来るの遅かった?」

「ネルさんが担任だったのか。」

「そういえば言ってなかったね。そういうわけでよろしくねー。」

「ネルさんなら安心ね。」

「チビ共、運が良いな。去年とか毎日色んな先生が来てたが、全員微妙だったし、無駄に堅苦しくて面倒だったんだ。それに比べてネルさんはしっかりしてるし柔軟だし気軽で助かるよ。」

「うれしいこと言ってくれるね。」

「それにしてもネルさんイメチェンですか?凄くいけてますよ。」

「ありがとね。これから担任になるからよろしくってもらったんだ。」

「ネルさんって、思った以上にイケメンだね。」

「みんなそう言うよね。さっきも他の先生たちにこれまで侮辱してたことを謝ってきたりとか色々あったのに。」

「良い方向に向かってるわね。」

「だな。」

「さて、とりあえず全員適当に席着いてねー。軽い説明と自己紹介をしちゃうから。とりあえず俺はネル。ここの担任になったよろしくね。扱う魔法は、水と風。得意なのは特にないかな。接近戦も遠距離戦も同じくらい出来るよ。多分気づいてると思うけどこのクラスは特別だから人数が凄い少ないし、他の学年でもお構いなしで同じクラスになるよ。」

「ネルさん万能型だし、とにかく無駄が少ないから隙がなかなか見つかんないんだよなぁ。」

「まぁねー。その部分を中心に頑張ったからね。とりあえず、年長さんから言っちゃおうか。」

「じゃあ、俺からですね。ネルさんが言った内容に沿って言えば?」

「それでいいよ。それ以上に言いたかったら言っても良いよ。細かい部分はまかせるよ。」

「分かりました。俺はリクト、5年生。属性は聖風っていうまぁ、浄化の籠もった風だね。遠距離も接近戦も一応両方出来るけど、接近戦が得意なんだ。扱う武器は、これだね。」

白に近い緑色の髪をした優しい印象のお兄さん。

武器は、小太刀が2本。

-小太刀ですか?-

「そうだよ。よろしくね」

「じゃあ次は私ね。私はシスカ、4年生。魔法は土と樹。植物を操るものよ。接近戦は苦手だから遠距離戦・・と言うより広範囲をまとめて叩くのが得意よ。武器は杖。よろしくね」

やや茶色がかった緑色の髪を肩まで伸ばしているお姉さん。

柔らかい印象だけど言いたいことははっきりと言うタイプのようです。

それにしても・・

「はぁ//かわいい。」

と言いながら私はなぜかシスカさんに抱きしめられてる。

おっぱい意外とおっきいですね。

既にCですか、しかもDに近いとはすばらしい。

どうやらまだまだ成長中みたいですね。

今後に更に期待

「あ、あぁ・・次は俺だな。」

スルーされました。

「俺はジャン、3年生。扱うのは硬化だ。とにかく触れたモノなら自分自身を含めてどれでも硬く出来るから遠距離は投擲程度でほとんど接近戦だな。扱う武器はこれだ。」

焦げ茶色の髪をしたお兄さんで、鋭い印象でまっすぐな性格のようです。

見せてもらったのは指を通す部分が4つあり、あちこちが鋭くなっている。

-メリケンサックですか?-

「あぁ。一応サブで剣は持ってるけどな。よろしく」

「シスカがごめん・・」

-慣れてるのでお気になさらず-

「そっか・・シスカ。ほどほどにしなよ?学園内は一応身分とかは無視されるけど思いっきり不敬だからね?」

-そういうのは気にしないでいいですよ。名ばかりですし、私の周囲の方々は全員こんな感じなので。-

「分かった・・ホントごめん。」

言わないけど、正面から抱きしめられてる状態なのでおっぱいが押しつけられてます。

なので遠慮なく堪能中ですからこっちもごちそうさまです。

「じゃあ僕から。ユウです。扱う魔法は一応聖属性ですが、剣に纏わせる程度しか出来ないので接近戦だけです。得意なのは剣。よろしくお願いします・・一応言っておきますが男です。」

