遠征-その2-
ノクスさんたちとの遠征2日目
朝起きて、準備運動を済ませ、軽く体をきれいにしてから身支度を整えて朝ご飯を食べてから出発です。
ちなみにお風呂はなかったので、基本的に濡らしたタオルで体を拭くのですが、しれっと私とセイちゃん、ユウちゃんは翠ちゃんにお願いして全身の汚れを【溶解】してもらいました。
毛穴の中の汚れとかも徹底的に吸い出してくれるので凄いきれいになりますしすっきりします。
おまけに凄い気持ちが良いんです。
セイちゃんが気持ち良すぎて腰が抜けて色っぽくなるほどです。
まぁ、それを見たユウちゃんがなぜか中屈みになったのは疑問になりましたけど、教えてくれませんでした。
それどころか全力で逃げられました。
けど、セイちゃんはそんなユウちゃんをみてなぜか顔を赤くしつつも物足りなさそうな表情になってました。
ちなみにその理由も教えてもらえず、撫で回されました。
ついでに、朝ご飯をお腹いっぱい食べてると全員が驚いた顔になってましたがスルーしました。
「昨日のペースからするとおそらく本日の昼前には現地に到着すると思う。」
「分かりました。」
「道中も昨日同様お任せ下さい!」
「あぁ、よろしく頼むな。だが、ムリはするなよ?」
「はい!」
「はい」
(コクリ)
そんなわけで、出発です。
で、移動中
影さんたちを数人手のひらサイズで出してみたところ、セイちゃんがかわいいと言って愛でてます。
そして、不思議そうに手のひらにのせてるユウちゃんと、何か考えてる表情になってるノクスさん。
「フリージア。ちょっと質問良いだろうか?」
(コクリ)
「この個体・・影さんか?彼らは、フリージアと感覚を共有しているんだったな?」
(コクリ)
「と言うことは、彼らを個別に各地へ移動させるとフリージアはその箇所すべてを把握できるということで間違いないか?」
(コクリ)
「ふむ・・」
「ノクスさんどうしたんですか?」
「あぁ・・フリージア。君の悪心撃滅体質・・これは、影たちを経由しても発揮されるか?」
んー
-おそらくされると思います。元々影さんたちは私の意識と言いますか魂と言いますか、それを一部一時的に切り離して私の魔法に仮の人格として植え付けているだけですし、私には絶対忠誠なので-
「影さんたちの意識ってそういうことだったんだ。」
「ゴーレムに疑似人格を植え付けるときは大体そんな感じらしいよ?」
「そういうものなの?」
「うん。じゃないと自分が作ったゴーレムに裏切られるような自我が産まれたら大変だし、それただの魔法じゃないでしょ?」
「確かに」
「そうか。・・では、1つ提案を良いだろうか?」
-私にできることであれば。-
「助かる。その前にもう1つ教えてほしい。」
(コクリ)
「フリージアの扱う魔法を影たちが個別に扱うことは可能か?」
-一部であれば可能です-
「一部というのは?」
-影さんたちを形どる魔法を変形させることは自由自在ですが、私の遠距離攻撃のような攻撃は無理です。それは、自分の体の一部を切り離すという行為になるので-
「なるほど。つまりは、今の人型から動物の姿や、ものにまとわりつくような・・翠のようなゲル種のように自由に形を変えることはできるということなんだな?」
(コクリ)
そこまでしたことはないですけど、感覚的にそのくらいならできるはずです。
元々、影さんたちを扱ってる魔法は人型限定とは書かれてませんし。
「では、フリージア。頼みたいことというのはな・・俺たち全員に1人ずつ影たちをつけてほしい。そして、それぞれの個体が悪心撃滅の体質を利用して近くにいる敵を感知してその方角を教えてほしい。場合によっては、姿を変えたりしてサポートをしてくれると助かる。」
なるほど。
つまりは、敵を1人も逃がさず仕留める体質である私の悪心撃滅を利用して感知の一種として扱い、近くにいないか常に確認し、騎士さんたちが退治。
場合によっては、陰さんたちで防御したり魔法を反射したりしてサポートしてあげてということですね。
