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入学式

ノクスさんとの5日間の遠征に同行という依頼を受けたりした後は、こまごまとした依頼を受けたり一緒に勉強したり特訓したり本を読んだりおしゃべりしたり食べ歩きをしたりと個人的にはマイペースな日を過ごしてました。


けど、カルナたちは頑張りすぎと言われてしまい、セイちゃんとユウちゃんと一緒に首をかしげてました。




そんな感じで過ごしつつ、今日はいよいよ入学式です。

入学式自体は10時からスタートですが、2時間くらい前には集まらないといけないんです。

なぜと言われますと、自分がどのクラスに在籍するかというのと、制服を受け取り、着替えないといけないからです。


クラスはどうやら、6つあるらしく、それぞれのランクや適性に合わせてクラスを分けるらしいです。

近距離戦闘特化とか、頭脳戦特化とか、サポート系とかそんな感じです。

で、クラスが何クラスになるかによって制服のデザインが変わるらしいです。

クラスが学年が上がって変更されることはないのだろうか?と思ったのですが、本人が目指す先が変われば変わるらしく、そういうことがなければ基本的にこのままらしいです。


どんな制服なんでしょうね?






で、3人揃って言ってきますと告げて、学園へ出発です。

カルナとシャスティ、ハディちゃんは兄さんと共にお城に一緒のタイミングで出かけました。



「相変わらずおっきいとこだよねぇ。」

「だねー」

-いつか、この建物も教会も見慣れてしまうようになるのでしょうか?-

「最終的にはなるかも知れないけど、そんな自分が想定出来ないよね。」

「うんうん。あ、おはようございます。」

丁度学園に到着して門のところにいるお兄さんにご挨拶。

「おう、おはよう。3人とも入学生かい?」

「はい。」

「なら、この門に軽く触れてみな?問題なければ勝手に門が開くから。」

言われて私たちは3人揃って門に触れるとカチャリと音がして門が開きました。

「おぉ。」

「な?ちなみにさっきみたいに同時に触って1人でも承認されてないのがいたら、門は開かないんだ。その時は、1人ずつって感じだな。」

「魔力を登録するってこういうことなんですね。」

「そういうことだ。ほれ、まずは制服だろ?なら、向こうにまっすぐ行けば分かるから。」

「は~い。」

「ありがとうございます」

(ぺこり)

「気軽にな。今の段階で気を張ってたら本番に気力が尽きるからな。」

カラカラと笑いながらそう言うお兄さんに再度お礼を言ってから私たちは言われた方へ向かいました。


その先には、シンプルな木造の1階建ての建物

その前で先生たちが揃って色んな道具を広げてます。



「おはようございます。門番さんに入学生はここに来るように言われたのですが。」

「ん?あぁ、いらっしゃい。合ってるよ。まずは制服ね・・・っと、その前に名前を教えてもらえるかな?」

まじめそうな優しそうな感じの一見どこにでもいそうなお兄さんでした。

「セイです。」

「ユウです。」

-フリージアです。-

「セイ・・ユウ・・フリージア・・あぁ!君たちが今年のトップランカーか!」

「あぁ・・そう言う噂を聞きました。」

「なら、こっちの制服だね。で、ユウさんが男だったね。学園長から聞いてるよ。」

「はい。」

もらったのは、真っ黒なお洋服。

-私たちはこれと言うことは、他の方とは何か違うのですか?-

「そうだね。端的に言うと色が違うんだ。」

「色?」

「そうそう。この学園は1学年で全部で6つのクラスに別れるんだ。1年生はランダムにクラス分けされるんだけど、その中で1クラスだけ別枠なんだ。」

2年生から上に上がるとクラスごとに別れるのが、近距離専用とか、魔法戦特化とか、研究者、薬剤師を含むサポーター、執事やメイド、ギルド職員などと言ったようにジャンルごとに別れていくらしいです。

