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遠征-その1-

ノクスさんからの指名依頼によって5日間遠征に行くことになりました。

翠ちゃんによるいっぱい荷物を持てるということと、セイちゃんの回復や治癒の魔法をメインに騎士さんたちへ良い意味で刺激する為という理由で同行することになりました。



「お?クテン様珍しいね。こんな朝早くにお出かけかい?」

セイちゃんもユウちゃんもノクスさんと同じく国の門前で待ち合わせになっているのです。

で、通りすがりの露店のおじさんや果物屋さんやお野菜屋さんのおばさんたちにそんな言葉を投げかけられてます。

まぁ、正しくは1人が聞いて他の人が耳を傾けてる感じですが。

-本日より5日間ほどノクスさんからの指名依頼で友人2人と遠征に同行することになったんです。-

「さすがクテン様だね。騎士団長様直々の指名依頼かい。」

「友達二人・・あぁ、昨日一緒にいた子たちか。」

「かわいい女の子たちだったね。」

早速女の子扱いされてましたユウちゃん。

-ユウちゃん・・剣を持った子は男の子ですよ?凄くかわいいですけど。-

「あらま!そうだったのかい!?」

「・・気づかなかったな」

「女の子に間違えたのはその子に内緒な?俺等のルートでも間違えないように言っておくから。」

-お願いします。-

「なら、頑張ってくれな。」

「クテン様なら大丈夫と思ってるけど、命は大事にするんだぜ?」

(コクリ)