-人数が多いので、今出している手のひらサイズになりますがよろしいですか?-
「あぁ、十分だ。」
-では、私からも提案よろしいですか?-
「あぁ。何でも言ってくれ。」
-騎士さんたち、ノクスさん、シャスティ、ハディちゃん、カルナ、ユウちゃんは均等になるように対象の森をぐるりと囲うように配置。そして、だんだん中央である頂上へ集まっていく形で移動しながら敵を殲滅。その時、ノクスさん、シャスティ、カルナ、ハディちゃん、ユウちゃんは騎士さんたちの間で均等になるようにいてください。シャスティ、カルナは大きくなってください。カルナの場合は、上空からのサポートとなるので少々異なると思いますが。-
「承知した。皆もいいな?」
騎士さんたちは全員強くうなづく。
「わかった。」
「にゃう(かしこまりました)」
「ニャー(了解)」
「頑張るね。」
-セイちゃん、質問です-
「何?」
-セイちゃんは回復は得意でしたよね?あと感覚などの強化も-
「できるよ?」
-それは、遠くにいてもできますか?-
「相手がどこにいるかしっかり把握できれば出来ると思う。」
-では、私の感覚をセイちゃんが知ることはできますか?-
「つまり、リアちゃんが感知して見えて、感じている部分を私も知るように‥つまりは感覚の共有はできる?ってこと?」
(コクリ)
「うん、ちょっと条件があるけど、リアちゃんなら大丈夫。互いの信頼関係が必要だし、それなりに近くにいて接触しておく必要があるから」
-かしこまりました。では、セイちゃんは私と感覚を共有して影さんたちを経由して皆さんの治療や、五感の強化などのサポートをお願いします-
「わかったわ。」
-翠ちゃん。私も影さんたちの操作に集中し、セイちゃんも同じく無防備になります。その間、守ってくれますか?-
-任せて。守るよ-
「翠さん、お願いします」
-みんなの中で一番お姉さんなんだから任せて。-
「頼りにしてます。お姉ちゃん」
-任せてー-
-とかってに、指示を出してますが、ノクスさんいかがですか?-
「全く問題ない。シャスティたちは皆強いことも知っているし、そんな彼らを俺含め均等に周囲に配置することには強く賛同する。彼らであれば多少距離が離れていてもサポートは容易だろう。それに、俺の部下たちも君たちのおかげでずいぶんと鍛えられている。それに、影たちのサポートもある故、ちょっとやそっとじゃ問題ない。それに、セイの回復や治癒もあるからな。それに、森を囲うことに関しても敵を逃がさないという部分としては強く同意する。おまけにフリージアの1人も逃がさないある意味絶対的な感知があるからな。取りこぼしもないだろう。それと、そんな最も大事なかなめ部分は翠がいる。おそらくだが、翠が最も君たちの中で強いんだろう?」
「あぁ、よくわかったな?」
「カルナと違って声は発せずとも文字を学び、こうやってやり取りができる。さらに、これほどの魔力量だ。後は、俺の長年の勘だな。」
-やる気がないからしないだけだよ。リアの敵になれば問答無用で国の1つや2つは落とすからね?-
「あぁ、承知している。そうならないように俺は俺の正義を貫こうとしよう。」
-そこそこ信頼してるんだからね。-
「あぁ、その期待に応えよう。」
「作戦が決まったのは良いが、騎士たちとの通信はどうするんだ?」
「それに関しては、ハンドシグナルを俺たちは決めている故問題ない。フリージアか、誰かが俺たち騎士の1人に伝えてくれれば伝わる。それなりの距離があろうとも問題ない。」
「さすが。クラリティ王国最強。」
「やめてくれ。俺は最強と思ったことはない。」
「向上心はさすがだな。俺は良いと思うな、そういうの。」
「そうか。」
どこか楽しそうに笑うノクスさん。
「慢心こそが最も恐ろしいものだと俺は思っているからな。」
「確かにな。そのちょっとした油断1つで命を落とすからな・・」
「あぁ。だから俺は絶えず満足せず、常に上を目指し続ける。作戦決行は何時にする?おそらく、一度作戦を開始すれば休憩などほとんどなしで動き続けることになるだろう?俺たちは問題ないが、ユウたちは大丈夫か?」