「え!?男!?」

「マジか!」

「ちょっと失礼・・」

「キャー!!!」

「・・ホントに男の子だったわ。」

「おいシスカ・・普通握るか?てか、がっつり揉んだよな?」

「・・シスカがごめん。」

「い・・いえ。」

シスカさんは、普通にユウちゃんの股間を鷲づかみして何度か揉んでました。

ユウちゃん凄い顔を赤くしてネルさんの背中側に逃亡中。

ネルさんは苦笑い。

「私はセイ、セイ・セイクリッド。一応侯爵です。扱う魔法は治癒と回復。攻撃自体が苦手ですけど、メイスで相手を叩くくらいは出来ます。よろしくお願いします」

「セイちゃんも貴族だったかぁ。」

「あはは・・。私自身がその地位を継ぐかどうかはまだ未定なので自分自身、侯爵だという認識は薄いんですよね。家族もかなり気楽な性格なので」

「貴族としては珍しい類いだね。フリージアさんも同じような感じだけど。」

「じゃあ次だな。」

で私はシスカさんに抱きしめられたまま自己紹介

-フリージア・クラリティ・エトワールです。扱う魔法は陰。私が思い描いた姿形に変えることが出来ます。魔法戦特化で得意なのは防御と遠距離戦。接近戦は時間稼ぎ程度であればある程度は出来ます。獣魔がここにいる2人以外にも3人いますので彼らが基本的に私の代わりに接近戦をしてくれます。クテンや魔鏡姫と色んな呼ばれ方をしてますがよろしくお願いします。-

「フリージアさんが魔鏡姫だったんだ。」

「どうやったら魔法反射なんて出来るようになったんだ?」

-当時は攻撃と防御を両方を同時に発動出来ず、防御したまま攻撃する手順を思いついたときには出来てました。-

「思いつきかぁ・・。ある意味才能だったんだろうね。思いついて出来たわけだし。」

「だな。・・にしても、シスカ先輩をスルーかよ。」

いまだに抱きしめられてます。

「あぁ・・リアちゃんの身の回りにシスカさん以上に積極的な人がいるのでそのせいじゃないかと。」

「これ以上かよ・・」

「おまけにシスカさんのような反応をする人は意外と多いのでリアにとっては日常茶飯事なんです。」

「愛されてるなぁ。」

「うらやましいかと言われるとあそこまで行くとなんとも言えない・・。」

「だとしてもサブがナイフじゃなくて剣って言うのも珍しいな?」

-これ、剣ではなく蛇腹剣です-

「え?」

「何が違うんだ?」

で、目の前で鞭の状態にして戻す。

「へぇー。扱うのが難しそうだけど?」

-元々扱える武器は豊富にあるので問題ありません。素人に毛が生えた程度ですが。-

「それでも十分だと思うよ?」

「フリージアちゃん」

シスカさんですね。

抱きしめたまま呼ばれます

(?)

「かわいい・・。フリージアちゃんのお父さん・・えぇっと、イリス様って実際に会ってどう思った?」

-お化粧なしで男性用の服も女性用の服も完璧に着こなせそうな美人さん-

「・・」

「・・・」

「リア・・」

「リアちゃん・・気持ちは分かるけど、ストレートすぎるでしょ・・。」

「やっぱりそう思うわよね。」

シスカさんも同じようでした。

「にしても、獣魔多いな?」

(?)

「いやな?世間的には1体いるのが精一杯なんだよ。獣魔に出来るってことだけでさ。」

「内2体は保護者だしね。」

「は?どういうことだ?」

-獣魔の内2人は私が物心つく前から傍にいてくれて、親代わりに私を育ててくれたんです。-

「凄いな・・て、父親の方はここで会ったから当時いなかったのは分かるが母親は・・・」

-病弱だったのに、難産だったようで。-

「あ・・悪い。」

-お気になさらず。なので、お母さんの分まで生きて、どれだけお母さんが凄かったんだと、さすがお母さんの娘だと思われるように頑張りたいんです。-

「良い母親だったんだな。」

(コクリ)

「それで、フリージアちゃんのお母さんってどんな人だったの?」

-爆笑しながら吐血して、トラブルが起こる方へ自ら突撃して、なければトラブルを自ら発生させる。黒い噂があればとことん表に出しまくって敵対する相手は町ごとぼろぼろにしてたそうです。-