「1クラスだけ特別・・それが、私たちなんですか?」

「そうそう。一応区別するためにABCDEの5つと、君たちSクラスだ。Sクラスに入れる生徒は、実力が低下したり、生活態度が相当ひどい場合は他のクラスに落とされるけど、そうでなければジャンルが異なっていても卒業するまでSクラスのままなんだ。今年は君たち3人だけだったね。」

年によっては、Sクラスは誰もいないことも珍しくないらしいです。

そこは、学園長のおじいちゃん次第らしいです。

「へぇー。」

「ちなみにそれ、サイズは勝手に変わるから成長しては買い直して~なんてことは必要ないし、それら自体に防御の魔法が掛かっているからそこらの革の鎧なんかよりもずっと丈夫だよ。破けても修復は簡単だしね。それなりに細かい魔力制御が必要だけど、魔力だけで直せるよ。」

「便利ですね。」

「毎回買い直すよりも、そう言う魔法をかけた方が長期でみたら値段が良かったらしいんだよね。こっちの都合だね。」

「でも、互いに得ですよね。」

「そう言ってもらえるとうれしいねー。ちなみに、君たち以外は、青色だよ。」

「青なんですか。」

「青が良かった?」

「私はどっちでも。」

「同じく」

-普段から黒を着てるのでそっちの方が慣れてます。-

「なるほど。と言っても色の変更は無理だよ。あはは。で、こっちが教科書とかだね。5年間分全部だからなくさないようにね。」

「どうして今の段階で5年間分を?」

「物をなくさないか、大事に扱うか、しっかりと勉強に使うかとかそういうのをみるためでもあるね。」

「そういうところでも教育として扱うんですね・・なるほど。」

「そういうこと。」


で、それらを含めて銀貨10枚だったので渡しました。

ちなみに入学費は、既におじいちゃんに直接支払っています。

5年間分しっかりと。

1年で、金貨2枚でした。

しっかりと稼いでいてので問題なしです。

2人も私と同じでした。

まぁ、2人の場合は寮の部屋の代金もあるので1年で銀貨5枚でした。

結構安いですが、部屋の管理とかは全て自分たちでする必要があるらしいので、壊したりしたら直すのは自分たちのポケットマネーです。

そっちは1年ごとにしか支払えないらしいです。

と言うのが、途中で払い直しとかが出来ないかららしいです。

入学費とかは別として。



「はい。お金も受け取って、一通り渡しました。この建物に入って男女で左右に分かれるからそれぞれ着替えて来てね。仲良しでも他の子たちが来るから男女しっかり別れるんだよ?」

「当然ですよ!」

「あはは!ほらほら。」


で、中に入ると男子はアッチ、女子はこっちと書かれてたのでとりあえずユウちゃんと別れました。

着替える部屋は数部屋あるみたいです。

まぁ、いっぱい人がいますからね。

適当に入ってサクッとお着替え。





「わぁ。リアちゃんすっごい似合う。」

-セイちゃんも似合ってますよ-


膝をぎりぎり隠すくらいの長さのストレートのスカートに、長袖。

左の胸元と両肩には、この学園の紋章である、四角とその四隅に三角、そしてそれぞれの模様の中には幾何学模様が白抜きで描かれています。

で、腰のところには、黒い革で出来たシンプルなベルト。

男子は、くるぶしまである長ズボンらしいです。

ついでに言うと、私は黒のスパッツに膝辺りまである黒い靴下を穿いてます。



翠ちゃんが言うには、帽子と飾り紐とかがないナチスドイツの軍服にそっくりって言ってました。

それ、どこですか?



ちなみに靴は、特に指定はないらしいですが、あまり派手なのは・・遠慮して欲しいなぁ・・と言われてたので、黒に近い焦げ茶のワークブーツっていうくるぶしを隠すくらいまでの長さのある革靴になってます。

この靴は見た目以上に軽く丈夫なんですよ?