「は、はい・・セイの魔法でごまかし続ければ1日2日程度なら・・その分後で疲れがすっごいですけど。」
「セイ、そうなのか?」
「はい。治癒魔法の一種で体力を無理やり回復させたり、疲れを感じる部分を鈍くさせたりできます。あまりそれに頼るとその効果が切れた直後に疲れなどが一気に襲い掛かってくるので多用はあまりできませんが。」
「わかった。俺たち騎士は、作戦次第では3~4日続けて戦い続けることも多いから慣れているが、君たちはまだ子供だ・・あまり無理はさせたくない。そういうことだ。大人の強さを見せるところだ。いいな?」
「はい!」
「任せてください!」
「日ごろの訓練を発揮しますよ!」
「その心意気やよし!その分、今日は早いうちに休むとしよう。」
あ、それなら
{翠ちゃん}
-りょーかい。じゃあ、騎士さんたちはこれをそれぞれあげるね。-
小さな巾着袋です。
それを、人数分全員に1人1袋渡します。
「これは・・シャスティの団子か。」
中には、全部で20個ほど入ってます。
以前、ノクスさんには渡したことがあったので覚えてたようです。
-あれからシャスティが改良を重ねて、体力回復をメインに栄養もさらに満点にしてます。ですので、最低限のたしにはなるかと。-
「あぁ、十分だ。後は、研究者たちが作ってくれた魔力回復用のドリンクを全員に渡しておく。」
翠ちゃんが言うには、試験管っぽい形の容器に入ってます。
「まずくはないが、うまくもないから何とも言えないらしいが、効果は抜群だ。魔力回復を促進させるものを多く調合したらしい。」
なるほど。
これなら、体力と魔力、そして栄養もそれなりにとれますね。
ちなみに、目的地に到着し、野営の時に、全員に1個ずつシャスティ団子(騎士さんたち命名)を配ってみんなで食べました。
騎士さんたちはどこか楽しそうに食べ、セイちゃんやユウちゃんは
「なんか面白い。お野菜や果物をまとめて味で感じるのにすごく味は好きかも」
「ホント。けど、下手な栄養とるための調合薬よりもずっといいよ。すごく体になじむ感覚がある。」
「あぁ、わかる。喉乾いたときに飲む飲み物が、飲み物次第では体にしみこんでいくのとそうじゃなくて体の奥にただ流れていくだけって感覚があるわよね。あの違いよね?」
「そうそう。その感覚って、体が喜んでる証拠だからなんとなくだけど心地が良いんだよね。」
「ねー。」
とても興味深い解説をしてくれました。
シャスティも頷きながら、今後のためになるようにと聞き耳を立ててます。
「本当に君たちを呼んで助かった。これほどのものを用意してくれたんだ。しかも、チームメンバーがいたりつくせりだ。」
「こういったらあれですけど、僕もセイも地元ではちょっと疎遠だったんですよね・・。家族や、知り合いとかは別ですけど。」
「そうなのか?かなり優秀故にそれなりに人も集まると思っていたが?」
「えぇ・・けど、集まるのは下心のある連中ばかりでした。私の場合は治療関係だったので平和的でしたけど、ユウの場合は剣の技術だったので、その力を狙うあほがいたり、遠距離の攻撃がほとんどできないから、それを馬鹿にする連中ばかりでした。・・遠距離攻撃が出来なくても剣の技術はすごいのに。」
「セイの言う通りです。それに、セイも回復などの治療はできても攻撃が棒術などのものしかできなかったので、それを馬鹿にする奴らもいました。家族も知り合いも皆、怒ってくれましたし慰めてくれました。そうするうちに僕たちは仲のいい人たちが知り合い以外にいなくなりました。」
「だから、私たち故郷を飛び出したんです。10歳になればクラリティ王国の学園に通うことは家族が決めてくれたのでそのための勉強をしながら実践形式であちこちをまわりながらお金を稼いだりして。」
「家族も知り合いもみんな笑顔で送り出してくれました。次に会うときには立派に成長して周囲の連中を黙らせるくらいになろうって誓って。」