「・・・・」

「・・・やばくね?」

「み、見た目はどんな感じだったの?」

-私と瓜二つだそうです。お母さんが幼女になった!が当時のお母さんを知る人の私をみた第一声でした。-

「・・どうしよう、全く想像出来ない。」

なぜか先輩たちが全員頭を抱えられました。

シスカさんは私に抱きついたままですけど。

ちなみに途中からセイちゃんも抱きつきに来ました。

ユウちゃんも混ざるか聞いたら拒否されました。


「ちなみにフリージアさんのお母さんはこの学園の卒業生だよ。」

「ネルさんマジで!?」

「って言うか名前は!?」

「それは自分たちで気づかないと駄目だと思うよ?フリージアさんも名前は言うつもりはないっぽいし。」

「えぇ・・気になる。」

「吐血・・トラブルへ突撃・・・フリージアさん。お母様は魔法は何を扱っていたのか聞いても良い?」

-火、水、風、雷だそうです。-

「4つ!?」

「すげぇ・・。」

「・・やっぱりか。フリージアさんのファミリネームがどこかで聞き覚えがあると思ったら・・。」

「リクトさん分かったの!?」

「まぁね。」

「教えて教えて!」

「フリージアさんから聞いた情報と、かつて・・と言うより今も有名な噂と比較すればすぐに分かると思うよ?性格が違いすぎて俺も気づかなかったけど。」

「え?・・・・・・っ!?」

「え!?嘘!?マジで!?」

-分かったみたいですね?-

「え・・いや・・その・・え!?」

「マジで流星姫の娘!?」

(コクリ)

「マジかぁ・・・やべぇ。そりゃあ隠すわ。バレたらやばいわ。」

「周囲のメンツがヤバイのは確かね。」

「イリス様もかなり強いと聞くし、才能と才能のハイブリッドだね。」

「なるようにしてなったわけか。」

「改めて聞くとリアって色んな意味でヤバイよね。」

「ねー。カルナさんたちだけでもえっぐいのに。」

「カルナさんって言うのが獣魔の?」

「はい。保護者筆頭です。」

「会ってみたいな・・。」

「今なら・・お城の方かな?」

(コクリ)

「お城?あぁ、お姫様だから?」

「いえ。騎士団と訓練する代わりに預かってもらえる契約でいるだけです。当時はまだリアがそうだと知らなかったわけですし。」

「なるほど。今日って午前を過ぎたら終わりだったよね?」

「だな。」

「フリージアさん、会ってみたいんだけど良いかな?」

-構いませんよ。午後はあちらに向かうことは伝えているので。-

「ありがとう。ムリはさせないから難しそうだったら遠慮なく言って?」

(コクリ)

「自己紹介は終わったかなー。じゃあ、サクッと概要を説明するよ。ここでは基本的に授業はないよ。訓練も勉強もどれも実習。質問は答えられる範囲だったら遠慮なく聞いて。それだけ優秀な子たちが揃うクラスだから。」