「これ、餞別だ。お友達と食べな。」

「なら、家からも持っていきな。」

で、いつも通りお金を出そうとしたら

「お金はいらないよ。あたしらのおごりさね。」

-ありがとうございます。行ってきます-

「行ってらっしゃい。」

「気をつけてなぁ。」


という感じで、お野菜だの果物だの干し肉だのパンだのと色んな食べ物をたっぷりと頂きました。


・・ついでに、串に刺さったお肉やお野菜類も頂いたので食べながら目的地へ行きました。







「リア、集合時間15分前。ぴったりだね。・・・時間は関係ないんだね。」

「だね。早速餌付けされてるよこの子・・おはよー」

-おはようございます。応援ついでに頂きました。-

「あ、僕らの分もあったんだ・・ありがと。」

「ありがとー、うぅん♪おいしい。」

「ホントおいしい。今度お礼言っておかないとね。」

「お礼を言うよりも、また買いに行った方が喜ぶんじゃない?リアちゃんと」

「そうだね。」


「俺が最後か。遅くなって済まない。」

「いえ。待ち遠しくて早とちりしちゃっただけですから。リアは時間通りって感じでしたけど。」

「体がうずうずして待てませんでした。おはようございます」

-おはようございます。早速餌付けされました。食べますか?いっぱいありますよ?-

「おはよう。そうか、頂こう。」

ちなみに騎士さんたちは全員で15人でした。


で、おじさんやおばさんたちはホントにたっぷりくれたのでなぜか騎士さんたちに串たちを1本ずつ渡しても余裕があると言う事態に。


騎士さんたちはうれしそうに食べてました。

串は、翠ちゃんが【溶解】して処分したのでゴミのポイ捨てはありません。


「翠には、何から何まで世話になりそうだ。」

-気にしないでいいよー-

ちなみに、今回運ぶ予定の荷物や食料、予備の武器、防具類、薬草に調合薬関係と言った回復や治療用のアイテム類などの大量のモノは既に翠ちゃんが回収済みです。

それと追加で、私は食料いっぱいと薬草や調合薬などもたっぷりと別で用意しています。

セイちゃんたちも一応用意してたらしいのでそれも預かってますよ。

何があるか分からないから一応準備したんだそうです。





「よし、では人数も揃ったようだ。早速進もう。」

屋根のないタイプの馬車が4台。

そんな中で私とセイちゃん、ユウちゃんはハディちゃんの背中に乗って並走してます。

と言うのも、ハディちゃんを乗せることが出来る馬車じゃなかったからです。

やっぱり、ブレインズホークのお兄さんたちの馬車が凄かっただけのようです。

・・とにかく運ぶことに関しては実はあの国でもトップレベルだったりするんですよね・・あのお兄さんたち。

ランクはAからB辺りで本人たちは平均よりちょい上程度にしか思ってませんけど。





「申し訳ない。」

-気にしないで下さい。ハディちゃんは走るのも好きですから。-

「そう言ってもらえて助かる。それに2人は楽しそうだな。」

どこか微笑ましそうにセイちゃんとユウちゃんをみてるノクスさん。

ちなみに、ハディちゃんに軽くするシールを貼って乗ってもらうことも出来たんですけど、ハディちゃんが走りたいと言ってたので走ってもらってます。


「ヤッホォー!!」

「あはは!速い速い!!」

すっごい楽しそうです。

ハディちゃんは普通にお馬さんの倍の速度を出せたりするので馬車と並走するなんて朝飯前です。

おまけに体力もパワーも何倍もありますからね。


過去に、騎士さん10人をまとめて尻尾で振り回してましたし。



「それで、保護者グループは大丈夫だったか?」

-大丈夫でした。本人たちも子離れ?は、一応考えてたらしいです。-

今回の5日間をきっかけに、リカルさんは町中の絵を描くことに専念したり、兄さんはお城でのお仕事を多めにこなしたり、おじいさまはブレインズホークのお兄さんたちの特訓をしながら依頼を一緒にこなしたりとするらしいです。


「そうか、一応考えてたか・・良かった。」

-ノクスさんはお兄ちゃんみたいですね。凄く優しいです。-

「・・・」

なぜか無言になって顔を背けられました。

なぜでしょう?

頼りがいがあって素敵だと言っただけなのに。


おや?

よくよくみればお顔がちょっと赤いです?

「はぁ・・リア。それ以上ノクスさんに追及してやるな。ほっといてやれ」

(?・・コクリ)

「たく・・この天然娘は。」

(?)

カルナの言っていることがよく分かりませんけど、まぁ良いですね。





「そういえば、今回の遠征の目的って何かあるんですか?」

一通りはしゃいで落ち着いたユウちゃんが顔を赤くしつつもノクスさんへ質問を投げる。

現在はお昼休憩中です。

ちなみに、セイちゃんはお顔を真っ赤にして私に抱きついてお顔を私のおっぱいに埋めてます。

姉さんたちみたいにおっきくないので申し訳ないですので、とりあえず抱きしめてあげながら頭を撫でてあげてます。

恥ずかしくてたまらないという感じっぽいですが、お顔をぐりぐりとこすりつけて、ふんふんと匂いをかいでるので、とりあえず好きにさせてます。

冗談半分で、私の匂いはどうですか?と聞いてみたところ、

「ささやかに薫るお花の香りと女の子の匂いがたまりません。」

だそうです。

ついでに、おっぱいが小さくて抱き心地はあまり良くないのでは?とついでに聞いてみたところ

「美少女のおっぱいは、サイズ関係なく萌え萌えです。」

とのことです。

よく分かりませんけど、幸せそうでした。


後、ユウちゃんに同じことをしてあげましょうか?と聞いてみましたが、なぜか顔を赤くして速攻で遠慮されました。

なぜ?

ついでに、私よりセイちゃんが良いですか?と聞いてみたところ、頷きかけたけどすぐにそっぽ向かれました。




「うむ。今回の遠征は、これから向かう先の森一帯にかなり大規模な犯罪者グループが潜んでいるらしくてな。それらの殲滅戦だ。」

「それって、ノクスさんが出るほどの規模なんですか?」

「らしい。強さはせいぜいB~Cランクほどだが、人数が桁違いに多いことと、隠れるのが巧妙らしくてな。故に、シャスティたちの力も借りたいと言うのも君たちを選んだ理由の1つだ。」

「リアちゃんは分かるんですけど、それなら戦力的に私やユウ以外にもいたのでは?」

「いや、俺の勘だが、今回の件は君たち2人が適しており、他の冒険者よりも優れていると感じた。それに、フリージアとの相性から考えても2人の方が良い。」

「そこまで私たちのことを・・」

「チームバランスも絆としての相性も良い。それに、俺自身がよく知る3人だ。選ばないはずがないだろう?」

「頑張ります!」

「同じく!」

「故に、目的の森に着くまでは魔物の退治がある程度でそれほど戦闘は多くないだろう。移動に1日はかかるからな。」

-到着としては、明日のお昼前後と考えても?-

「そのくらいだろうな。戦闘に3日間と長めに計算されている故に5日間だ。」

(コクリ)