「で、僕たちみたいな同じ境遇の子がいれば助けたいと思ったし、そんな見た目や技術だけで馬鹿にするような連中がいなくなるように世界中の認識を変えたかった。」
「だから、学園にそのメンバーを探し、自身の実力を高めるために来たんだな?」
「はい。そして、リアに出会いました。」
「たぶん私たちよりもずっと大変な目にあったのに私たちよりも強かった。実際の実力も心も。私たちはそんなリアちゃんの魂の輝きを学びたかった。それに、リアちゃんの支えにもなりたかった。」
-私の支えですか?-
「うん。リアの周りには優しい人たちも獣魔たちもいる。けど、同い年の子がいないでしょ?」
(コクリ)
「子供同士じゃないとわからない苦労もあるから・・少しでも助けになりたかったんだ。友達・・だからね。」
「リアちゃんだけなんだよ。私たちが心の底から楽しいって・・そばにいたいって思ったのは。」
-私もそうですよ。-
「リアちゃん?」
-はじめは、友達は必要ないと思ってました。学園に通うのも、私と同じ境遇の子がいれば話をしてみたいと思っただけです。それと、学生にならなければ見えない世界があると聞き、その世界を知りたかった。私は色んなことが知りたい。いろんなことを学びたい。たくさん学んで、たくさん強くなって・・命がけで産んでくれたお母さんにふさわしい娘でありたいと思ったので・・それが、唯一お母さんへできる恩返しですので。-
「すごくいいと思う。」
「そのお母さんも喜んでくれるよきっと。」
「そう・・だな。彼女は確かに体が弱かった。だが、誰よりもまっすぐで誰よりも強かった。彼女の心の強さに皆が惹かれ、あらゆる悪事を暴き、悪を滅した。誰もが一歩引いていたのに彼女だけは前に進んで多くの人を助けた。自分自身のことは後回しにして。」
「ノクスの言うとおりだ・・あの人は誰よりも他人想いで、誰よりも他人の心の傷を気にしていた。じゃないと、あんな大陸全土を大騒ぎにさせたあの事件なんか起こすか。」
「あぁアレか。今でも覚えている。あの事件が俺にとっては今の俺を形どるきっかけだった。」
「そうなのか?」
「あぁ、彼女のまっすぐな心と、どこまでも他人のために多くの敵にたった1人で立ち向かう強さにあこがれたんだ。あんな風に誰かのために戦える人間になりたいと思ったんだ。」
「ノクスさんのあこがれはリアのお母さんだったんですか?」
「あぁ。彼女に救われた人は数多くいるからな。そのうちの1人だ。」
「へぇー。カルナさん、その大陸全土の大事件って?」
「ん?あぁ、そうか。お前らはまだ生まれてなかったからな。実は十数年か、もうちょっと前にな?リアの母親は、違法奴隷を扱う奴らをたった1人で町1つ分潰したんだ。」
「1人で!?」
「すご。」
「で、その時に救ったのは人間だけじゃなかった。」
「どういうこと?」
「ギルドから強く指示されているはずであるゴブリンや、言葉を話す動物。とにかくいろんなのが違法的につかまってたんだ。」
「ひどい・・」
「普通なら、しゃべる動物が助けてと言っても手を差し伸べる人間は少数だ。例え助けたとしても金を出して買ってやるくらいだ。」
「うん・・・そのくらいしかしてあげられないかも。」
「それだけでも十分だ。でも、彼女はそんなことをせずにその言葉を聞いて激怒してその建物を丸ごと魔法で叩き潰して、檻を全て壊した。当然彼女を取り押させようとする人間がいたが、彼女はお構いないで全員叩き潰した。どんなに吐血しようとも彼女は戦い続けたんだ。そして、彼女の怒りは周囲で見ていた人間たちにも通じた。」
「今でも覚えている。俺は噂で聞いた程度だったが、1人の女性が大暴れし、それをきっかけに周囲で見ていた者たちが参加し、彼女を助けた。その騒動がきっかけで、国が動くことになった。その結果、彼女が潰した拠点以外にも多くの違法奴隷を扱う者たちや場所はあった。おまけにそれらは組織はものすごい数だった。だが、一度切れた彼女には、数なんて関係がなかった。すべての組織を1人残らず潰すまで戦い続けると即答し断言した。その心の強さに皆が惚れ、冒険者だろうが、露店のオヤジだろうがメイドでも執事でも騎士でも関係なく全員が立ち上がった。その騒動は国同士が連携していることと並行して彼らは独自のつながりを利用して国から国へ、町から町へと伝わり違法奴隷撤廃運動が開始した。結果として大陸全土でそのやり取りが続き。最終的に文字通り殲滅が完了したんだ。」