最初は男っぽいとかお店の人から言われましたけど、いざ履くと意外と良い感じ?ってことになりました。

不思議なことに、とことんシンプルなので、私、セイちゃん、ユウちゃんが同じのを履いても全く違う雰囲気になってしまうんです。

ちなみに、色もお揃いです。




で、サクッと終わらせて出てくると丁度同じタイミングでユウちゃんが出てきました。

「2人とも凄く似合うね。」

「ありがと。ユウだって似合うわ。」

-ありがとうございます。ユウちゃんも似合ってますよ。-

「2人ともありがとう。」



「あら?3人とも早いねぇ。大抵、着替えるのに戸惑ったり見せあいッコしたりして時間が掛かるのに。特に女の子たちね。」

「似たような服でしたし、僕は1人でしたから。」

「ユウの着た姿も見たかったし、見せたかったですし。」

-よく着せ替えを等身大人形としてされてたので慣れてます。-

「そっかそっか・・1名微妙に大変そうな反応があったけど・・納得。」

「あぁ・・リアちゃんなら分かる。」

「うん・・後、あの人たちだし。」

「うんうん。」

「あぁ、そうそう。その制服の修復の修復方法とかはあの教科書類の中に混じってるから後でみておいて?地図とかもあるから。」

「は~い。」

「わかりました」

(コクリ)

「なら、お着替えが済んだところで会場はあっちのグラウンドね。」

「あのドームっぽいところではないんですね?」

「入学式は、観客とかが多いから、あのドームに収まらなくてね。」

入学式は関係者とお友達っていう何かしらの繋がりによる知り合いじゃないと参加出来ないらしいです。






「にしても、勿体ないなぁ」

「何がですか?」

お兄さんがそんなことをつぶやく。

すると近くにいた他の先生たちも同じように頷く。

「だってさ、君たちの担任があのネル先生だよ?」

「あ、ネルさんだったんだ。」

「知ってたんだ?・・て、そっか。入学試験の時か。」

どこかここにいる人たちはどの人もネルさんは嫌な人という印象を抱いてるみたいです。

「どうしてネルさんが私たちSクラスの担任だと勿体ないんですか?」

「え?だって、ネル先生だよ?あのぐーたらで不真面目な。君たちのような優秀な子たちを無駄にしてしまうよ。」

全員がうんうんと頷く。


それを聞いてどこかでイラッとする私は。

-相手の実力も正しく把握出来ないあなた方にはいわれたくありませんね。少なくともネルさんの方がよほどあなた方よりも優秀ですが?-

「な!?」

「フリージアさんと言ったかな?いきなり君は失礼ではないかね?と言うよりも、我々がネル先生に劣ると?」

-ネルさんは、のんびりするのが好きでゆったりとした服装を好んでいるだけで話す内容は的確で分かりやすいですし、精神的な距離感もほどよいほどにしてくれて、余計なことは詮索しない。とても、優秀だと思いますが?-

「だよね。てか、学園長のおじいちゃんの次にネルさんが一番強いわよね?」

「僕もそう思った。学園長がネルさんはまじめに頑張れば冒険者としてSランクは軽くいけるのに勿体ないって言ってたし。」

「ユウ、そうなの?」

「うん、僕はそう聞いたよ?」

「それなら勿体ないね。」

「けど、ランクが高いと指名依頼が増えたり余計なことを企むのが集まってきて面倒だからパスだって。」

「あぁ・・すっごい分かるかも。」

-ランクが高いと便利な分面倒なこともあるんですね。-

「低いとその逆にたいした依頼が受けられない代わりに余計なのが集まるのはほとんどないからランクによっての善し悪しだと思うよ?」

なるほど。


「な・・な・・なぁ!?」

なぜか怒り全快という表情でプルプルしてる先生たち。

「入学早々そんなことが許されると思っているのか!?」

-少なくとも私たちはおじいちゃん直々に合格を言われているのであなた方の言い分は関係ありません。文句があるならおじいちゃんに直接言って下さい。-

「まーこの感じだとおじいちゃんとネルさん以外の先生たちは全員当てにしない方が良いね。」

「そうね。てか、生徒同士でそれなりに仲良く出来ればどうでも良くない?ここで学ぶことなんてないようなモノだし。」

「学園で学ぶことがないわけがないだろう!」

-翠ちゃん以上に賢い人たちがいないのに加えて、あんな低レベルの入学試験の問題が難しいと言ってる時点でその程度だと把握してます。私たちの知識レベルはカルナたちやおじいちゃんが言うには、卒業生レベルに近いと言われてますし。-