なるほど。

確かにその方が効率的ですね。

「一応テストは定期的にあるから気をつけてね。範囲が気になるなら教えるけど、言わなくても君たちなら大丈夫っぽいけどね。」

ふむふむ

「注意事項としては、このクラスは常に成績上位者であることと、常に他の生徒の見本であることが必須だから気をつけてね。場合によってはクラスが異動することになるから」

大丈夫とは思いますが気をつけておきましょう。

「で、実戦訓練の時だけど他のクラスと合同で行なうよ。どのクラスになるかはその時によって変わってくるから。学年も当然バラバラ。」

「ついでに先輩としてアドバイスするなら、結構な頻度で模擬戦とか挑んでくるのがいるから。」

「やっても骨にヒビを入れる程度にとどめて欲しいな。」

なるほど。

「ネルさんって何気にざっくりと言うよな。」

「そのくらいストレートな方がわかりやすいわ。」

「ネルさんの場合は時と場所でそう言う言い方を使い分けてるからね。」

「その辺りの感覚は、なんとなくだけどね。」

とか言っていると、ゴーンゴーンという鐘の音が鳴る。

「丁度鳴ったね。基本的に朝授業開始時間と、お昼と夕方の放課後の3回鳴るよ。」

「午前や午後で複数の教科の授業があったときは時間配分などは大丈夫なんですか?私たちSクラスには関係ないですけど。」

「俺たち教師もだけど、生徒たちも時間配分を自分で計算するようにっていう学園長の考えだよ。」

「つまりは、先生か、私たち生徒のどちらかがそろそろ次の授業だからと告げるか、終わらせる必要があると?」

「そういうこと。学びの場としては時間配分はとても大事だよ?野営でも何でもね。」

確かにそうですね。

どの作業のどのくらい時間がかかるか把握しておかないと野営などはやっていけませんからね。

・・私の場合は、シャスティたちが率先してしてくれて私は何もせずに休んでろと言われてるのであまり役立ってませんけど。

「じゃあ、今日はここまでだね。教科書とか5年間の分は丸々もらってるけど俺たちSクラスは授業をしないから適当に読み進めててね。ざっくりと試験の時は範囲を教えるから。ここに荷物を置いていくなら個別にロッカーがあっちにあるから好きに使って良いよ。」

ちなみにそのロッカーは、魔力を込めるとロックされ、解除するにはロックしたときと全く同じ人の魔力を流さないと解除されないようにする魔法が込められています。


「さてー、これからお昼だけどみんなはどうするの?」

「ちなみにネルさんは?」

「久しぶりにグリム君のパンを食べに行こうかなーって思ってるよ。」

「グリムさんと知り合いだったの?」

「僕も彼もここの卒業生だしSクラスだったからね。それなりに話しはするよ。彼のパン、おいしいんだよね。」

「ちなみに国中の住民や冒険者たちは1割くらいしかグリムさんのパンを食べに行かないが、この学園は、学園長とネルさん、それと先祖代々、Sクラスの連中は全員買いに行くんだぜ?」

-心が温かくなりますよね。とてもおいしいです。-

「フリージアもそう思うか?そうなんだよ。何か無性に食べたくなるときがあるんだよ」

「それなのに種類は豊富だし、同じのを食べてても飽きが来ないから不思議よね。」

「焼きたては当然おいしいけど、時間が経って冷めても十分おいしいのは凄い不思議よね。」

「あぁ、それは言える」

「俺は料理は適当だからお弁当代わりによく買ってるよ。」

「分かる。すっごい分かる。」

「じゃあ、ネルさんも一緒に行こうよ。」

「ちなみにこれからの時間はお仕事は?」

「ん?休みだよ。朝の内に終わらせてるからね。」

「ネルさんさすが。」

「後々でやると逆に面倒だからね。」

「あー。分かる。」

「君たちはグリム君のとこでパンを買うのは良いけど、その後はどうするの?」

-シャスティたちに先輩方が会いたいそうなのでお城へ行こうと思っています。ネルさんも来ますか?-

「行きたいけど、こんなにぞろぞろ行って迷惑にならない?」

-では、着いてくる代わりにノクスさんたちと訓練に混ざるか、エアロさんたちとお話しして頂ければ大丈夫ですよ。-

「ノクスさんって確か騎士団長だったよな?」

(コクリ)

「じゃあ、エアロさんたちって?」

-魔術師団ですよ。研究者でもありますが、私の直属の方々です。-

「直属って、公爵家のってこと?」

-正しくは、私自身ですね。-

「何か違うの?」

-確かに私は公爵家の人間ですが、お城での立ち位置は、パパは王子で、私は魔術師団長です。-

「な!?」

「ちょっ!」

「リアちゃんいつの間に出世したの!?」

-数日前です。-

「凄い早かった!」

「ってアレ?魔術師団に団長っていなかったの?」

-元々研究者のサブの職業として魔術師団となっていただけで、騎士団のような正式な集まりではなかったんです。-

「あぁ、いわゆるパーティ名だったのか。」

(コクリ)