「すごい・・ホントにやり切ったんだ。」
「それで、彼女は大丈夫だったんですか?かなり無茶してたように聞こえたんですけど。」
「当然その場でぶっ倒れたらしい。倒れるまで頑張り続ける姿を見て余計に周囲のメンツは彼女のために頑張りたいと思ったらしいけどな。その後は教会の連中がかなり必死で看病してどうにか救えた。」
「よかった・・。」
「当然、彼女の功績を称えようという声は上がったが、彼女はそのすべてを断った。」
「え!?」
「規模を考えると貴族になる程度のレベルじゃないわよね!?」
「あぁ。それほどだったからな。だが、彼女はその報酬で被害者を幸せにしてほしいと願った。彼女自身は看病してもらって、今命があるだけで十分と即答したらしい。」
「すごい・・」
「ホントすごいよ。で、彼女の願いは聞き届けられ、報酬として用意していた金で被害者たちを看病したり、後見人となったり、結婚してそばにいたいと願った人たちのもとに行くまでしっかりと預かることになった。そして、彼女を崇拝する宗教もどきが増えた。」
「あぁ・・それは当然だよね。」
「私も被害者だったらそうなる。」
「けど、そんなことまでしたんなら、リアちゃんのお母さんってかなり有名人じゃないの?」
「あぁ、有名人だぞ?ほんとに彼女そっくりだからな。リアの見た目は。な、ノクスさん」
「あぁ、本当にそっくりだ。ただ、かなりフリージアがおとなしいゆえに思い出すまでに時間がかかったが。」
「えぇ・・わかんない。」
「どうしても知りたいか?」
「うん!」
「お墓参りもさせてくれるんだもん。知っておきたい。」
「じゃあ、誰にも言わないことを誓うか?」
「うん・・けど、なんで?」
「知られたらその崇拝者もどきが集まってくるんだよ・・今でも十分似たようなのが多いっていうのに。」
「わかった。誓う」
「同じく」
「だが、そのまま伝えても面白くないから。ヒントな。リア、良いか?」
(コクリ)
私は、お母さんの写真を見せる。
「見せてくれるの?・・わぁ、すっごい美人。」
「ホント・・ホントにリアにそっくり。・・・・・ん?」
「ユウどうしたの?」
「ねぇ・・リアのお母さんって聞いた内容を纏めると騒ぎに自ら突進して、吐血して、魔法の雨あられで各地をボロボロにして、敵という敵を片っ端から叩き潰したすごい人ってことだよね?」
「そうだな。」
「それに、この黒い髪・・扱う魔法は4種類・・・・っ!」
「ユウ、わかったの?」
「ねぇ、セイ。」
「何?」
「リアの後見人であるバレクさんは、誰だった?」
「そりゃあ、フォルシェンさんだけど?」
「そのフォルシェンさんたちが住んでた場所は?」
「確か、流星の里・・っ!!」
「わかった?」
「え?え?え!?」
嘘!?という顔で私を見るセイちゃん
-改めまして、フリージア・エトワールです。ペチュニア・エトワールの娘です。-
「~~っ!!」
「流星姫様の娘だったんだ・・。すごく納得した。」
「そうだよ・・なんでわからなかったの私!?あれほど憧れで、目標だった人だったのに!!美人でスタイル良くって魔法がすごく上手で、正義の味方!!」
「・・て、ことは流星姫様って、リアを産んだ時に?」
-私を産まないということもできましたし、進めた人もいたと思います。それでも、産むと決めてくれて産んでくれました。難産だったそうですが、お母さんはすごく満足そうだったそうです。-
「そっか・・そりゃそうだよ。リアがあれほどお母さんにふさわしくありたいっていう理由・・それだけすごい人だったらそりゃそうなるよ。」
「俺も同意見だ。だから、彼女のことを知っているメンツは口にはせずとも彼女に出来なかった分をフリージアへ代わりとしてお礼をしているんだ。」