「なんか、初めての依頼が思った以上に凄いことになってるけど、僕たちらしい気がする。」

「ね。頑張ろうね。何気にリアちゃんの実力にわくわくしてる。」

「それと、シャスティさんたちの実力も分かるしね。模擬戦と実戦はやっぱり違うモノ。」

「そうよね。・・ねぇ、リアちゃん。凄い今更だけど聞いて良い?」

-どうぞ?-

「リアちゃんの左腕って・・義手?」

(コクリ)

「やっぱりそうだったんだ。」

「握手したりしてたから気づいてたけど・・凄くよく出来てるよね。」

「うんうん。抱きついたり抱きしめてもらったりしてたから知ってたし、左腕だけ長手袋つけてて格好いいなぁとか思ってたから知ってたけど。」

「それ、どうしたの?」

-通りすがりの巨大なわんこに左腕を食べられてなくなり、どこぞのお城で壁の中に隠れていた悪い人がいたので気の向くままにボコボコにした結果王様を助けてたらしく、そのお礼にもらいました。-

「・・・・」

「・・・・」

(?)

「いやいやいや!かわいく首をかしげてる場合じゃないよ!?巨大なわんこに食われたって、それヤバイ相手だよね!?しかも、王様を結果的に助けたって、王様ガン無視!?気の向くままにボコったって・・え!?・・・・て、セイは何でリアを抱きしめてるの。」

「だって、かわいいんだもん」

「それは分かるけど・・。」

「本人は気にしてないっぽいし、私たちが暴走しても・・ね?」

「それは分かるけどさ・・ツッコまずにはいられないよ。」

「私もそれは分かるけどね・・。」

(?)

「あぁ、もう。かわいいなぁ!」

その後、セイちゃんに抱きしめられながら撫で回されました。




-ユウちゃんは、そういえばいつもその穴あき手袋つけてますね。-

たしか、オープンフィンガー・グローブとか言われるモノだったはずです。

「まぁね。籠手代わりなんだ。これ自体に防御とかの魔法が掛かってるからね。」

なるほど。

「ユウの戦闘スタイル的に盾は使うと逆に動きが悪くなるし、籠手だと剣を振うのに支障が出るから結果としてこうなるのよ。」

そう言う理由だったんですね。





で、通りすがりに魔物がチラホラ出てきましたが、何気に実戦で使うのは初めてなシャスティの愛剣”黒月”を振いたくてたまらなかったシャスティと、実戦経験を積めというノクスさんからのアドバイスによりやる気満々のユウちゃんが率先してツッコんでいったのでほとんどやることがありませんでした。

まぁ、背後から迫る敵とか遠くから狙おうとした敵とかがいたので私が【射撃】で脳天を貫いてとどめを刺したり、ワザと攻撃の邪魔をする程度にとどめてユウちゃんの練習相手として生かしておいたり、逃げないように足止めしたりしてました。



それにしても、ユウちゃん強いですね。

シャスティはとても楽しそうにざっくざっくと敵を斬り刻みながら素速く移動してますが。

攻撃を避けては切り、避けては斬り、攻撃する前にキリッ!という感じです。


で、ユウちゃんは攻撃と攻撃の隙間をぬって素速く移動して相手の懐に滑り込んで急所を貫いてます。

動きに無駄がなくて凄いと思いました。

兄さんみたいな暗殺者タイプでもなく、ノクスさんのように力と技術を使った自身が動かずに戦うタイプでもなく、シャスティのように力とスピードで暴れ回るタイプでもない。

ユウちゃんは、純粋なまでに技術と相手の動きを見抜く分析力に長けてるんです。

おそらくユウちゃんは1対1と1体多の戦いでは1対1の方が得意なタイプだと思います。



それなら、私が1体多が得意なので私が雑魚をまとめて引きつけている内に大元をユウちゃんが倒すと考えると凄く良いと思います。

そこで、私が雑魚を引き受けながらサポートすればもっと良いですし。

おまけにセイちゃんがいるので怪我や状態異常の対処も出来ますし、すごく良いと思います。

後、セイちゃんはサポートの魔法として視力と言った五感を強化したり出来るらしいです。



「思ったけど、リアちゃんの魔法の技術が半端じゃない。」

(?)