-そこで、私がお城での職業と言いますか役割を決める際に私の魔法の腕と目をパパがかってくれて、エアロさんたちからのお願いで魔術師団長になりました。-

「あぁ、リアちゃんって確かある程度の魔法はみれば分かるんだっけ?」

-凄く大まかですけどね。-

「それでも凄いと思うけど。」

-後は、翠ちゃんにお願いします。-

「あぁ。」

「翠さんなら確かに頼りになるね。」

「翠さんってそのゲル種か?」

「はい。すっごい長生きで物知りなんです。」

「リアちゃんの専属の家庭教師ですよ。知らないことがないんじゃないかってくらい物知りなんです。」

「すげぇな。俺も何か質問があったら良いか?」

-いいよー-

「ははっ!すげぇすげぇ!面白いな!」

「ちなみに翠って何歳?」

-500年から先は数えてないなー。-

「ごっ!?」

「ちょ・・」

「あの・・色々と聞きたいことがあれば聞いても良いですか?過去の歴史など・・」

-人間がやらかしてきたことはそれほど知らないけど、どの地域にはどんな生き物がいたとかそう言うのなら分かるよ。人間のことで分かるのはせいぜいどの土地にはどういう人間がいたくらいかな。-

「十分です。卒業課題で調べたいことがあったのですが教会の本を探してもなかなかしっくりときたものがなく・・今も探しているんです。」

-ちなみにどんなこと?-

「魔物の生息地と環境の関わりについてなのですが。」

-どういう環境にどういうタイプの魔物がいるかってこと?-

「はい。後は、突然変異が起こる関係など、この大陸に過去、どのような魔物がいたか等が知りたいのですが、本によってかなりばらつきがあるのと、同じことを言っている本がほとんどなく。」

-この大陸は他の大陸と比べてかなり穏やかなとこだったから一番長くいたからある程度は分かるよ。-

「助かります。あ、お礼とかは・・」

-リクトが知っていることを教えて欲しい。どんなことでも良いよ。内容が被っていようが些細なことでも。-

「そんなことで良いのですか?」

-私は、知識欲が強いんだ。他のには興味はないよ。今はその知識を使ってリアを育ててるから。-

「そういうことでしたら喜んで。」

「あ、そうだ翠さん。」

-何?-

「人になるワザってありますか?」

-あるけどかなり条件が厳しいよ?-

「どういうことですか?」

-人間たちが進化するよりも確率が低いんだ。進化しても人としての特徴はせいぜい二足歩行くらいで、人の姿になれたとしても魔族で大抵は強さしか求めないから災厄扱いか魔王扱いだね。-

「要するに、理性を持ち、人と仲良くしようとする人型の魔物とかそう言う生き物は存在しないに等しいくらい珍しいと?」

-そういうこと。-

「翠さんはなれるの?」

-私は進化したいって言う欲がないからムリだね。-

「翠さんって種族は魔物なの?」

-一応妖精だよ。-

「へぇー。」

「妖精は精霊か幻獣に進化するって言う話しをチラッと聞いたのですが翠さんはどうなのですか?」

-私の場合は、魔物から妖精になったけど、その先はどっちになるかも全く想像がつかないし、妖精のまま進化しない可能性もあるから分かんないね。けど、昔どこかの精霊に聞いたのは私は普通の進化はしない可能性が高いって言われたよ。-

「普通というのは、幻獣か精霊にならない可能性があると?」

-全く新しい何かになるか、妖精のまま進化と言うより変化する程度じゃないかって。-

「ふぅん。進化にも色々あるんですね。」

-人間が進化するときは同じ種族になることが意外と少ないって言うくらい種類が多いらしいからそれと似たようなモノだよ。ただ、魔物とかの生物は行動パターンが同じだから被りやすいだけで。-

「やはり、進化にはそれなりに気持ちや行動パターン、考え方が影響するんですね?」

-私が知る範囲ではそうだね。-

「なるほど。」

「リクト先輩・・そろそろ行きましょうよ・・」

「ん?あ、ごめんごめん。つい夢中になってたよ。じゃあ、とりあえずグリムさんのとこに行こうか。」

私たちはぞろぞろとグリムさんのパン屋さんへ向かいました。

次回は通常通り日曜日です

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