「そーそ-。てか、翠さん以上って早々あり得ないわよね?」

「あるとすれば、特定の知識専門とかだったらあり得るかも。土地柄とか含めて」

「なるほど。後は時代的な?」

「そうだね。」

-この人たちは放っておいて行きましょう?-

「リアちゃん場所分かるの?」

-周囲を見ながらここに来たので既に把握済みです。-

「さすが。」

「まて!話はまだ終わってないぞ!」

「魔鏡姫であるリアちゃんに勝ってから言って下さい。」

「な!?魔鏡姫だと!?」

「それと、クテン様であるリアに言いたい放題って・・・どれだけの人間を敵にまわすんだろうね?」

「!?」


全員顔を青くしてフリーズ。


「あれ?知らなかったんだ?」

「だね。」

-ネルさんが、言ってたのですが、最近弛んでる職員が多いからあえて言わずにその場で気づいた方がそいつらのためにもなるし、その方が面白いとおじいちゃんが言ってたそうです。-

「あぁ・・やりそう。」

「おじいちゃんならありえそう。まぁいいや。生徒に色んな方面で負けるような先生じゃないと信じてますねー。」



と、言いたい放題言って現実をたたき込みつつ、黙らせてから私たちは訓練場へ向かいました。





「何気に許せなかったんだよね。」

「ネルさんってすごく良い人だしね。」

-私も普通の子供として扱って下さいますし、余計な詮索もないので楽です。-

「それ思った。」

「さりげないお礼代わりにネルさんと一緒にお昼ご飯とかしてあげる?」

「それが一番よさそうよね。」

-お礼を言われても逆に困らせそうですしね。-

「ねー。それと、ネルさんのイメージ改善第一歩だね。」

「・・・ねぇねぇ。今度の休みにさ。ネルさんが好みそうなゆったりした服で、尚且つ怠けてるように見えないような良い感じに似合う服とか探さない?」

「それ良いわね。」

-どういう理由でお洋服をプレゼントするんですか?-

「んー。あえて、私たちの着せ替え人形になって下さいって言うのはどう?」

「あぁ。あえてぶっちゃけることで、気を使ってるとか思わせないようにするのか!」

-そこで、気に入った服は着せ替え人形になったお礼代わりに受け取ってもらう。むしろ、私たちは着ないから代わりに使ってと無駄になるからという言葉も添えれば-

「うん、とりあえずはその方向で行こう。」

「とか言ってる間に訓練場に着いたわね。場所は、クラスごとに前から順番って感じっぽいわね。クラスないの順番は適当みたいだけど。」

「ならあの3席だね。」


訓練場の中央には椅子がずらっと並んでました。

その中で一番先頭には椅子が3つだけで、その後は大まかに40ほどの椅子が1クラスごとと思われるほどの数が並んでました。

で、前からSABCDEのクラス順と書かれてたんです。


で、とりあえず私が正面から見て一番訓練場の外側に位置する方に座り、隣にユウちゃん、セイちゃんという感じです。


そしてチラホラ集まりだしてる中、私たちの方を注目する人たちは意外と多かった。

主に顔をなぜか赤くしてぼんやりしてたりがほとんどで、後は珍しそうにしている感じ。


なぜに注目されてるのか首をかしげてるとそりゃそうだよねと言う表情になってるセイちゃんとユウちゃん。