「ホントに思った。あれほど的確に急所を狙ったのはホント凄かった。戦ってて凄く頼もしかったモノ。」

「後衛のエキスパートよね。」

「リアがいれば周りを気にせずに目の前の敵に集中出来るからね。」

「私も自分のことに集中出来るから凄くありがたい。」

-セイちゃんの五感の強化も凄いと思いますし、ユウちゃんの剣技は私がこれまでみてきた人たちとは全く違ったのですごく興味深いです。とても、頼もしい二人です。-

「そ、そうかな//」

「そっか。リアの周りのメンツって、大体がスピードタイプが多かったっけ?」

-暗殺者タイプと、シャスティです。後、最近ではノクスさん。-

「言われて見ればユウは、全く違うわね。」

「確かにそうだな。これほど剣を扱うモノが集まり、戦う術が大きく異なる者たちが集うのも珍しい。」

「ノクスさんもそう思いますか?」

「あぁ、それに君たちは努力を惜しまない。それはとても好ましい。・・それにしても、通りすがりはほとんど君たちにまかせきりのようになってしまって申し訳ない。」

「いえ!気にしないで下さいよ。どっちかというと、僕が我慢出来ずに特攻したようなモノなので。」

「そうですよ。依頼を受けたんですからとことんやりたかったんです。」

「そうか。では、お言葉に甘えよう。キツければ言ってくれ。今回の遠征の本題の方も難しければ参加せずとも共に同行してくれただけで十分だからな。」

「問題ありません。」

「私たち、クラリティ王国に来るまでに指名手配犯とかそれなりに潰してきたので。」

-私は、狩り慣れてるので。-

「そうか。特にフリージアの場合は、後見人があの人だから当然と言えば当然か。」

おじいさまたちの家族が嬉々として狩りまくってるのをやはり知ってるらしいです。




「それにしても、これほど道中が楽なのは久方ぶりだ。」

「そうなんですか?」

「あぁ。荷物を入れるためだけの馬車を用意したり交代制で通りすがりの魔物狩り、そして本題を倒し、野営の配置や交代グループなど、色々と多いのだ。だが、今回は荷物は翠がいる。おまけに、君たちが嬉々として通りすがりの分は倒してくれるし、ある程度の察知や野営もフリージアの獣魔たちがいるからな。俺たちも対処はしているが普段以上に安心感が多い。」

「そう言ってもらえてうれしいです。」

「もっと頼って下さい。出来る限り私たち、頑張りますから。」

(コクリ)

「あぁ、期待する。その分報酬は期待してくれ。」

報酬に関しては気にせずともこの5日間の経験とご飯代とかだけでも十分だったけれど、ノクスさんはとても幸せそうだったので私たちは素直に頑張りますと返事をしました。




「けど、個人的にはまだリアの十八番を見せてもらってないからなぁ。」

「あぁ。確かにそうね。・・そもそも、そんな必要が出てくるような状況にならないしね。」

「あぁ・・主に潰してるのは僕とシャスティさんか・・。」

-私の十八番ですか?-

「そうそう。魔法の反射もだけど、得意なのは防御なんでしょ?」

(コクリ)

「それを実戦で見たいって言ってたのよ。」

「あぁ・・多分、現地に到着すれば嫌でも見れると思うぞ?」

「カルナさんどういうこと?」

「あぁ・・・リア、いいか?」

言っても良いかと?

良いですよ?

(コクリ)