「なるほど。すごく納得しました。」
「よし、明日も早い。とりあえず休もう」
そして、私たちは休みました。
その後は、特に誰も何も言いませんでしたが、それは私に負担をかけないようにするためのすごくさりげない優しさでした。
私はそれに気づいてましたけどあえて何も言いませんでした。
言ってしまえばその気遣いを無駄にしてしまいますから。
翌朝、身支度を整え、準備運動を済ませ、朝ご飯を食べた後にシャスティ団子を食べた後に作戦開始のために各地へ移動し始めました。
そして、シャスティとカルナが巨大化
それを見たセイちゃんはなぜかとても楽しそうにシャスティに抱きついてモフモフしており、ユウちゃんはカルナを撫でてる。
ノクスさんは興味深いという感じでカルナを撫でてる。
シャスティはしょっちゅう巨大化してますが、カルナは滅多におっきくなりませんからね。
そして、ユウちゃんとノクスさんはカルナとシャスティのそれぞれの背中に乗って配置場所へ移動。
それと同時に二人には私の影さんたちを騎士さんたちに配ってもらうために全力疾走してもらいました。
その間に、私、セイちゃん、ラナちゃん、翠ちゃんはこの森の近くで1箇所だけ小さな洞穴を見つけ、中に入ると天井のない開けた場所で、周囲を硬い岩や土で覆われた場所に出ましたが、そこにはほんのりと暖かな魔力を帯びた苗木が見つかり、そこにとどまることになりました。
どうやら、この木は若い精霊樹だったようです。
これは、ありがたいですね。
私の精霊樹の巫女の力でこの森一帯の状況を細かく把握出来ます。
「翠さん、この苗木・・凄く温かい魔力を感じるけど・・何なのか知ってる?」
-これは、精霊樹だよ。-
「え!?本でちょっとだけ読んだことがある。植物が精霊になったとても貴重な存在だって。」
-そうだよ。基本的に精霊樹がある森は、多くの善の心を持つ生き物が集まりやすいんだ。それと、その森にとっては主となる存在なんだよ。-
「そうなんだ。それと、私たちがここにとどまることになった理由って関係あるの?」
-リアは、ちょっと特殊だから精霊樹に祈るとこの森一帯の状況を木々を通して知ることが出来るんだ。-
「すごい・・リアちゃん何でも出来るんだね。」
-何でもは出来ません。人より出来ることが少し多いだけです。-
-リアは色んなのに愛されてるからね-
「あぁ・・凄い納得する。けど、この精霊樹さんが立派に育つためにも悪は退治しないとね。」
(コクリ)
「じゃあ、行くよ?」
(コクリ)
セイちゃんが私に後ろから抱きつき、おでこを私のうなじ部分に押し当てる。
そして、ふんわりとセイちゃんの魔力が流れ込んできました。
これが、感覚を共有する時の感覚なんですね。
確かにこの感じだと、私と仲良くなければ出来ませんね。
おそらくは拒否してしまうとこれはあっさりと霧散して感覚共有は失敗しちゃうんでしょう。
「オッケーつながったよ。後はリアちゃんが思うようにしてもらって大丈夫。」
(コクリ)
-翠ちゃんお願いしますね-
「お願いします」
-まかせて-
私は、精霊樹へ祈りを捧げながらその場で座り込み、この森一帯の状況を把握する。
そして、瞳をとじて影さんたちへと意識を集中させる。
うん。
騎士さんたちにシャスティたち、それとユウちゃんみんな無事に到着しましたね。
私は影さんたちを通じて全員に準備開始の合図を出します。
すると、影さんに各自準備完了の合図が出ました。
そして、セイちゃんも頷きます。
それから、影さんたちを通じて周囲に悪心を持つ者たちがいることを感じます。
大丈夫ですね。
しっかり指示も出せそうですし、影さんたちの姿を自由に変形させることも硬さも魔法の反射なども問題なさそうです。
けどこれは、今のように操作に集中したとき限定のようですね。
では、
悪心撃滅大作戦開始です。
次回は1月1日です。
今年も皆様には大変お世話になりました。
来年もマイペースによろしくお願い致します。