しばらくすると

「3人ともおはよう。」

「あ、ネルさんおはようございます。」

「おはようございます」

-ございます-

「はい、おはよう。入学おめでとう」

3人でありがとうございますと言う。

「3人とも制服似合ってるね。」

「ネルさんは研究者っぽい服装ですね。」

真っ白な長袖ですね辺りまである長いのを羽織ってます。

で、この間着てた服よりちょっとだけぴっちりしてますけど。


んー

何と言いますか、ゆったりとした正装とギリギリ言えるくらいのゆったり感ですね。

-ネルさんは、黒より白がお好みですか?-

「ん~。あぁ、これ?ゆったりした服で一番まともっぽいのを探したら研究者っぽくなっただけだよ?」

「つまりは、白は偶然と?」

「そういうことだね。けど、君たちの担任になるし、黒系でこういうのがあればそっちにした方が良いかもね。」

「ネルさんって黒って似合いそうよね。」

ネルさんの髪は、青と緑の中間の色を極限まで濃くしたような色です。

その髪を肩を通り越すくらいの長さで後ろで適当にまとめている感じです。


確かに白より黒の方が似合うかも知れませんね。

魔法使いとしてのイメージを加えてたらって感じですけど。



「そう思ってくれる?まぁ、実際はどっちでもいいから偶然見つけたらって感じだけどね。」

「そうなんですか。」

「そうそう。それに、まだ着れるのに勿体ないじゃない?」

「あぁ、確かに。」

-ゆったりした服が好きな理由は、物持ちが良いからですか?きっちりしたのが苦手というのも含んでそうですが。-

「一番最初はそうだね。元々は、執事さんたちみたいな首元をぎゅっと締めてるようなのは窮屈で苦手だったんだけどね。冒険者としてあちこちフラフラしてたし、お金もそれほど余裕がなかったからね。多少よれよれになっても着れるからまぁいいかーって続いている内に気がついたらこのゆったり感じゃないと逆に落ち着かなくなっちゃったんだよね。あはは。」

「あははって・・」

「物持ちが良いのも考えようですね・・」

「自分でもそう思うよ?」

確かに。

何事もほどほどが良いと言う言葉の意味が分かった気がします。



「あ、そろそろ始まりそうだね。あ、そうそう。入学式自体はサクッと終わるけど、その後はちょっと心構えしてた方が良いよ-。」

「え?」

何か凄いことを言いませんでしたか?

と、聞き返す間もなく、のんびりとほほえみながら去って行く。



「・・スルーしたくない台詞が聞こえたんだけど」

「私も同感」

-同じく-

「とりあえず、構えてはおこうね。」

「だね。」

-のんびりしててもこの辺りにいる人たち程度でしたら私1人で問題ありませんよ。-

「あぁ・・リアちゃんには十八番があったね。」

「それに、こういうのは得意分野だったね」

防御を専門としてますし、魔法反射も得意ですからね。

おまけに1体多が得意です。


-ですので、お二人の実力は見せずにどうにか出来ますよ。-

「良いの?」

-私は既に二つ名などで色々と目立ってるので。お二人はあまり注目されるのは得意ではないでしょう?私は慣れてますけど-

「あぁ・・甘えちゃって良い?」

(コクリ)