「リアの体質が問題でなぁ・・」

「リアの体質?」

「何かあるの?」

「リアは・・悪心撃滅体質なんだよ。」

「悪心撃滅・・それ、文字通りの意味って考えても良いの?」

「あぁ。」

「想像出来ない・・。リアちゃんっておとなしくて的確なサポートだから、率先して敵を潰して回るなんて・・。」

「けど、敵を1体も逃がさないようにしてたのは確かだよ?」

「う・・うぅん・・・。」



するとそこで私が何か感知する。

「リア、どうしたの?」

ユウちゃんが心配してくれるけどスルー。


今休憩している目的地の隣の森の途中にいますがその森の中です。

そっちから感じます。


この、何もかも潰したくてたまらないこの感じ。


にぃぃぃっとどう猛な笑みを浮かべ始める私をみて全員がぎょっとしつつもスルーして立ち上がり

{シャスティ}

「にゃう(お供致します)」

と巨大化してくれたので私は背中に飛び乗る。


そして、目的地の方向を指さすと

「グォォォォォオオオ!!!!!」

シャスティの咆吼が響き渡り、私はそのまま目的地へ特攻した。








--セイ--

いきなりリアちゃんがどう猛な笑みを浮かべて巨大化したシャスティさんの背に乗って走り去ってしまった。

慌ててハディさんの背中に乗せてもらってその先に走ってもらったら、そこにはとんでもない光景が広がってた。


・・どう猛な笑みを浮かべるリアちゃんもかわいいなと思ったのは余談。



で、

「ぎゃぁぁああ!!!」

「あぁあ!!」

「何で!!なんで魔法が効かないんだよ!!」

「嫌だぁぁあ!!」

「武器も駄目、魔法もこっちに戻ってくる・・もう何なんだよ・・あり得ねぇよ。」



指名手配犯と思われるグループがシャスティさんの背に乗って蹂躙するリアちゃんがいました。

触手?っぽい何かの形を魔法で作り、それでことごとく敵を切り裂き、杖を構えて逃げようとする相手の脳天を貫き、襲ってくる敵はガキン!!と言う音を立てて結界で防いだ直後にポヨンと跳ね返し、その隙に触手で切り裂き、更に飛んでくる魔法はポヨンと跳ね返っただけではなくきれいに放った敵に向かって速度を増して戻っていく。


「何これ・・・」

「すご・・」

「アレが魔鏡姫の代名詞か・・なるほど。予想以上だ・・それと、ラウが言っていた注意事項はこういうことだったか。」

「え?」

「リアの注意事項?」

「あぁ。ラウが言うには悪心を持つ相手には気をつけろと言っていただけだったんだが・・まさか、恐怖で動けなくなるとかではなく、特攻してたたきつぶす方だとは思わなかった。」

「ちなみに言うと、アレ、1人残らずとどめを刺すまで誰が何しても止まんないからな?」

「え・・」

「カルナさんたちでも?」

「ムリムリ。元々集中力が半端じゃないのに、アレは完全に敵を倒す以外は全て見えてない。ご丁寧に移動はシャスティがしてるし、リアの魔力量は半端じゃないし、魔力制御もかなり上手いから魔力の消費もかなり少ない・・つまりは。」

「1つや2つのグループごときではノンストップで殲滅も朝飯前と?」

「そういうことだ。」



・・・確かに見たいって言ったけどさ。

リアちゃん・・君予想以上だよ。

凄すぎるよ。

魔法反射もだけど、物理防御も凄いし、遠距離攻撃だけじゃなくて近距離用の魔法攻撃も出来たんだね。

魔法のバリエーションもだけど、それらを全て同時に行なってることを考えると戦闘慣れしてるとしか言い様がない。

アレは確かに1体多に向いていると言ってもおかしくないよ。


・・頑張ろう。

本気で頑張ろう。

じゃないと足手まといになる・・それどころか、ユウですらそうなる可能性がある。


・・・・・ん?

リアちゃんの瞳に何か違和感が・・・あれ?

何で魔方陣が・・・・・っ!!!




嘘・・・


「ユウ・・ユウ・・」

「どうしたの?」

私は慌てて小声でユウを呼ぶ。

「リアちゃんの瞳を見て・・」

「リアの?・・・っ!・・嘘。アレって・・」

「うん・・間違いないよね。」

「うん・・ついに見つけた。」

「見つけた・・」


「けど、どうするの?話すの?」

「いや・・まだその時じゃないよ。それに、今話して仲が微妙になったら嫌だし、もうちょっと様子見で」

「そうね・・。リアちゃんとは仲良くしてたいし」

ホントに心の底から思う。

リアちゃんとはもっと仲良くなりたい。

ユウもそうよ。

ユウは、ちょっと違うけど私は一応・・貴族になるわけだし、自分で言うのはアレだけどそこそこかわいいと思ってるから、色んな企みのアホ共しか集まってこなかった。

だから、こんなにも心安らかに過ごせて、実力も周囲と逸脱していた私たちと同等以上っていう最高の友達は、多分今後、どこを探しても見つからないと思ってる。

そして、ユウは私と違って貴族じゃないけど、かなり特殊な一族だから。

ユウは元々私の専属の護衛としてやってきた。

実力を伸ばすためと言うのもあるし、私は回復や治癒専門だから戦いは出来なかった。

と言うのもあるけど、私とユウは家族の・・いや、一族の使命のためにある人物を探している。

その繋がりもあって貴族と平民でありながらも私とユウは・・その家族柄でもよく知っている。


一応説明すると貴族は上から順に公爵、侯爵、伯爵、子爵、男爵と5つの爵位がある。

私の家は、侯爵になるわ。

ちなみに言うと、公爵は王族の血筋の人たちの中で王位を継がなかった場合になる爵位だからちょっとだけ特殊。

だから、純粋な貴族としては私のは最も上になるの。

一応私の家は、教会を影から支える一族なのよね。


・・そういえば、クラリティ王国には公爵がいなかったわね。

お父様の話では、あの国には王子様は2人、お姫様が1人だから王子様のどっちかが王位を継いで、後の2人がそのまま補佐として使える場合と公爵になる場合のどっちかだけど、多分その2人のどっちかは公爵になるのではないかという話しが出てるらしい。