「ありがとリアちゃん。まぁ、注目されるのが今か後かになる程度だからアレだけど、それでもここでバレるよりはましだし・・うん。」

ここには、色んな人が普段以上に集まりまくってますからね。





そして始まりました入学式。

と言っても入学生は訓練場いっぱいに並べられた椅子にそれぞれ座った状態で開始されてますし、観客は全員立ちっぱなしで、訓練場を取り囲むように眺めているだけ。

翠ちゃんが言うには、来賓とかそう言う感じの人たちはそのお客さんたちの中に混じってるらしく特別扱いはないらしいです。

と言うのも、生徒の中に貴族が混じってるのでどっちがどのくらい偉いっていう部分がごちゃごちゃするので身分関係なしで全員お客さん!って扱いにしたのだとか。

ちなみにあの中に兄さん、おじいさま、姉さん、クランのみんなは混じってます。



入学式は大まかに入学生を順番に呼んで椅子から立たせた後、その場で周囲へ軽く挨拶をします。

まぁ、言葉は交わさずにお辞儀をするだけですけど。


お辞儀は種族や生まれ故郷、身分などで凄くバラバラなので人によって色々あります。





「そして、今年度は、Sクラスより、フリージア!セイ!ユウ!」

順番に起立し、両側からスカートをつまんでカーテシー。


頭を下げずにスカートを広げるだけで挨拶になるから不思議ですよね。

頭を下げて挨拶しようとしたのに、こっちの挨拶の方が良い!となぜか、兄さんやおじいさまたちから力説された感じです。



・・何ででしょう?




で、セイちゃんは私と同様カーテシーをして、ユウちゃんは片腕を握り拳にして心臓の前に、もう反対側では背中側に構えて礼。

おぉ。

格好いいですね。

騎士って感じですね。


まぁ、見た目はかわいいので、周囲から女の子がなぜに男性用制服?と言われてて微妙にしょんぼりしてるユウちゃんですが。



ネルさんに聞いたのですが、どうやら私たち以外にSクラスは数人しかいないらしいです。

何年生とは聞いてませんが、少なくとも全学年に1人ずついるわけではないらしいです。



これに関しては、おじいちゃんが認めないと認められないので毎年いることが滅多にないんです。

むしろ今年は3人もいることが珍しいのだとか。


なるほど?








それから、各クラスの担任になる先生たちが順番に挨拶され、Sクラスがネルさんだと挨拶されました。

ネルさんは何も言わずにふんわりとほほえみながらゆったりとお辞儀をしました。

ある程度は髪は整えて後ろに束ね、服装も多少はきっちりしてる状態の上から白衣。

どこか上品な感じのお辞儀がネルさんの良さを出している気がしました。





で、挨拶などもホントに全員軽くって感じだったので少なかった。

この学園を設立した初代学園長が挨拶はシンプルに短くと決めたらしいです。

おじいちゃんが言うには、



話し長いとやる気なくすじゃん?めんどいし、サクッと終わった方がお互い楽だよね?

話す内容も考える必要ないし




と、初代さんは言ってたらしいです。

大人グループからは微妙な感じのリアクションをもらったそうですが、生徒からは絶大なほど大人気な人だったそうな。





で、最後に学園長のお話。

「よろしくな、頑張るんじゃぞ。」



で、終わりました。

みんなえ?ってなってました。

それから

「これで入学式は終わりじゃ。寮を使うのであればこれから各自の担任に言いなさい。それと、Sクラスの3名VSその他の入学生とSクラス担任以外の職員全員で戦うのじゃ。」



全員「は?」


「Sクラスの実力を証明させるためのモノじゃ。職員は、最近弛んどるし、生意気じゃからの。生徒に無残にやられろ。ほっほっほ」

「学園長!?それはあんまりでは!?」

「何を言うか。相手の実力もまともに把握出来ぬアホはいらぬ。文句があるなら即刻辞めて出て行けば良い。お主らの1人や2人なんぞいてもいなくてもあまり変わらぬからの。」

「な・・」

「それと、生徒たちには特にないが、職員に関しては傷1つつけることが出来ねば給料を半年間半額じゃから。」


「それはあまりにも我々を舐めていませんか!?」

「ならば証明してみせよ。」

「ぐ・・やってやろうじゃねぇか。」







「ネルさんが言ってた心構えってこれだったんだ。」

「リア・・ホントに良いの?」

まさか、生徒と先生たち全員とバトることになるとは。

-構いませんよ。むしろ、お二人が下がってもらえた方が楽かもしれません。相手が雑魚なので。-

「あぁ・・・」

「甘えちゃって良い?と言うよりも僕たちリアにお世話になりまくってるんだけど・・」

-ネルさんの良さも分からず、知ろうともしなかった愚か者には制裁が必要ですよね?-

「あぁ・・そうですね。」



「やばい・・リアちゃんが微妙にキレてる。」

「そりゃそうでしょ・・ネルさん実際良い人だし。」

「気持ちは分かるけどね。まぁ、良いんじゃない?」

「そうだね。」





「では開始じゃ」


凄くさっくりと始まりました。



そして早速とんでくる魔法の雨あられ。

それから、色んな武器による特攻。


なので私たち3人を囲むように影で防御して物理攻撃は結界を硬くして防ぎ、魔法はポヨンと跳ね返しつつ、魔法を飛ばした相手にはそっくりそのまま狙いを定めてお返し。(プラス私の魔力を上乗せして強化済み)


私は魔法反射するときに自分の魔力で跳ね返すので多少は強化されるんです。

まぁ、微々たるモノですよ。

10が11になるとかそんな感じです。





そして周囲から聞こえる色んな声

にしても、先生たち含めてみんなしょぼいですね。












--セイ--

うわぁ・・。

じっくりとリアちゃんの戦う姿を見たのはこれが何気に初めてだけど、凄いわぁ・・。


例え、どの魔法もものすごくしょぼくても十や二十なんて生やさしい数の魔法がとんできてるのに全てを跳ね返してるし・・おまけに、撃った本人にそっくりそのままお返ししてる。

それと並行して物理攻撃してるのは結界を硬くしてサクッと防いでるのに加えて、ポヨンとその人たちも遠くへ吹っ飛ばし、飛んでくる魔法の餌食になる。

アレぞまさしくフレンドリーファイア。


そして聞こえる周囲からの驚きと悲鳴と絶叫。


けど、リアちゃんにとっては遊び相手にすらなってないみたい。

だって、リアちゃんって魔法を扱ってる時って敵がいたときと強いときはワイルドな笑みになってるのに、無表情とはいえ、くわーっとかわいくあくびをしながらだし。

相当相手がしょぼいんですね?

気持ちは分かるけど。



・・・てあれ?

「ねぇねぇユウ。」

「ん?」

「翠さんは?」

リアちゃんの頭の上に翠さんがいない。

「みてなかったの?」

「ユウはみたの?」

「リアの足下を見てごらんよ。」

「足下?・・・あ」

リアちゃんの足下に穴がある。


・・もしかして

「翠さん潜った?」

「みたい。」

「何のために?」

「さぁ?」

翠さん・・・なぜにこのタイミングで穴掘り?


地面の下から奇襲でもかけるのかな?




とか思っていると

{ユウちゃん、セイちゃん}

あ、リアちゃんからの念話だ。

仲良くなれないと念話が出来ないらしく、ここ数日で凄く仲良くなれたので念話でお話しが出来るようになりました。

・・私たちは念話ムリだけど、リアちゃんの声を聞こえるから凄く心が蕩けそうです。

既に半分くらい蕩けてるけど。



「どうしたの?」

{とっておきを見せてあげましょうか?}

「とっておき?」

{奥の手は見せませんけどね。}

とっておきは凄く気になる。

けど、それよりも上の奥の手があるの?

リアちゃんの奥の手って一体・・

「とっておき・・見せてくれるの?」

{これから見せる技はお母さんがあの二つ名になった所以でもありますよ。}

ペチュニアさんが流星姫と呼ばれるようになった技?


・・そう言えば、どうして流星姫って呼ばれるようになったかは知ってても代表的な技とかは知らないかも。

魔法の雨あられで周囲をめちゃくちゃにしたくらいしか聞いたことない。

リアちゃんの言い方だとペチュニアさんがよく使っていた十八番があるってことだよね?



「見せてほしいな。」

「セイ・・なんて怖いもの知らず。」

「ユウ何か言った?」

「いや・・僕も気になるからみたいなって。」

なんで微妙に遠い目をユウはしてるんだろ?