お父様としては、王子様の片方だと言ってるらしいけど・・けど、町の噂では第一王子であるイリス様が圧倒的に人気が高く、現在のクラリティ王国の国王様もイリス様で決定という感じらしく、他の王子様お姫様のお二人もそのつもりらしい。



・・なんとなくだけど、そう簡単にいかない気がするのはどうしてかしら?


アレ?

そういえば、チラッと昔イリス様を拝見したことがあったけど、雰囲気とかは凄くリアちゃんに似てる気が・・。

アレ?

リアちゃんのお父さんってそういえば誰か知らないって言ってたわよね。

おまけにリアちゃんのお母さんはかなりの実力者で、どうやら昔、クラリティ王国でかなり活躍してたらしいから、騎士たちやメイドたちもよ~く知ってた。

・・・まさかね。





それにしても、リアちゃんが賢者だったなんて。

けど、納得するかも。

ちなみに、ノクスさんがぽつりとリアちゃんのお母さんはさっきのリアちゃんのどう猛な笑みを浮かべてた時の方が雰囲気がとても似ていたと言ってた。

・・あぁ・・なんとなく分かった気がする。



リアちゃんのお母さんって何者なんだろう?






--フリージア--

一通り潰してすっきりしました。

魔法でばっさばっさとなぎ倒している間にシャスティが尻尾で黒月を振り回すという文字通り蹂躙してました。

おまけにシャスティが動いてくれるので体力の心配をする必要はなく魔力もいっぱいありますし、ほとんど消費しないようにかなり最小限で使っていたのでちょっとやそっとじゃなくなりません。


「グルル(リア様、あれ以上はいないようです)」

-一通り回収して、死体とかは全部食べておいたよ。-

{ありがとうございます}


そして、満足したのでセイちゃんたちの元に戻ると

「リアちゃんの強さは分かった・・・すっごい分かったから・・お願いだから私とユウを見捨てないで下さい。」

となぜか懇願されました。

で、ノクスさんからは

「想像以上だった。フリージアとシャスティたちの総戦力と全力で戦うとなると、俺は正直勝つ自信があまりない。今後の目標も出来た。」

と、なぜか更に強くなる宣言されました。


「リア、手が空いたときに模擬戦をお願いしたいけど、殺さない程度に手加減して欲しいな。・・けど、いっぱい模擬戦はしたい。」

ユウちゃんからは、妙なお願いをされました。

-殺す気も腕とかをちょん切るつもりもありませんよ?限界ギリギリの見極めはしっかりしますので。-

「う、うん。よろしくね?」

なぜ、引きつった笑顔になったのでしょうか?



そしてなぜ騎士さんたちは私に向かってナムナムしてるんですか?

まぁ、好きにすれば良いと思ってるので放置しますけど。






そんなトラブル?がありつつも、先に私たちは進み、野営しました。

ご飯は、騎士さんたちが作ってくれました。

ちょっとだけ味が濃かったけどおいしかったです。

それと、野営中は、ハディちゃんやカルナ、シャスティ、ラナちゃんが警戒してくれる(私にとってはいつものこと)こともあり、それと追加して騎士さんたちが交代して夜の番をしてくれることになりました。

私たち子供組はおとなしく寝ておけ、そして、夜の番くらい大人に頼ってくれとのことで、ありがたくお願いしました。


一応お礼代わりにいつもの習慣になってる歌を歌ってみたところ、なぜか感動の泣きが入りました。

ノクスさんはどこか心地よさそうに目を閉じて耳を澄まして聞き、セイちゃんやユウちゃんはどこか幸せそうに肩を寄せ合いながら聞いてました。


・・そういえば、セイちゃんとユウちゃんって凄く仲が良いですよね。

とても微笑ましいです。

なんとなくいちゃついてる兄さんと姉さんを幻視したのはなぜでしょうか?



そんなわけでお休みなさい。


次回は日曜日投稿です。

更にその次は1月1日です。

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