まぁいいや。


で、リアちゃんは何をしたかというと。





訓練場がリアちゃんの結界の中より外側が全て陥没した。

軽く4メートルほど。


おまけに空中にはえげつない数のリアちゃんの影の魔法が漂っており、それらはただの球体、水のようにうごめいている球体、矢、ヤリ、刃と様々な形になっていた。


ただ浮いているモノからものすごく回転しているモノもある。

しかも、石のように固そうなものから水のようにうごめいていたりとそれらも様々。





そしてリアちゃんはそれらの魔法を一気に地面にまとめて叩きつけた。

その瞬間大爆発が起こった。



それはもう盛大に。

アレを受けたらひとたまりもないなぁと思うほど。

リアちゃんの結界はそんなのではびくともしないとても強かったからこんなのんきなことが言えるんだけどね。



-おびただしい数、そしてあらゆる属性の魔法を宙から一斉に叩きつけて大爆発させるこの技が流星姫と言われるようになった所以だよ。-

「あ、翠さん」

私の足元から地面を掘り起こして出てきた。


・・あの、翠さんだからいいけど、スカートの真下・・というか、股の下から出てくるのはちょっと遠慮してほしいのですが・・。

で、とりあえず翠さんを抱っこして撫でまわしつつ

「あれの技が?」

-そうだよ。-

・・うん、確かにすごい。

それと、あんな技が十八番になってるのに加えて自らトラブルに特攻して、どんな相手もねじ伏せる。


・・・うん、憧れの象徴だというのと同時に裏社会とか言われる方面からは死神扱いされたり災厄扱いされてもおかしくないかも。


納得しました。

・・・・実はリアちゃんも恐怖の代名詞になりつつあったりするらしいんだよなぁ。

まぁ、悪心狩りはほとんど趣味みたいな状態になってるからおかしくないか。





「それで、翠さんは何してたの?」

-落とし穴だよ。-

「え?あぁ・・この陥没は翠さんが?」

-一瞬でも隙を作れるし、行動範囲を制限させるにもちょうどいいでしょ?-

「確かに」

逃げ回るにも周囲は取り囲まれてるし、逃げようとしてもどうしても隙ができる。

おまけに、いきなり地面が陥没するんだから驚いたりして隙ができる・・ホント戦い慣れてるわぁ。


-腕とか脚を切り落としていいならリアの触手に私を纏わせて【溶解】したけど、ダメなんでしょ?-

リアちゃんの触手・・あぁ・・・あの十数本くらい出して中距離攻撃してたアレね。

アレに翠さんの【溶解】がプラスされる・・・・。




・・・・・


恐怖だわ。

ただでさえオールマイティでとことん敵を倒すための技が豊富なのにそこに翠さんの【溶解】が追加されたら悪夢だよ。


おまけにそこにシャスティさんとカルナさん、ハディさんが追加されるんだね?

場合によってはラウさんとかリカルさんとかバレクさんとかが増えるんだね?


・・確かに勝てる気がしないわ。






で、リアちゃんの攻撃に耐えられる人は誰もおらず、宙から降り注ぐ魔法の雨あられを偶然回避できても着弾後に大爆発してそれに巻き込まれてたので全員逃げられず。

おまけに地面は数メートルほど陥没してるから衝撃とかもとにかくダイレクトに周囲にまき散らされる。


そんな大騒動な入学式は終わりました。




その後は、おじいちゃんの

「やはり、赤子の手をひねるよりも容易かったか。ほっほっほ皆帰って良いぞ。怪我とかは新入生はそこらの観客からしてもらえ。職員は知らぬ。自腹きってどうにかしろ。」

という言葉を吐いた後さっさと帰っていきました。



私とユウはどこか楽しそうに眺めてたネルさんに寮を1部屋借りることが出来ました。


で、やらかした本人であるリアちゃんはバレクさんが颯爽と現れてリアちゃんを肩車してそのままラウさんたちとともに帰っていきました。




・・・うん、ぶれない人たちだね。

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